長期停滞の打破には移民しかない!

日本は長期停滞に悩まされている。1990年から2021年までの実質GDP成長率は26.9%であり、年平均はわずか0.79%に留まる。この値は、これは諸外国と比較すると極めて低い水準にあると言わざるを得ない。

1990年時点の日本の実質GDPは2015年米ドル基準で3.52兆ドル で、1位である米国は9.81兆ドルと比較すると約36%の経済規模を誇っていた。

しかし、それが2020年現在では日本が4.83兆の微増に対して、米国は19.3兆と、倍近い成長を遂げ、日本は米国の約25%の経済規模にまで相対的に埋没していった。

前述した通り、日本の年平均成長率は0.79%となっているが、これをその他の先進国と比較するとその低さが伺える。

同期間に低成長に悩まされているフランスでさえ約1%成長平均を保ち、ドイツでは1.33%、イギリスでは1.82%、更にオーストラリアに至っては2.95%の平均成長率を保っている。

これに対して、一部の識者は積極財政や金融緩和などの景気対策を行わなかった事を一番の問題としているが、アベノミクスに代表される景気対策は確かにGDPを潜在レベルにまで引き上げ、好景気を演出するが、あくまでの潜在GDPが天井として存在し続ける。その潜在GDPの成長率はバブル前の年率4%前後だったが、今では1%を下回っており、景気対策は経済の構造問題の根本的解決には繋がらない事が明白だ。

潜在成長率は過去最低レベルにまで低下している。


日本の潜在GDPを引き上げるには生産性を引き上げるしかない。しかし、一概に「生産性」と言っても、複数の要因がある。主に分けると以下の2通りとなる。

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  1. 産業経済構造の生産性(労働生産性・労働者一人当たりのGDP)
  1. 産業を支える国家人口で見る生産性(生産年齢人口一人当たりGDP)

前者は従来から主張される構造改革や規制緩和、中小企業強化で引き上げる事が可能であり、国内にもその推進を主張する声は日本維新の会を筆頭に小さくはない。

しかし後者の改革は人口構造の改革であり、日本国内で少子高齢化以外の観点で論じられる事は少ない。しかしながら、産業構造改革と人口構造改革は成長を妨げる経済構造を根本的に打破する改革の両輪であり、片方を無視する事はできない。

本日の記事では日本の成長を妨げる人口構造の問題について紐解いていきたいと思う。

何故生産年齢人口が大事なのか

少子高齢化が叫ばれる日本だが、総人口は1990年の国政調査では一億2328万人と比較して2020年1億 2622 万と約2.4%上昇している。実際に2010年前後がピークと推計されているが、それでも人口減少率自体は(現時点では)0.3%前後で、問題ではあるが、本質ではない。しかし、生産年齢人口(15歳-65歳人口)は8590万人から7612万人へ978万人減、率でいうと11.4%減少している。

しかし、何故生産年齢人口の減少は大事なのか、ピンとこない読者も多いかもしれない。実際、経済分析では「一人当たりのGDP」はよく使用される指数だが、「GDP」とは国内総生産の略であり、そもそも論として子供や高齢者はそもそも生産行動(労働)を行えない。即ち、国の経済力を担うのは生産年齢人口であって、総人口ではない

よって、国家の経済力は人口ではなく、生産年齢人口を見る事で判断する方が妥当なのだ。

GDPが30年間で11%減少したら当然、国家レベルの危機で大騒ぎになるが、それに等しい意味の生産年齢人口の減少は見過ごされている。

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経済力の低下はもちろんだが、現在進行している「人口に占める生産年齢人口比率」の減少は、養う側・養われる側の比率の悪化を意味する。実際、生産年齢人口比率の悪化は国民負担・現役世代の負担の激増に直結している。

長期停滞の真犯人は人口構造

日本では一人当たりのGDPランキングの低下から、「生産性」問題が良く課題として共有されている。しかし、実際に生産行動を行っている生産年齢人口一人当たりのGDPは1990年以降も順調に成長しており、2020年の最新値では約5.9万ドルと、1900年の約4.1万ドルから4割以上、上昇している。

一人当たりGDPでは日本を1割程度上回るフランスやカナダとほぼ同じ値であり、一人当たりGDPでは1万ドル(25%)以上の差をつけられているドイツとも10%以内の値だ。しかし、イギリスの6.8万ドルや米・豪などの9万ドル前後と比較すると、絶対値では成長の余地がまだあり、ここは前述したミクロ経済の改革で成果を出せる所だろう。

