GoToトラベル事業はコロナウイルス感染拡大の原因ではない


3日前、Twitter上で「#日本のコロナは自民党の人災」というタグがトレンドに上がっていた。そのほとんどが政府の観光支援事業「GoToトラベル」に対する批判であった。

しかしそのほとんどは事実誤認によるもので、そもそもGoToトラベル事業が新型コロナウイルスの感染増につながったという根拠は乏しい。

そして今日、菅首相は感染拡大地域でのGoToトラベルの一時停止を表明したが、本当にGoToトラベルは感染拡大の原因となっているのだろうか。今回はその実態を調べてみることとする。

数字を見れば歴然のGoToトラベル

まず、GoToトラベルの利用者(ここでいう利用者とは延べ人数であり、繰り返し利用した人数も含める)からGoToトラベルを利用した人のうちの感染者数を割ってGoToトラベルを利用して感染する割合を大雑把に求めてみる。

この時事通信の記事によると、GoToトラベルの利用者数は延べ3976万人、そのうち新型コロナウイルスに感染した人数は155人であることが分かった。

ここから、GoToトラベルを利用してコロナに感染する確率を求めると約0.0003%となった。これだけでも、GoToトラベルが感染拡大の一因になったとはいいがたい。

さらに、GoToトラベルを利用した感染者は旅行先で感染したとは限らないので、GoToトラベルが原因で感染した人数はさらに低くなる。

また、GoToトラベルが原因でクラスター化したのは勝浦の旅館の一件だけで、GoToトラベルはそこまで感染拡大に繋がらなかったことがわかる。

エビデンスを示さずGoToトラベルを悪者扱いする日本医師会長には呆れる

そうした中、日本医師会長の中川氏は「GoToトラベルが感染急拡大のきっかけになったことは間違いない」という認識を示した。

しかし、記事の内容を見ると、「GoToトラベル自体から感染者が急増したというエビデンスはなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いないと私は思っている」と完全に主観でGoToトラベルを批判していることがわかる。

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多方面に影響を与える日本医師会のトップである中川氏がエビデンスを示さずこのような発言をするのはあまりにも軽率だと言わざるを得ない。

また、中川氏は「感染者が増えたタイミングを考えると関与は十分しているだろう」としているが、これは立派な詭弁だ。中川氏は「GoToトラベルが開始された後に感染拡大が起こった。だからGoToトラベルは感染拡大の原因だ」とでも言いたいようだ。しかしA が起きてから B が起きたという事実だけで、A が B の原因だと主張するのは「前後即因果の誤謬」という。中川氏は前後関係と因果関係を混同してしまっている。

念のため、GoToトラベルと感染拡大の相関関係を調べてみた。

このグラフを見ると、GoToトラベルが開始された以降一度感染者数は下がっていることがわかる。中川氏の言うように「GoToトラベルが開始された後に感染拡大が起こった」というのであれば8月以降2次関数的に感染者が急増するはずである。(何しろ夏休み期間でもある)

GoToキャンペーンが始まった時も、GoToキャンペーンに東京が追加された時も、その2週間後に急激に感染者が増えたとは言い難い。以上のことより、GoToキャンペーンが原因で感染者が増えたというのは完全に誤りである。

なおこの日本医師会長の中川氏は、先ほどの発言をした翌日に突如日和ったのか「GoToトラベルを国が推進することで国民が完全に緩んでいる」と心情論に話をすり替えた。

しかしこんなことを言っていては、いかなる景気浮揚策も「緩みに繋がる」ということになってしまい日本の経済は没落してしまうことだろう。

感染対策と経済対策の両立を

極端な話、盤石な感染症対策を行いコロナをゼロリスクにするためには国民全員の行動を強制的に制限すればいい話だ。しかし、そんなことをしていてはその間に日本の経済活動は途絶え、自殺者も増加していくだろう。国も無限に補助金を出せるわけではなく、またそもそも経済活動をやっていないわけだから生活必需品の調達にも困ることになっていくだろう。

もちろん私も感染対策と経済政策が単なる1対1の関係でないことは理解している。仮に感染対策をないがしろにしてしまってはコロナの重症者・死亡者は増加しいずれ経済も回せなくなっていくだろう。大切なのは、0か100かではなく同時進行で対策を行わなければならないということだ。

そのうえで、GoToトラベルは経済対策の一つのキーとなる。人々の購買意欲をブーストさせる効果がある上、旅行代金の一部を補助する仕組みなので直接給付するよりも安上がりでコスパが良く、素晴らしい景気浮揚策と言えるだろう。

コロナをある程度抑えつつ経済も同時に回していくというのはもう終わった議論だ。首相は今日、感染拡大地域でのGoToトラベルの運用見直しを表明したが、感染が一定程度収まってきたら再度景気浮揚させるためにもGoToトラベルは必要になってくる。

操縦桿を握っている政府は感染対策とGoToトラベルを含む経済政策を両立させることで、コロナスパイラルから徐々に抜け出すことを期待したい。

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