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レジ袋有料化は天下の愚策か レジ袋有料化から一か月

レジ袋有料化は天下の愚策か レジ袋有料化から一か月

レジ袋が有料化されてから一か月が経った。朝日新聞によれば、セブンイレブンなどの大手3社ではレジ袋の辞退率が7割を超え、有料化される以前の3割から倍以上になった。レジ袋の有料化によってレジ袋の消費量が減ったことは確かであろう。

(参考:https://digital.asahi.com/articles/ASN7061XWN70ULFA01M.html?pn=4)

しかし、そもそもこのレジ袋有料化は妥当なのだろうか。政府は「プラスチックごみの削減」を目的としているが、本当にプラスチックごみの削減につながるのだろうか。レジ袋有料化は「レジ袋削減」になるだけだと感じる。

レジ袋有料化の目的とは

まず大前提として、レジ袋有料化の目的を再確認しておく。

7月29日のBSフジのプライムニュース内で小泉環境相は次のように語った。

「不便極まりないのは申し訳ない。レジ袋を全部無くしたところでプラスチックゴミの問題は解決しない。レジ袋を無くす事が目的ではない。有料化をきっかけに問題意識を持って一人一人が始められる行動に繋げてもらいたい」

この発言が物議を醸している。私もまさかレジ袋有料化を強行したことを謝罪するとは思ってもいなかった。

しかしこの発言は政府にとっては当然といえば当然で、経産省のHPによるとレジ袋有料化は「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的」としている。つまり、これは直接プラスチックごみを削減するための施策ではなく、あくまで啓蒙が目的であるようだ。マスコミは主に環境保護のためというように報道しているが、ここを誤解してはいけない。

レジ袋はプラスチックごみのうちほんの僅か

レジ袋有料化によってプラスチックごみの削減を期待している声もあるが、実は日本から毎年排出されるプラスチックごみのうちレジ袋が占める割合は2%程度といわれている。また、日本の漂着ごみのモニタリング調査によれば、ポリ袋は僅か0.6%だった。これではほとんど実効性がないといってもいい。

(出典:環境省)

レジ袋有料化の目的はプラスチックごみ問題に関心を持ってもらうことではあるが、削減したところでほとんど実効性がないレジ袋をつるし上げて何になるのだろうか。

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使用回数によってはエコバッグのほうがエコじゃない!?

レジ袋よりもエコバッグのほうがエコではないという指摘もある。

様々な種類のショッピングバッグが環境に与える負荷を分析した2018年のデンマークの調査は、このようにまとめている。

布バッグ:840回
オーガニックコットンの袋:約2400回
上記の回数再利用しなければレジ袋(LDPEバッグ)よりもエコにならない

この研究から、レジ袋も少なからず環境への負荷はあるものの、総合的に考えたらエコバッグのほうが環境に悪いということがわかる。

(参考:https://www2.mst.dk/Udgiv/publications/2018/02/978-87-93614-73-4.pdf)

また、エコバッグは洗濯をすることで海洋汚染につながるという懸念もある。レジ袋よりもエコではないエコバッグを推進しては元も子もないではないか。

バイオマスプラスチックも普通のプラスチックと変わらない

今回のレジ袋有料化には「抜け穴」がある。
バイオマスプラスチックを25%以上使ったレジ袋は有料化の対象外なのだ。

ところで、このバイオマスプラスチックだが、これは生物資源を原料とするプラスチックである。しかし、生物資源が原料だからと言って全てのバイオマスプラスチックが無機物になる(生分解される)とは限らない。むしろレジ袋に使用されるバイオPETやバイオPEは性能的に普通のPETやPEと同一であり、生分解性は持たないことが多い。つまり、バイオマスプラスチックを使用したレジ袋のごみも普通のレジ袋と同様に自然に還ることはない。

今回のレジ袋有料化ではバイオマスプラスチックを25%以上用いたレジ袋は有料化の対象外だが、結局それも自然に還ることはないのだ。有料化の対象外にする意味が全くない。

おそらく、バイオマスプラスチックの意味をはき違えているのであろう。バイオマスプラスチックは「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の総称である。つまり、バイオマスプラスチックという言葉は二つの意味を孕んでいるのだ。総称のほうの「バイオマスプラスチック」は生分解性がある「生分解性プラスチック」を含むが、総称ではないほうの「バイオマスプラスチック」は生分解性があるとは限らない。ここがややこしい。

環境問題への意識は大事だが・・・

レジ袋有料化に関して疑問点を3つ挙げた。まずレジ袋はプラスチックごみの割合のうちほんの0.6%であること、第二にエコバックは使用回数によってはレジ袋以上にエコではないこと、第三にバイオマスプラスチックは環境にやさしくなく、有料化から除外する意味が分からないということ。

レジ袋有料化の目的はプラスチックごみ問題に関心を持ってもらうことであった。しかし、削減したところでほとんど実効性がないレジ袋を槍玉に挙げて有料化する意味などどこにあるのだろうか。しかも実際には環境に負荷がかかり値段だけ高いバイオマスプラスチックを推進するというお粗末さだ。

もちろんプラスチックごみの問題は深刻であり、国民に関心を持ってもらうことは必要だろう。だがその手段はレジ袋を有料化することではないだろう。レジ袋を有料化したところでプラスチックごみ問題に関心を持たない人が増えるとは考えにくい。広報や教育の面などから啓蒙の仕方を考え直すべきではないか。

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