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コロナ危機で起きるのは,インフレとデフレどっち?

コロナ危機で起きるのは,インフレとデフレどっち?

瀕死の日本経済

日本経済は現在、中国武漢発祥の新型コロナウイルスの世界的感染拡大による自粛や、世界的な景気停滞により大幅な後退を強いられています。

令和二年度第二四半期のGDP(国内総生産)は-7.8% (年率―27.8%)減を記録し、平成二十一年のリーマンショックを超える過去最大下げ幅を記録しました。

内訳では、やはり自粛による消費と純輸出ががそれぞれ‐8%と‐18.5%減少しており、逆に通常の経済危機で起きる設備投資の減少が少ない(-1.5%)事がコロナショックの特徴と言えるでしょう。

このGDP速報の結果を受け、20日の日経新聞に以下の記事が掲載されており、ネット上で物議を醸しました。

この二つのコラム、見出しを見ると一見、矛盾しているかの様な印象を受けます。実際ネット上ではこの内容が横並びな事を嘲笑する方や、反緊縮派の方々が現在、需要ショックが起きている事を理由にインフレへの懸念を完全に否定している方々がいます。

しかし、経済学的な観点から考えますと、両方実は100%正しいのです。違いは、単純に対象の期間が違う事なのです。

直撃するデフレ

先ず第一に「デフレ懸念」の方を見ていきましょう。

ロジックとしては自粛による経済活動停滞→需要の萎縮→デフレ圧力が高まると言うスキームでしょう。

需要停滞によるデフレ

実際コロナショック以前までは加速傾向にあった物価上昇は、コロナショックにより、デフレ圧力に転じ、5月以降のコアCPIはわずかですが、デフレとなっております(CPIは0.1%のインフレ)。

来年襲い掛かるインフレ

しかし、これと全く逆のインフレが加速する可能性も私は「正しい」と述べました。一見矛盾する概念ですが、どういう事でしょうか?

コロナショックの特徴は上記した通り、投資ではなく、外需と消費の下落が主な景気後退要因である、これまでに見た事が無い形の経済危機です。

民間企業は現在、政府による雇用調整助成金の十割負担や持続化給付金、そして納税猶予などでキャッシュフローを保っている企業も少なくありません。これらのコロナ経済対策は特例なので、今年末から来年頭に向けて解除されていく事となります。そうなると急速に企業の資金繰りが苦しくなり、海外でコロナ第3波、第4波があり、外需が回復しない場合は97年の山一ショック以来の大企業連鎖倒産の可能性が非常に高まります。

供給低下によるインフレ(コストプッシュインフレ)のモデル

これまでに無いレベルの大企業連鎖倒産などが起きた場合、日本の供給能力は大幅に減少する事となります。

対する需要に関しては、消費は既に底値であり、これから更に下がる要因は見当たりません。更に我が国の高い貯蓄率(25%)を考慮すると、収入の減少ペースと同等の消費低迷がある事は考えにくいです。

そして需要低迷下に発動された経済対策は来年も継続され、経済効果は波及され続けますので、需要を底上げする役割にもなります。

更に大幅な緩和政策を取っている金融政策は、民間(消費者・企業)が金を借り、消費を喚起する事でインフレを引き起こします。その効果が物価上昇に現れるのも大体開始から半年以降です。緩和による「金余り」で供給ショック下に置いて消費が刺激されると言う最悪の事態になる可能性すらあります。

来年には、企業の倒産ラッシュと言う状況と同時に、過去(今年4月)需要の底上げ政策による消費の活発化が原因のインフレ過熱は十分考えられる事態なのです。

必要な政策とは?

これから襲い掛かるインフレに対する対策は単純で、企業、特に外需依存系の大企業を助ける供給政策が必要なのです。

具体的に述べますと、社会保険料の雇用者負担、固定資産税などの停止、そして研究開発や設備投資に対する大幅な減税と補助金です。この時点で重要なのは如何にして企業に倒産を防ぐ事か、です。一番有効な手段である企業への直接救済が必要となるでしょう。

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