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アメリカ大統領選挙予想

アメリカ大統領選挙予想

アメリカ大統領選挙まで一か月となり、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領の戦いが激化している。先月末にはテレビ討論会がスタート。選挙戦は11月3日の本選挙に向けて両陣営は熾烈な戦いを繰り広げている。

今回は、そのアメリカ大統領選挙の結果を予想していこうと思う。

アメリカ大統領選挙の仕組みとは

まず、アメリカ大統領選の仕組みについて説明する。

アメリカ大統領選は、州の人口に応じて「大統領選挙人」が割り当てられている。この大統領選挙人の総数は538人なので、大統領選で勝利するためには過半数である270人の選挙人を獲得する必要がある。

アメリカは二大政党制であるので、有権者は共和党の大統領候補か民主党の大統領候補のどちらかに投票するかを選ぶ。そしてその票は各州で集計され、州で勝利した大統領候補は、その州の選挙人を総どりすることができる。(*例外として、ネブラスカ州とメーン州では得票数に比例する形で選挙人を配分する方式がとられている)

ここで一つ注意しておきたいのが、全国的に多くの票を得たとしても大統領選には勝てないこともある。勝敗を決するのは「どれだけ選挙人を獲得できるか」なのだ。そのため、アメリカの全国世論調査の結果と大統領選の結果がかけ離れることもある。(実際に前回の大統領選では民主党のクリントン氏がトランプ氏よりも約300万票多い得票を得たが、選挙人はトランプ氏の方が多く獲得したため、トランプ氏が勝利した。)

余談だが、直接選挙制のイメージが強いアメリカ大統領選、厳密には間接選挙制なのである。一般的にアメリカ大統領選と呼ばれる選挙では有権者は大統領選挙人に投票し、ここで選ばれた選挙人が大統領を決めるというやり方だ。とはいえ、この大統領選挙人はあらかじめどちらの大統領候補を推すのかを明言しているので、実質的には直接選挙制といえる。

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激戦州が勝負を分ける

実は、アメリカ大統領選のほぼ半分は勝負が決しているのだ。

というのも、ほぼ半分の州は常に同じような傾向で投票するからだ。つまり、それらの州は最初から勝負が決まっているのである。

例を挙げると、アメリカ北東部のヤンキーダム(ニューヨーク州など)やカルフォルニア沿岸のレフトコーストは基本的にリベラルである。一方でアメリカ南東部の大アパラチア(テキサス州など)は保守的な傾向にある。

そのため、大統領選の勝負を分けるのは「スイング・ステート」と呼ばれる激戦州である。その名の通り、共和党と民主党の票が拮抗して選挙のたびに激戦を繰り広げている州である。当然のことながら、激戦州では選挙運動が活発化することになる。

トランプ現大統領がややリードか

さて、ここからが本題だ。

結局、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領のどちらが勝利するのか。アメリカの全国世論調査では軒並みバイデン氏優勢が伝えられているが、私はトランプ氏の方がややリードしているとみている。

全国世論調査では前述したように全国的な傾向は推測することができるかもしれないが、大統領選の勝敗を決めるのは州ごとに獲得した選挙人の総数である。そのため全国的な視点よりも州ごとの視点が必要である。また今年は新型コロナウイルスやBLM運動など不確定要素が多い。そのため、全国世論調査は参考程度に受け止めるべきだろう。

そして、私がトランプ氏が優勢だと推測する理由をこれから説明していこうと思う。

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州ごとの分析に入る前に、全体的な傾向から見ていくことにする。

まず初めに私は世論調査などの数字に表れていない「隠れトランプ」の人が多いとみている。

全国的なBLM運動が活発な中、トランプ氏は「法と秩序の復活」をアピールしているのでBLM運動に参加している人からは反発が大きい。しかしBLM運動によって実際に破壊や略奪の被害に遭った人もいて、BLM運動に対して懐疑的な見方をする人が増えているという指摘がある。彼らは、大っぴらに「トランプ支持」と言ってしまうと「BLM運動に賛同していない」と捉えられる恐れがあるので、自らの立場を隠すことがある。これが、「隠れトランプ」だ。この「隠れトランプ」は2016年の選挙の時にも存在したが、今年はBLM運動もありこの層が多いと予想される。

