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新しい国民民主党の使命とは―存在価値が無いとは言わせない

新しい国民民主党の使命とは―存在価値が無いとは言わせない

 9月15日に国民民主党が設立大会を開いた。その2日後に、おとな研究所の仲間であるマクロス氏が以下のような記事を書いた。今回は、タイトル通り、マクロス氏に反論しつつ、これからの国民民主党に求められる役割について説明したい。

https://otonaken.com/archives/2940

 確かに、私個人としても、新国民民主党が枝野幸男立憲民主党代表に投票したことは、遺憾であるし賛同しがたい。この点に関するマクロス氏の批判を、国民民主党議員、支部長、支持者は重く受け止めるべきである。しかし、それだけを根拠に国民民主党に存在価値がないとするのは、あまりに飛躍しすぎている。少なくとも、国民民主党には、以下のような役割があると示したい。

憲法改正のキャスティングボート

 現在の参院会派構成を確認してほしい。定数242人のうち、憲法改正に積極的な自民・公明・維新の3会派を合わせても、157人である。今のままでは3分の2に満たない。これに国民民主・新緑風会(14人)を加えると、171人となって、3分の2を超えるのである。

 ここで、国民民主党が賛成するか否かが、憲法改正を発議できるかを左右する状況となっている。すなわち、国民民主党は日本維新の会と同様に、憲法改正のキャスティングボートを握っているのである。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は、設立大会で、①国民民主党が憲法改正の審議拒否をしないこと、②国民民主党独自の改憲草案を出すことを表明した。確かに、憲法審査会の審議拒否をしないという点に関しては、旧国民民主党時代に同様のことを言っていたため、変わり映えしないようにも思える。しかし、玉木代表は、旧国民民主党時代につけていた「原則」(審議拒否しない)という留保を、今回は外している。この点は注目すべきであるし、有権者との新たな約束だと捉えるべきであろう。立憲民主党と歩調を合わせて憲法審査会の議論を拒否したい勢力は、皆新立憲民主党に合流した。そうである以上、もはや憲法審査会出席に向けて障害となる事由はないはずである。

 まずは、国民民主党所属議員が憲法審査会に出席して、自公政権と異なる価値観から意見を積極的に表明していくことが強く求められている。このことが仮にできないようであれば、憲法改正のキャスティングボート足りえないし、ただ憲法の文言を一言一句たがわず残したいだけの自称・護憲派と一緒になってしまう。そうなれば、国民民主党に向けられた期待は一気に萎んでしまうだろう。まずは、国民民主党自らが、「憲法審査会に出席する野党」として、立場を明確にすべきだ。その上で、例えば同性婚を憲法上の権利と位置付ける24条改憲を行うなど、自民党とは異なる立場から、改憲案を提示してほしい。

コロナ対応の経済政策

 日本のコロナ不況によるGDPの落ち込みは、諸外国よりもましであると言われていた。しかし、これは消費増税による消費の落ち込みから回復基調にあることが寄与したにすぎず、実際のコロナによるマイナス分はもっと大きいという指摘もある。

 そのような中、国民全員に配布された特別定額給付金(一律10万円給付)のプラス効果はかなり大きいと言える。収入が歩合制・時給制などで、景気や労働時間に大きく左右される人にとっては、この給付金によって、なんとか持ちこたえた人も多いだろう。この10万円給付を最初に政府に提案したのは、玉木雄一郎代表と旧国民民主党(3月18日)である。国民民主党がいち早く提案を行ったことで、徐々に10万円給付の主張は他党へと広がり、最終的に実現した。もし、玉木代表が主張していなければ、10万円給付は実現していなかった可能性も高い。

 なお、再度指摘しておくが、このとき4月になって初めて10万円一律給付を主張したにもかかわらず、国民民主党の実績を横取りし、自党の実績にしようとしたのが、旧立憲民主党である。

 さて、話を元に戻そう。新国民民主党は、10万円追加給付を含む100兆円の経済対策を旧政党から引き継いでいる。真水100兆円は配りすぎであり悪性インフレを招くという指摘もあるが、この中の家計対策(10万円追加給付、消費減税)は今すぐにでも実行すべきである。

 このように、国民民主党こそが、国民生活が危機に陥ったときに、タイムリーな経済政策を打ち出すことができる政党である。これだけでも、十分存在価値はある。

まとめ

 マクロス氏は、次のように述べている。「正直、国民民主党は「提案型野党」になる事に興味がない様に見える。単純に、組合の支援と小選挙区に当選する地盤を利用して、自由に威張れるが、細々と存在し続ける、議員にとって「都合の良い政党」を作りたかっただけなのではないか?」しかし、国民民主党は、旧政党時代から上記のように経済政策で様々な対案を打ち出しているし、憲法改正国民投票法の対案を出したのも旧国民民主だ。したがって、提案型野党に興味が無いという批判は当たらない。もっとも、今回の首相指名での残念な対応は批判を受けるべきであるが、諸事情を考慮してのものである。

 また、「細々と存在し続ける」という点は、マクロス氏の支持する維新の会にこそ当てはまることだ。維新の党分党で純化路線を取ってから5年間、衆院では常に10~15名程度しか所属議員がいない状態が続いている。しかし、私はこの維新の会のあり方は悪くなかったと考える。「大きな塊」という当選の為に楽な手段に逃げることなく、政策を磨いていったからこそ、維新の会は次期衆院選での躍進が予想されるほど支持率が上がったはずだ。最初は「細々と」存在することとなっても、そこで耐えて踏ん張れば、そこから大きくなることだってできる。マクロス氏は、「存在価値が無い」と言うタイトル付けをするのではなく、もっと建設的な言い回しをすべきであったと、私は考えている。

 ただし、「国民民主党が掲げる『改革中道政党』『提案型野党』に本気でなりたいのであれば、無責任野党そして共産党と行動を共にする事は決してない筈である。」という一節は、国民民主党関係者が重く受け止めるべき言葉だろう。左右の全体主義と距離を置いてこそ、中道は実現できるものだからである。

 最後に、馬場伸幸維新の会幹事長が、国民民主党について興味深い発言をしているので、紹介したい。

(引用始)
「(国民の枝野氏への投票は)別れの杯みたいなものだ。衆院でも近く会派は分かれると聞いている」日本維新の会の馬場伸幸幹事長は記者会見でそう論評。
(引用終わり)

引用元:
https://www.sankei.com/politics/news/200916/plt2009160087-n1.html

 もし国民民主党が完全な単独会派になるのであれば、それを契機として、より強く独自の路線を打ち出してほしい。

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