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株バブルの裏に見える産業構造

株バブルの裏に見える産業構造

日経平均株価、29年ぶりの高値

11日、 東京株式市場の日経平均株価(225種)は8営業日続伸し、1991年11月以来、約29年ぶりので2万5000円台水準相場を維持している。 終値はバブル崩壊後最高値の2万5520円88銭(前日比171円28銭増)と、29年5か月前の平成3年6月を超える水準となった。

コロナ禍の景気低迷の中、主要国中央銀行の金融緩和策を背景に続く世界的な株高を背景に、政府の追加補正予算に対する期待、米国議会のねじれ状態維持に対する期待感、そして新型コロナウイルスワクチン開発の前進に対する期待感などの要因が株式の全面高に結びついた。

そもそも株とは

ほぼ毎日、報道機関が注目する「株」だが、そもそも「株」とは何かとの説明はあまり見られない。

「株」は「株式」の略称で、企業が資金調達の為に発行する有価証券(特定の財産を保有している証)である。ただ、社債(会社の借金)などとは違い、株を購入した場合、その企業の一部を所有している事となり、その企業の利益の一部を受け取る事ができる。これを配当と呼ぶ。

これらの株は、利益を得ようとする投資家や、顧客の信託を投資する銀行、そして年金機構などの公的機関の間で取引が行われる。将来性のある企業ほどその株の価格は上がり、将来性の無い企業の株は下がる事となる。

そして、株は現代の金融市場における取引の要となっており、東京株式市場では毎日2兆円を超える取引が行われている。

東京株式市場には3600社を超える企業が株を上場しており、この株式市場の総合的な値動きを把握する為には株式指数が必要となった。指数は主に日経平均株価(N225)や東証株価指数(TOPIX)などが存在する。

日経平均株価(N225)の問題点

日本の旗艦株価指数である日経平均株価(日経225)であるが、近年様々な問題が指摘されている。ここ30年の産業構造により、日本経済を代表すべき銘柄が変わりつつあるのに、日経の採用銘柄は他国の指数と比べ、30年前から採用されている企業の内訳の変わりが遅い。結果的に日経225は保守的な指数と指摘されている。

更に日経225は寄与度(株価への貢献度)上位5社の値動きが株価の値動き20%を占めるまでになっている。歪んだ構造であり、真に現在の大企業の業績を反映できていないという指摘がある。

日経500指数とは

近年、変化に対する対応の遅さが指摘されている日経225指数だが、その兄弟指数「日経500」指数が脚光を浴びている。現在歴代最高値(3万8957円)の六割しか回復できていない日経225指数だが、日経500指数は既にバブル時の高値を今年9月に突破している。ここ数年の日本企業の業績はバブル時と比べ良好であった事を鑑みると、当たり前の結果なのかもしれない。

更に日経225指数は今年一月から約7.8%しか値上がりをしていないが、日経500指数は約13.4%も値上がりしている。ドル換算で見ても、米国S+P 500指数の10.58%を上回る利回りだ。

日経500が示す産業構造の転換

日経500指数の強さは円相場の急激な悪化にも耐えられる企業が近年成長している事が背景にあるだろう。円安に頼る自動車や造船産業を主に含む日経225指数は旧来の加工貿易モデルに頼っている企業で、中韓との激しい競争にさらされている産業でもある。しかし日経225に含まれていないが、500に含まれている企業の中には任天堂や村田製作所、キーエンスなど近年成長傾向にある企業も多く含まれている。これらの電子製造系企業だけではなく、比率として日経500指数はサービス業の割合が高いのも特徴的だ。

20世紀の輸出系製造業が主役だった日本経済と比べ、現在はサービス業の方は業績の安定性や成長性では高く評価され、日本経済の主役となりつつある。近年のアベノミクス景気により一時的に製造業は勢いを取り戻したが、菅政権の規制緩和路線は自然と産業構造の転換を促し、我が国の産業構造は英米に近いサービス主役の構造となるだろう。

日経平均株価が時代遅れと指摘されるのは、革新が停滞していた我が国の産業構造がやっと21世紀的な形に変わりつつある事を意味している。歓迎すべき事だ。

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