「桜を見る会」前夜祭問題で安倍前首相はどうなる?今後の展望は?


「桜を見る会」の話題が再燃している。

11月23に読売新聞の「安倍前首相の公設秘書ら、東京地検が任意聴取」と言う記事と、NHKの「“安倍前首相側が一部費用負担”示す領収書などホテル側が作成」という記事が立て続けに報じられた。これ以降「桜を見る会」の前夜祭の疑惑が再燃、安倍事務所側が前夜祭の費用を一部負担したことが明らかになり、問題となっている。

また昨日には東京地検特捜部が安倍氏の公設第1秘書と事務担当者を政治資金規正法違反で略式起訴する見込みだと報じられ、今日は安倍氏に事情聴取が行われたようだ。

今回は「桜を見る会」の前夜祭の一部費用負担の問題をめぐり、具体的にどんな罪に問われるのか、また今後の展開はどうなるのかに迫る。

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公選法の「買収」「寄付」にはあたらない見込み

桜を見る会の前夜祭の費用の一部を安倍事務所が負担したことが問題になっているが、これは公職選挙法違反となるのだろうか。

答えは否だろう。まずこの費用負担が「買収」に当たるかどうかだが、公選法には以下のような記述がある。

公職選挙法 第二百二十一条(買収及び利害誘導罪)

当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC1000000100

ここで、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」と記されている。つまり、買収が成立するためには「選挙で当選を得るという目的」が必要になる。

桜を見る会及びその前夜祭は毎年定期的に開催されているイベントで、選挙に関係なく開催されている。「選挙で当選を得る目的」があったと証明することは無理筋だろう。

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また、「寄付」に当たるかも微妙なところだ。寄付についても公選法に記述がある。

公職選挙法 第百九十九条の二(公職の候補者等の寄附の禁止)

公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、(中略)当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対してきよう応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第百九十九条の五第四項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。

内容がわかりづらいが、簡単に言うと候補者が政治教育集会(饗応接待を除く)の実費を補償する際は寄付には当たらないと記されている。

桜を見る会の前夜祭は、安倍氏の政治集会という位置づけになるので、政治教育集会とみなされる可能性が高い。また、前夜祭が度を越えた食事の提供(饗応接待)に該当するかどうかについては非常にグレーゾーンだが、安倍事務所側は前夜祭の全額を負担したわけではなく一部を負担しただけなので、安倍事務所側は食事や飲み物代だけを負担したという言い分であれば饗応接待に当たる可能性は低いといえる。

政治資金規正法違反は成立する見込みだが…

最初に東京地検特捜部が安倍氏の公設第1秘書と事務担当者を略式起訴する見込みと記したが、それは政治資金規正法違反(不起訴罪)のことである。

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政治資金規正法には以下の記述がある。

政治資金規正法 第九条(会計帳簿の備付け及び記載)

政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。

(中略)

 すべての支出(当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む。)並びに支出を受けた者の氏名及び住所(支出を受けた者が団体である場合には、その名称及び主たる事務所の所在地。)並びにその支出の目的、金額及び年月日

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https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000194

ここで、政治団体の会計責任者はすべての支出を会計帳簿に記載しなければならないと記されてある。しかし、会計帳簿をもとに作成される政治資金収支報告書には桜を見る会の前夜祭の支出は記されていなかった。よって、政治資金規正法違反は成立する見込みだ。

では、昨日安倍氏の公設第1秘書と事務担当者が略式起訴される見込みだと報じられたが、安倍氏自身は罰則を受けることになるのだろうか。

それは現時点ではわからないといったところだろう。「政治団体の会計責任者」は政治家本人とは限らない。安倍事務所の会計責任者は公設第1秘書だ。そのため、東京地検特捜部はまず公設第1秘書を略式起訴するのだろう。

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焦点は、未記載を安倍氏自身が指示したかどうかだ。仮に安倍氏が指示したのであれば当然共同正犯が成立するが、秘書が独断で未記載をしたのであれば罪に問われるのは秘書のみとなり、安倍氏自身は罪に問われない。これは今後の捜査で明らかになっていくことだろう。

また政治資金規正法は比較的軽微な罪で、候補者との関係が深い人が選挙違反で刑に処せられる「連座制」は適用されない。公設第1秘書が仮に罰則を受けることとなっても、安倍氏自身が刑に処せられることはない。

偽証罪には当たらない

安倍氏は首相在任中の前夜祭に関する答弁では、一貫して事務所側の支出を否定していた。これは刑法の「偽証罪」には該当するのだろうか。

それは否だ。まず、刑法の「偽証の罪」では以下のような記述がある。

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刑法 第百六十九条(偽証)

法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

ここで、議院における「法律により宣誓した証人」とは、証人喚問における証人に限る。そのため、通常国会の答弁などは罪に問われることもないのだ。

また、日本国憲法第51条では次の記述がある。

日本国憲法 第五十一条

両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

要は国会議員の答弁は責任(刑事責任を含む)に問われることはない。そのため偽証罪に問われることは確実にあり得ない。

そもそも安倍事務所の会計責任者は公設第1秘書であり、安倍氏が直接収支報告書の未記載に関わったわけではないのであれば、秘書からの伝聞を答弁したに過ぎないのだろう。安倍氏が秘書に命じて未記載を行ったのであれば話は別だが、安倍氏にとっては秘書からの言伝を事実だと思い込んでいた(実際には秘書に騙されていた)ということであれば、ここは安倍氏にも同情する点だ。

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今後の見通しは

「政治資金規正法違反は成立する見込みだが…」で前述したように、まずは未記載を安倍氏自身が指示したかどうかが焦点となる。東京地検特捜部は国会会期末である今日事情聴取を要請したという一部報道があることから、これはすぐに明らかになるだろう。

また、特捜部は略式起訴する見込みだと報じられているが、略式手続の場合罰金刑となり正式裁判は開かれない。だが仮に裁判所が書面審理だけでは真相究明が難しい、もしくは罰金刑はふさわしくないと判断した場合は正式裁判が行われる。正式裁判が行われる場合、動機など未記載とした背景も明らかになるだろう。

刑事訴訟法 第四百六十三条

第四百六十二条の請求があつた場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000131

そして、安倍氏自身は刑事責任に問われる可能性は低いものの、国会で事実と異なる答弁を繰り返していたことは確かだ。仮に秘書に騙されていたとしても政治的責任は問われることになるだろう。野党の追及も強まることが予想される中、安倍氏自身はどう出るのか今後の行動にも注目だ。

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高校2年のブロガー
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