なお、生産年齢人口一人当たりGDPにおける日米の差はバブル前・以降で大きな変化は生じておらず、戦後経済の長期的な問題とも言える。即ち、バラマキ等景気対策を行った所で解決できる話ではないと言う事だ。

絶対値では先進国トップ集団に比べ劣っている者の、生産年齢人口一人当たりGDPの成長率で見ると先進国の中でも平均的なポジションとなっている。

1990年時点で生産年齢人口一人当たりGDPが2万ドル以上だったOECD加盟国は平均して2020年までに1.46倍成長しているのに対して、日本は1. 44倍とほぼ平均的な結果を出している。

日本と同じく低生産性・低成長が指摘されているイタリアは4万ドルから4.6万ドル、倍率で言うと1.14倍と殆ど成長しておらず、人口問題が重くのしかかるの日本と、産業構造問題が主因のイタリアの違いが良く分かる。

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  • OECDとは?

OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関です。OECDは国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、最近では持続可能な開発、ガバナンスといった新たな分野についても加盟国間の分析・検討を行っています。
OECD(経済協力開発機構):経済産業省


近年、センセーショナルな記事で良く取り上げられる、一人当たりのGDPでは日本に並んだ韓国でさえ、生産年齢人口一人当たりGDPは約4.3万ドルと、生産性では日本に大幅な遅れを取っている。この結果で日韓の一人当たりGDPが並ぶのは、生産年齢人口比率が71%であるのに対し、日本は59%であるからだ。

生産性は一定伸びているのにもかかわらず、生産年齢人口の減少によって経済成長率が下押しされている。

日本の景気が本格的に回復したリーマンショック以降・コロナショック前の11年間では年平均2.1%の生産性上昇が記録されていてたものの、生産年齢人口の減少により実質GDPは1.2%しか伸びない結果となった。

もちろん、これは生産年齢人口の平均下落率0.85%と殆ど合致する。即ち、毎年どれだけミクロ改革やマクロ対策を行っても自動的に経済成長率に対して1%近い押し下げが発生しており、圧倒的不利・無理ゲー状態となっている。

なお、このトレンドは今からも50年以上、長期トレンドとして発生し続ける。これらのデータを考慮すると、生産年齢人口の維持・拡大は日本の経済成長と発展に不可欠だと言う事が明白な事はわかる。

移民による負担軽減

単純計算だが、2000年以降、生産年齢人口の維持に必要な毎年65万人もの移民を受け入れた場合、2019年の実質GDPは642兆円となり、実際値の554兆円を16%上回る

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一人当たりGDPも472万円と、実際値の439万円を7.5%上回る現役世代と高齢者の比率も2.03倍から2.39倍に改善し、荒い試算として収入に対する社会保険料負担率も30.1%から25.6%に改善する。

平均収入(433万)所得者にとっては年間19.5万円の負担減となる。現役世代の負担軽減は少子化対策にも繋がり、未婚率上昇にも歯止めがかかっただろう。

生産年齢人口の減少は国力の減少を意味するだけではない、悪化する人口構造は現役世代の社会負担を増長させ、重税社会を作りだす。実際問題、バブル以降の「増税ラッシュ」の主因は人口構造の悪化によるものなのだ。

移民受け入れへの不安が多くの国民にある事は誰もが知る事だ。だが、2000年代移民が導入されていれば必要だった人数(年間65万)は人口の0.6%程度と、イギリス、カナダやオーストラリアなど移民政策で成功した国が受け入れている比率(1-3%)を大幅に下回る

冷静に考えれば危惧されている若干の犯罪増加や失業率上昇、コミュニケーション問題などは地道な社会の努力で解決できる。しかし、人口構造の問題は移民以外の手段で解決する事はできない。

今から子供の数が何かの奇跡で倍になったとしても、最初の20年はそれが社会保障負担としてのしかかり、効果が出るには50年以上待たなければならない。

今、現役・若者世代の負担を軽減し、本質的な意味での日本経済の復活に必要なのは単なるバラマキや補助金・減税ではなく、人口問題の解決だ。

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関連記事:この国は既に終わっている:少子高齢化

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神谷ゆうた

投稿者プロフィール

ライターページ
オーストラリア国立大学、政治哲学経済学部(PPE)在籍の19歳。日本維新の会学生部広報課長

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