一方で、「隠れバイデン」も存在すると言われている。トランプ氏のコロナウイルスの対応の不手際さに不満を抱いている共和党支持者もいるようだ。

しかし、彼らは“隠れる”理由がない。なぜなら今のアメリカではトランプに離反してバイデンを支持することが「社会的に善」とみられているからだ。わざわざバイデン支持であることを隠す必要がないのだ。実際に共和党内でも「リンカーン・プロジェクト」といういわゆる“トランプ降ろし”の団体が立ち上がっており、公然とトランプに離反する共和党支持者もいるのだ。逆に言えば、それだけ“隠れる”理由がない=「隠れバイデン」は少ないということになる。

激戦州ごとの予測

さてここからは激戦州を分析していく。アメリカの大統領選では州ごとに獲得した選挙人が勝負を分けることになるので、州ごとの動向は非常に重要だ。特に激戦州は慎重に分析する必要がある。

私が予測する大統領選の結果はこうだ。

トランプ:299人
バイデン:239人

赤が共和党、青が民主党を示している

ミネソタ州

ミネソタ州は、2020年のBLM運動の発祥の地で知られる。世論調査でも圧倒的にバイデン氏がリードしており、またこの地域は元々リベラルな傾向にあるので普通に考えたらバイデン氏が勝つと予想されるだろう。

ただ私は、ミネソタ州では番狂わせが起こるのではないかとみている。

まず、BLM運動の発祥の地であるということはそれだけBLM運動に対する同調圧力が強いということである。つまり、BLM運動に表立って反対づらい雰囲気が醸成されている。これは前述した「隠れトランプ」が生まれやすい条件となっている。BLM運動の一部は過激化し、略奪や破壊行動を繰り返しているので、BLM運動に反発を抱いている人も多いだろう。トランプ氏の「法と秩序」のアピールでこの層を取り込める可能性が高い。

また、もう一つ気になる動きがある。ミネソタ州北東部の「アイアンレンジ」の6人の民主党知事がトランプ支持を表明したのだ。彼らは民主党のことを「大きく左傾化した」として非難している。この動きに触発された穏健左派はトランプに投票する可能性が高くなった。

ミネソタ州は今回の大統領選で最も激戦となっているが、このままいくと私はトランプ氏が勝利すると考える。

ミシガン州

ミシガン州はバイデン氏が勝利すると予想している。

ミシガン州はいわゆる「ラストベルト」に位置し、製造業が集積している。

しかし、今ミシガン州では雇用が減少している。トランプ政権下でミシガン州では労働力と雇用がともに増大し、失業率は4%近くで推移していたが、コロナウイルスの影響を受けて一時は失業率が24%を超えた。今も雇用が完全に戻っているとはいえず、トランプ氏が掲げてきた「雇用創出」の功績は霞んでいる。

失業率が増えたことは当然ながらバイデン氏も批判しており、2019年にGMの工場が閉鎖されたことを批判している。バイデン氏はミシガン州への産業回帰を訴えているので労働者層の支持は固いだろう。

また、前回の大統領選ではアフリカ系の労働者層の投票率は低かった。今回はBLM運動もあり、アフリカ系労働者は投票する人が増える可能性が高い。彼らは基本的に民主党支持なのでバイデンに投票する人が増えるだろう。トランプ陣営の最後の希望としては白人労働者層が挙げられるが、厳しい状況にあることは変わりはない。

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フロリダ州

フロリダ州も激戦区の一つだが、トランプ氏の勝利は確実とみている。

フロリダ州は元々保守的な傾向にある。最近はリゾート地として人口流入が進んでいるが、依然その傾向は変わっていないようだ。

今年の大統領選を占う上で、2018年のフロリダ州知事選は一つの指標になった。この知事選ではトランプ氏に近い共和党のデサンティス氏が勝利した。これでフロリダ州知事は4期連続で共和党の知事が続くことになり、やはりフロリダ州は共和党の地盤になっているという見方ができる。

