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選挙報道の公平性を考える

全国的に注目が集まる東京都知事選が始まるまであと一週間。マスコミによる選挙関連報道も加速していくだろう。ただ、その「選挙報道」に疑問を持つ方も多いのではないか。選挙期間中、テレビを付ければ特定の政党や候補者に関する事しか報道されない。もちろんそのマスコミに注目された候補や政党が支持を集める、そして勝利を掴む。恣意的な力を感じる。

前回都知事選は主要三候補を集中報道

マスコミによる選挙報道による格差が顕著になって表れたのが2016年に行われた東京都知事選挙だ。当時、主要候補と呼ばれていた小池百合子氏、自公などが推す与党系の増田寛也氏、野党共闘系の増田寛也氏の三氏のみに報道が集中し、公平性に欠けるとの指摘が他の候補者陣営から生じたのだ。ある調査によると、主要候補とその他の候補者の選挙報道時間は30倍~40倍程度の開きがあったとされている。このことはBPOを通じて各陣営が指摘、選挙戦最終版になってようやく一部番組内で全候補者の紹介が報道されるに至ったのだ。

世論調査の結果を元にマスコミが主要候補と位置付ける事はやむを得ない話だともとれるが、それでもその「主要三候補」と四番手以降の候補者には一定の票差が生じている。仮に選挙戦初期からこの報道選挙戦報道の在り方が正されているのならば結果に多少の変化があったのではないか。

マスコミがすべてを決める

インターネットやSNSが普及してると言えども、投票率が高い高齢者は未だにテレビが主な情報源となっている。そしてどのように報道されるかにより内閣支持率や政党支持率、そして選挙結果まで大きく左右することになるのは皆さんご存じの通りだろう。

マスメディアは主要な支援組織がない、つまり浮動票が票田となる候補者や政党に大きな影響を与える。最近の事で言えば日本維新の会の支持率急上昇だ。維新副代表を務める大阪府の吉村知事のコロナウイルス対応が全国的に評価され、その恩恵を受けた格好だ。普段は全く取り上げない在京キー局での吉村知事に関しての報道が増加することに比例して維新支持率や吉村知事の知名度が急上昇。維新支持率は野党第一党の立憲に並ぶまでに、吉村氏の評価は各種世論調査で1位を獲得や、Twitterフォロワー数が短期間で70万近く増加する等、メディア報道の効果が顕著に表れた例だ。

選挙報道では「希望の党」に関する事が記憶に新しい。都議選での都民ファーストの会が勝利した事と安倍内閣、当時野党第一党の民進党が失速気味であった事などが重なり、相対的に小池新党(希望の党)への注目度が高まる。マスコミが連日新党の動向報道により、一時は「衆院選投票先」で民進党を大きく上回る調査結果もあったことから小池首班による政権交代の実現か、とまで騒がれた。しかしあの小池知事の「排除発言」を大々的に報じられたことにより希望の党は失速。その後排除された枝野元官房長官らが立ち上げた立憲民主党が英雄扱いされこの二党の命運が分かれた。

一連の小池劇場も所詮、小池知事が作り上げてマスコミも便乗。彼女に我々は踊らされたのだ。

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こうしてみればマスコミはまさに第四の権力であると共に、報道は凄まじい効果を発揮することが身に染みて感じる。

逆に考えれば、この報道を利用できるのならば浮動票を取り込み政治勢力を伸ばす事は容易であるはずだ。だから国会では特定野党と一部から揶揄される政党がパフォーマンス質疑や話題になる単なる数合わせの政治勢力結集に執着するのではないか。(彼らのやり方はズレているが…)

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公平な選挙報道に期待

視聴率をとるためにも注目候補者や政党を優先して報じることはマスコミ側からすれば当然のことであろう。しかし、選挙は有権者の1票が投じられ、この国の命運が左右される極めて重大な機会だ。候補者が等しく扱われるべきであることは言うまでもない。4年前の偏向報道の反省を生かし、今回の都知事選では客観的な姿勢の元で平等に、そして事実を伝えるべきだ。マスコミのあるべき姿が選挙選を通じて問われる。

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