11月1日に投開票が行われる大阪市廃止・特別区設置(大阪都構想)の住民投票だが、27日に新聞各紙は「大阪都構想でコスト200億増加、大阪市財政局公表」と言う趣旨の記事を公表している。
内容としては、大阪都構想で大阪市が4つに再編されると、コストが218億円増え、財政が悪化すると示唆する内容のデータが市財務局から出てきた、と書かれている。
しかしこの内容は、完全なミスリード、デマ、フェイクニュース、虚構なのである。そして、これを掲載したメディアはただちに撤回すべきであり、これを証拠をとして利用する反対派は恥を知るべきである。
コスト増報道の根拠とは?
今回の報道は、「大阪市を単純に4つの政令指定都市に分割された場合」と言う前提に基づいた試算が公表されている。ここで218億円増えるのは、「基準財政需要額」と言うものである。これは、毎日新聞が大阪市財政局が試算を要請し、要望された条件通りに応えたのだろう。要するに、毎日新聞は大阪市財政局を騙したのではないか?
基準財政需要額とは?
https://www.soumu.go.jp/main_content/000363663.pdf 「基準財政需要額」より
「基準財政需要額」とは、各地方団体の財政需要を合理的に測定するために、当該団体について地方交付税法 第11条の規定により算定した額である(地方交付税法第2条第3号)。 その算定は、各行政項目別にそれぞれ設けられた「測定単位」の数値に必要な「補正」を加え、これに測定単 位ごとに定められた「単位費用」を乗じた額を合算することによって行われる。基準財政需要額は、各地方団体の支出の実績(決算額)でもなければ、実際に支出しようとする額(予算額)でもない。
基準財政需要額=Σ各行政項目ごとの(単位費用×測定単位の数値×補正係数)

試算の問題点
まず、一番大事なのは「基準財政需要額」は実際の支出する予算額と全く関係が無い事だ。これは私の見解では無く、総務省自体の見解である。よってこの試算自体、全く意味が無いものだ。それをまるで実際に掛かる費用として報道するのはフェイクニュースだと言える。
更に、この試算は前提条件自体が滅茶苦茶だ。大阪都構想では水道、消防などの業務や、都市計画などの広域行政となる業務は大阪府と統合される。二つある事業主体が統合される事によって、二重行政は解消される。しかし、今回の試算は「大阪市を4つの特別区に再編する」のでは無く、「大阪市を4つの政令市に分割する」時にかかるコストを指摘しているのだ。要するに事業主体が2から5になる事によって、固定コストが増えるのだ。(これは間接的に都構想の必要性を指摘している事を反対派は理解できないのだろうか?)

即ち、この試算は大阪都構想とは全く関係が無いのだ。まるで関連性があるかのように報道するメディアは大阪都構想の制度に対する理解が著しく欠陥しているか、意図的に住民を騙そうとしているかのどちらかだろう。
正確なコストとは?
大阪都構想では、試算とは違い、特別区間で統一できる事は一部事務組合で統一し、コストカットを実現している。更に大阪府との事業統合により、特別区の財政負担は軽減されており、非常にコストが少ない計画となってある。
よって、法廷協議書に書いてある通り、大阪都構想のコストはたったの年間30億円だ。

都構想で財政は良くなる
コストが「たったの30億」だ、と言うと「それでも30億かかるじゃないか!」と騒ぐ反対派もいるだろう。しかし、「コスト」だけで物事を見て、「ベネフィット(利益)」を見ない姿は、政府の債務だけを見て資産を見ない財政破綻論者と似ている。要するに滅茶苦茶なのだ。
都構想には多大なる利益がある。法定協議会に提出された報告書には10年間で最大約1兆1000億円ものコスト削減効果がある事が分かっている。更にはマクロ経済効果も約5000億から1兆円の効果がある。
結果として、都構想にはコストをあるが、それをはるかに上回るメリットがあるのだ。それを無視した、初期費用に対する批判や、ランニングコストに関する批判は非誠実であろう。
メディアの使命とは?
この様に、事実を直視せず、虚構とも言えるデータを一面に掲載するメディアには呆れざる得ない。この印象操作で住民投票の結果が変わるのであれば、メディアは民主主義を間違った情報で破壊した事となる。
住民投票までわずか5日のこのタイミングでの一斉拡散。正に反論を行わさせない為にこの時期に公表されたのではないか? ウソを言い、騙す相手に考える時間を考えさせない為では無いか?やっている事は詐欺師と一緒なのではないだろうか?公共機関として軽減税率や様々な特権をメディアに与える必要はもはや無いのではないか? 我が国の主権者である筈の国民をプロパガンダでコントロールする姿は独裁者そのものだ。
大手報道社でさえ事実を直視しない世の中ではあるが、我々「おとな研究所」では事実に基づいた報道・論評を行う事を読者に約束する。