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あまりにも杜撰な「世田谷モデル」

あまりにも杜撰な「世田谷モデル」

「いつでも、どこでも、何度でも」PCR検査を受けられるようにする「世田谷モデル」が壁にぶつかっている。大量検査の前提となる「プール方式」がまだ認められておらず、また検査の財源や陽性者の受け入れ態勢が整っていない。世田谷区の見通しは完全に甘かったと言わざるを得ない。

PCR検査論は嘘ばかり

まずそもそも、世田谷区はPCR検査の認識から間違っている。

PCR検査は特効薬ではない。PCR検査を増やしても、検査を受けた瞬間は陰性だということが証明されるが、検査を受けた直後からコロナに感染する可能性がある。

その為、感染していないことを継続的に確認するためには何度も検査を受けなければならない。しかし検査費用はかさむ上キャパシティも十分ではないのでこの施策は現実的ではない。

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また、偽陰性・偽陽性の問題もある。PCR検査の感度は70%なので、100人の感染者がPCR検査を受けたとしても70人しか陽性にならない。一方でPCR検査の特異度は99%で1%の人は感染していなくても陽性の反応が出ることがあるのだ。

もちろんコロナに感染している人は感染していない人よりも圧倒的に少ないので、本当に感染している人の70%よりも偽陽性の1%の人の方が多くなってしまう。PCR検査で陽性反応が出たとしても「感染」しているとは限らないのである。

算段が甘すぎた

「世田谷モデル」は計画の時点で問題があった。

まず、大量検査をするために「プール方式」が検討された。「プール方式」とは、何人かの検体を混ぜて一斉に検査し、仮に陰性が出たら全員が陰性、陽性が出たら個別に再検査し誰が陽性なのか特定するやり方である。この方式であれば、PCR検査のキャパシティも飛躍的に向上し「世田谷モデル」も理論上可能だったかもしれない。

しかしこの「プール方式」、日本ではまだ実証実験が行われていないうえ、厚労省は「プール方式」を行政検査の対象にしていない。「プール方式」を前提とした世田谷モデルは「とらぬ狸の皮算用」だった。

陽性が判明した際の感染者を受け入れる宿泊療養施設の確保もできていない。世田谷区は宿泊療養施設を確保していない上、東京都が受け入れを行う宿泊療養施設は世田谷区内にはない。万が一大量検査を行い多くの陽性者が出た場合に受け入れ施設が不足する可能性が高い。

このように、「世田谷モデル」はそもそも計画が万全ではなかったのだ。

保坂区長の暴走

ここまで述べてきたように「世田谷モデル」は欠陥だらけであるのだが、この「世田谷モデル」を推進している世田谷区の保坂展人区長の暴走も目に余る。

世田谷区議の稗島進議員は9月16日の質疑でこのように述べた。

区長は、“世田谷モデル”について、メディアでは発言されるものの、一向に議会に説明することなく、区側に問い合わせても「詳細は検討中」と回答するばかりで、区民の問い合わせに対して、議員としてはまったく説明できないという状況が長く続きました。

なんと、保坂区長は議会に説明することなく「世田谷モデル」を断行しようとしていたのだ。これは明らかに議会軽視だろう。

また、7月の稗島進議員のブログからは、保坂区長が“暴走”している様子が記されていた。

議会にはいつものように何にも報告せず、財源も全く示さず、この前の議会でも厳しく指摘したはずだが、区長お得意の印象操作でとてつもなく迷惑な話。しかし、当人はご満悦の様子。

当然、議員たちからは「どういうことなんだ!」と各委員会で質問が相次いだが、副区長以下、行政は「詳細はこれから詰める」「検討している段階」「誰でもということではない」等々と答弁。区長がぶち上げているトーンと現場の雰囲気はまったく違うのである。

https://hieshimasusumu.com/blog/450/

保坂区長はメディアには盛んに出て(計画段階であるのに)「世田谷モデル」のアピールを行っていた。そして世田谷区議会には全く説明していなかった。今回「世田谷モデル」がいかにおかしな計画であることが明らかになったが、保坂区長はその杜撰な計画をほぼ独断で推し進めていた。この点も問題だろう。

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