また、トランプ陣営はヒスパニック層の切り崩しにも躍起だ。トランプ陣営としては選挙人の多いフロリダ州を落としてしまうと敗北に直結してしまうのでフロリダ州はかなり力を入れている。バイデン陣営としてはフロリダ州は「取れたらラッキー」くらいの認識だろう。

アリゾナ州

アリゾナ州は元々共和党の地盤で、今まで民主党の候補が勝利したのはビル・クリントン元大統領ただ一人である。しかし昨今は移民が入ってきていることもあり今回の大統領選では非常に拮抗している。

今回私はアリゾナ州はトランプが勝利するだろうと読んだが、どっちに転んでもおかしくない。

トランプが勝利すると予想したのはヒスパニック層からの支持が見込めるからだ。もともとヒスパニック層は「大きな政府」を望んでいる人が多く、民主党を支持する傾向がある。しかし、アリゾナ州はメキシコと隣接しており不法移民の流入が絶えない。保守層はもちろんのこと、最近ではヒスパニック層からも取り締まりの強化を求める声がある。

また、BLM運動によってヒスパニック米国人のビジネスが脅かされているという見方もある。BLM運動の一部勢力は略奪や破壊行動を繰り返しており、ヒスパニック米国人が経営する店が被害を受けている。BLM運動に反発するヒスパニック層は「法と秩序」を訴えるトランプ氏に投票する可能性が高い。

一方で、バイデン陣営としても光はある。そのカギはラテン系の人々だ。

アリゾナ州におけるラテン系の有権者の割合は24%と多い。最近は隣接するカリフォルニア州の物価上昇などを受けラテン系の人口流入は多い。特に州都フェニックスのあるマリコパ郡は全米で最も人口増加した群で、ラテン系の人口が多い。

2018年のアリゾナ州における上院議員選ではLGBTを表明している民主党のキルステン・シネマ議員が当選した。この背景にはマリコパ郡をはじめとしたラテン系の有権者からの支持がある。今回の大統領選でもラテン系の人々はバイデン氏に投票するとみられている。

こうしてみると、アリゾナ州ではどちらが多くの支持を得られるかは最後の最後まで分からない。

ペンシルベニア州

ペンシルベニア州はトランプが勝利すると予想した。

ペンシルベニア州は元々民主党の地盤で、多くの世論調査でもバイデン優勢だと報道されている。ではなぜ私がトランプ勝利だと予測するのか。

シェールガスである。

実はペンシルベニア州にはシェールガスの埋蔵量が多く、当然シェールガスを開発する企業が多い。生産量はテキサス州に次いで2番目で、州全体でシェールガスの開発や研究が盛んだ。

ところで、民主党の副大統領候補であるカマラ・ハリス氏は反化石燃料派の急先鋒で、当然シェールガス開発にも反対している。カマラ・ハリス氏は化石燃料業界への政府補助金の廃止を訴えており、またシェールガス開発に必要なフラッキングを禁止にするべきという主張を行っている。しかしそんなことをすれば当然シェールガス開発を行う企業は反発する。

一方でトランプ氏はシェールガス開発を推進しているので、シェールガス関係者はトランプ氏に投票するだろう。ペンシルベニア州は民主党の地盤だとはいえ、これはそれをひっくり返すのではないかと予想する。

勝負は最後までわからない

ここまで大統領選挙の予測をしてきた。しかし、最後にちゃぶ台をひっくり返すようで申し訳ないが、勝負は最後まで分からない。ある程度のところまでは予測することはできるが、大統領選は細かい出来事で勝負が変わることが多々ある。

昨日はトランプ大統領がコロナウイルスの陽性が判明し入院した。今のところ私は大きな影響はないとみているが、トランプ陣営の選挙活動に支障が出る可能性がある。

私は60票差でトランプ氏が勝利すると予測したが、例えばテキサス州でバイデンが勝利すればこれはひっくり返ることになる。大統領候補同士が直接相見えるテレビ討論会も2回残されている(トランプ氏のコロナ感染で開催が危ぶまれてはいるが)

まだまだ終わらない大統領選、注目だ。

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