国民民主分党か? 国民への見せ方を誤るな

発端となった玉木代表会見

 国民民主党が、分裂含みの展開となってきた。8月11日の夕方、執行役員会を終えた玉木氏が会見し、「分党」に言及した。以下、玉木代表の冒頭の発言全文の文字起こしである。

(引用始)
 みなさん、お待たせして申し訳ございません。お集まりいただきありがとうございます。今日初めて、幹事長から、この間立憲民主党とやりとりをしてきた規約・代表選規定・党名選定規定、また綱領・政策等について、文書の形で説明をうけました。これらの報告を聞いて、代表としての最終的な判断をいたしました。まず、党として、合流の条件については、基本的に合意します。その上で、私自身は、合流新党には参加いたしません。

 まず、ここまで粘り強く交渉をしていただいた平野幹事長や泉政調会長には、感謝を申し上げたいと思います。次に、この決定理由についていくつか述べさせていただきたいと思います。

 第一に、このコロナ禍において、いつまでも交渉を長引かせることは、決して国民のためにはなりません。そして、ここまでの条件であっても、合流をしたいという同僚議員の意見も一定数聞いています。一方で、政策の一致が無ければ合流できないと言う仲間もいます。国民民主党は、結党以来、政策提案を命としてきた政党であります。コロナ対策についても、10万円の定額給付金をはじめ、他党に先んじて具体的な政策提案を積極的に行ってきた自負もあります。だからこそ、新党を作る以上、基本政策の一致を確認しなければ、合流に加わることができないという声も少なくありませんでした。私自身もやはり、政党である以上政策の一致は譲れないし、政策の一致がなければ思い切った改革をできないと思っています。

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 また、地方議員や党員・サポーター、そして国民が納得できる大きな塊を作ることを粘り強く求めて参りましたけれども、党首会談が残念ながら一度も行われず、私たちが求めてきた消費減税の減税など、軸となる基本政策について、一致が得られませんでした。もとより、交渉を遅らせるつもりなどありませんでしたが、理念や政策が異なる人が集まって無理やり党を作っても、過去の反省を生かせないと思ったからです。実際、今日示された案については、役員会でも意見が分かれました。

 そこで、私から合流すべきと考える仲間と、これでは合流できないと考える仲間とが、円満に物事を前に進める道は、合流すべきと言う人と合流すべきではないと言う人で、分党するしかないという結論に至りました。そしてこれ以上、協議を長引かせないためにも、これまで幹事長・政調会長を中心としてまとめてくれた合流条件を党として受け入れます。その上で、私は国民民主党を率いてきた船の船長として、自分自身は合流には参加せず、党に残り、国民民主党を信じ誠実に活動してきた同僚議員、地方議員、党員・サポーターの同志と共に、行動を共にすることにします。

 こうした方針を、13時からの役員会にかけて、了承を得ました。具体的には以下の通りです。まず、我が党を解党して、立憲民主党に合流を希望する議員からなる政党と、加わらずに国民民主党に残ることを希望する議員からなる政党に、分党します。このうち、立憲民主党に合流する政党は、今回合意した条件に基づいて合流をします。同時に、国民民主党に残ることを希望する議員や地方組織のために、法的には新党である国民民主党を設立します。この分党に関する手続きは、双方の代表者からなる、分党協議会で決めて行くことになります。こうした方針を、速やかに両院議員総会を開催して了承を得たいと思います。早ければ来週にも開催を求めたいと思います。了承を得られれば、まず分党できるよう我が党内の手続を進め、分党が完了次第両党間で合意したこの条件に従って合流手続に移行することとします。

 国民民主党を結党して約2年です。今の日本にこそ政策提案型の改革中道政党が不可欠だと私は信じています。また、国会議員である私たちだけの力ではなく、党員やサポーター、地方議員・職員の皆さん、全ての国民民主党に関わる人間の力を結集してはじめて、国民のための政治が成り立つと思っています。私は、この当たり前を守っていきたいと思います。この国の民主主義を守るためには、まず党内の民主主義を守る必要があります。私がかねてから主張している大きな塊というのは、そういった理念とか、党内民主主義とか、そういったものが満たされて、そういったものの上に成り立つものだと信じています。だからこそ、そういった手続きをないがしろにはできないということであります。いろんな立場の人が、いろんな観点から自由闊達に議論してこそ、『新しい答え』が導き出せると思います。私は、そのような理念を守っていきたいと思います。
(引用終わり)

