おとな研究所は新しくなりました!

【政権交代】小沢一郎氏の自信はどこから来るのか

悲願「大きな塊の結成」の成就

政党クラッシャーとの異名を持つものの、自身の手で政権交代を2度も成し遂げた剛腕政治家である小沢一郎氏。先週結党された合流新党「立憲民主党」の結成にも暗躍した模様だ。これは同氏がかねてから主張している「野党は1つになるべきだ」論が大きく前進したことを意味する為、本人もさぞかしご満悦であろう。合流新党結党後、小沢氏は「次の総選挙で政権交代」という目標を自身満々に語っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3288e3dbc2fbc9fdabff6354d11be02b20354820

この記事をご覧になっている多くの読者の方はこの発言について嘲笑せざるを得ないのではないか。先週末行われた各マスコミの世論調査では菅内閣の支持率は6割を超え、自民党支持率も5割に迫っている。一方で立憲民主党をはじめとした野党各党は支持率1桁の低迷状態から抜け出せず、さらには今回の立憲民主党合流騒動に関して期待や好感を持った国民は多くは無いだろう。

しかしいくら中身が杜撰であれ「大きな塊」より厄介なものは無いのであり、一部野党の真ボスである小沢氏の企みを甘く見てはいけないと思う。

大きな塊が自公の脅威に

150人でスタートした立憲民主党。所詮永田町の数合わせの一環であり、所詮議員の政党間移動があっただけ。しかし、その「大きな塊」となった勢力の脅威は解散総選挙時に顕わになるはずだ。

具体的な数値を出しつつ見ていきたいと思う。

過去3回の衆院選(2012年、2014年、2017年)では自民vs民主vs維新vs共産、自民vs希望vs立憲など多くの小選挙区で野党候補が乱立し、与党側がかろうじて勝利した選挙区も多く生じていた。しかし次期衆院選において野党が1つになり、候補者の1本化に成功し、与党と1vs1の構図が完成した場合、前回結果等から試算すると、東日本を中心に全国の70ある与野党接戦区のほとんどで野党系が勝利することになるのだ。

<スポンサー>

15年の安保法制成立以後よりスタートした野党一本化、いわゆる【野党共闘】であるが、全国的な組織票を持つ共産党が参画したことにより効果が劇的に上がったといえる。

というのも政権を獲得するには、1選挙区数千~数万を保持する共産党、与党サイドに立てば1選挙区2万票程度を保持する公明党のどちらかを味方につけなければ不可能であるという現状があるからだ。

09年の民主党政権誕生がなぜ誕生したのかといえば、共産党が従来の【全選挙区擁立戦法】を取りやめて候補者を大幅に絞ることで、接戦区で民主党候補が利するように事実上の1vs1の構図を全国的に作り上げたからである。

現時点では100以上の選挙区で野党空白・もしくは競合となっているものの、合流新党+共産党の枠組みとなれば候補者一本化は容易であり、そうなると自公政権にとっても大きな脅威となる。

また。ここには実際の選挙の投票行動と常日頃の支持率はあまり関係しないことも関わってくる。中でも大きく影響されるのは特定の支持政党を持たない無党派層の力だ。これまでの傾向から、無党派層の6割以上は野党系に投票することから自民1強体制のパワーバランスが総選挙が近づくにつれて激変する。

勝ち目はないが、チャンスは作った

冒頭でも申し上げたが現在は菅内閣や自民党支持率のかつてないレベルの高騰に伴い、仮にすべての選挙区で野党一本化が果たせても与野党逆転を果たし政権交代を成し遂げることができるのは今のままでは皆無に等しい。

しかし、野党が1つになりつつあり大きな塊が結成されたことは、勝つための土台は完成しつつあるということを意味する。時間の経過に伴い菅政権への期待も自然減少する。そして国会開会後は野党の支持率も上昇していくのが相場だ。これから政局に何らかの動きが起こり自公が失速するような事態が起これば一気に野党勢力が増大することも十分あり得る。

<スポンサー>

小沢氏はこのようなチャンスが訪れることを見越した土台作りをなすためにも、合流新党結党の夢を抱いていたわけであり、いくら支持率が低くとも一騎打ちなら戦略的に選挙戦を展開することにより政権を追い詰めることは不可能ではない。この確信が心底にあるからこそ、自身満々に政権交代構想の持論を繰り広げることができるのであるのでは。

すべてを知り尽くした男の野望である「三度目の政権交代」は成就することができるのだろうか。

ただ、いうまでもなく近年の野党勢力自身の劣化は著しい。巧みな戦略をこなし、仮に政権交代を果たしてもいまの立憲民主党に何ができるというのか。悪夢の民主党政権再来だ。

三度目の小沢戦法はどのような結末を歩むのか。国民の審判は間もなく下される。