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玉木会見のポイント

 まず、玉木代表の「合流賛成派と反対派で党を分ける」という決断は、党員・サポーター・地方議員のような、国会議員以外の意見も反映させた決断だと言うことだ。実際に今月下旬、玉木代表の元に、合流協議に地方の声を反映させるよう要望する旨の要望書が、党員・サポーターから届いている。そのような声がある一方で、いまだに合流の条件は大多数の国会議員、地方議員や党員・サポーターが納得できる水準に達していないということである。もっとも、このコロナ禍で合流協議に時間をかけることは得策ではないと玉木代表も認めている。そこで、合流自体は進めつつも、合流に反対・慎重な意見に配慮するために「分党」を提案したというところだろう。

 次に、玉木氏は、党内民主主義の重要性を強調していた。これは、「ボトムアップ」を党是として結党したものの、地方の声を十分に聞き取らないまま拙速に協議を進めようとする立憲民主党を意識しての発言かもしれない。

直後に泉政調会長の「訂正会見」

 しかし、玉木代表が述べるとおりの「分党」で最終決定したわけではなさそうだ。玉木代表の会見の直後に、泉政調会長が訂正会見を行った。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/327732

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 泉政調会長は、京都新聞の報道や自身のツイートの通り、党分裂が最終決定でないことを強調している。あくまでも来週の両院議員総会で、再度どのように扱うかを協議するようだ。

これからどうするのか?

 玉木代表が記者会見で述べた「党内に様々な意見がある」ことが本当であれば、このまま全員で合流することは困難であろう。一方で、合流で国民民主党内がひとつに固まっていれば、とっくに合流の話はまとまっていたはずである。

 ところで、早速、玉木氏の「分党」への言及に、合流派の議員や支持者が批判的に言及している。

 しかし、上記にあるように、万一玉木代表を解任したり、合流反対派・慎重派を党から追い出した上で合流したりした場合、合流新党には「代表や合流慎重派を排除して無理やり合流した政党」というイメージが付きかねない。もし、合流賛成派と反対派で泥仕合が起きたら、さらにもっと悪いイメージが定着するだろう。この場合、折角合流したとしても、合流新党の支持率が、現在の立憲民主党の支持率を下回ることも十分ありうる。

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 そうならないためには、合流の賛成派と反対派が真摯に話し合い、円満にこの問題を決着させるしかない。既に、枝野代表が、玉木代表による党首会談の求めを拒否したり、「交渉当事者ではない執行部の人間が外部に物を言うのは、まとめたくないという意思表示としか思えない」と玉木氏を批判したりしており、円満な合流からは程遠いイメージとなっている。一般企業の合併であれば、合併相手の社長にこのような無礼をはたらかないはずである。もしこのような態度を取るのであれば、外部からは「敵対的買収」のように見える。立憲民主党側の高圧的な態度により、今の段階ですら、合流にはマイナスイメージが付きまとっている。

 もし、このような状況の下で、国民民主党側で、さらに玉木代表や合流慎重派を排除するかのようなふるまいが取られた場合、どうなるか。合流新党には、「排除発言」のイメージが付きまとった希望の党よりも、さらに国民の間に悪いイメージが残ることになるだろう。その間隙を狙うかのように自民党が衆議院を解散した場合、合流新党の議席が減ることも考えられる。

 何のために合流するのか?まずは、次の衆院選に勝ち、政権奪還への布石を作るためではないのか。そうであれば、合流のイメージがなるべく前向きなものとなるようにすることだ。そのために、国民民主党の合流賛成派が、合流反対派・慎重派を排除せずに真摯に話し合い、円満に合流をまとめあげることは必要不可欠なのである。その結果が「分党」でも、円満に決着が着くのであれば良いだろう。「政権を取るための大きな塊」が虚言でないのであれば、合流新党の合流後のイメージにも気を配るべきである。合流協議も最終局面。「国民にどう見られているか」を意識して、合流をまとめ上げてほしい。

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大学院生2年目です。法律や経済など幅広く投稿します。

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