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“補選”隠しの4月衆院選の可能性は

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で我々の生活状況が一変してしまった2020年も間もなく終わる。年明け間もなくには通常国会が開会され、来年度予算の審議がスタートする。2021年の政局は大きく動く可能性が高い。というのも、7月には東京都議会議員選挙そして9月には自民党総裁選が行われる。また、注目される衆院解散総選挙も10月までに必ず行われ、大型選挙が続く年となるだろう。

支持率下落に続く不祥事…

今年9月に発足したばかりの菅政権は60%を超える高い支持率でスタートした。携帯電話料金の値下げや不妊治療の保険適用など多くの国民が期待する政策を打ち出し、安倍政権から続く安定路線を継承するのではないかと思われたものの、12月に入り状況が一変。コロナ感染拡大やGoToトラベル批判、さらには安倍前総理や、先日議員辞職した吉川元衆院議員をめぐる「政治とカネ」の疑惑など政権運営を大きく揺るがす事態が発生したのである。

政権批判が高まり、各社世論調査では内閣支持率が軒並み10%超の下落した。調査会社によっては「支持」と「不支持」が逆転したものもある。また、今週行われた読売新聞や日経新聞の調査では自民党の政党支持率の下落が観測されている。与党支持率が立憲民主等の野党に流れている事は観測されなかったものの、次期衆院選は立憲民主党や日本維新の会へ投票する意向の有権者が増加するなど、早くも「異変」が生じているものは確かである。

4月解散総選挙の可能性が極めて高い理由

支持率下落現象を幾度なく乗り越えてきた与党自民党であるが、来年は試練が待ち構えている。先程も申し上げた通り、衆院の任期満了は来年10月であるためにそれまでに解散が行われることは確実である。問題はそのタイミングだ。①1月冒頭解散説 ②予算成立後 ③通常国会会期末 ④都議選ダブル ⑤任期満了 の5つのシナリオが考えられるが、①はコロナ感染拡大終結が見通せない為に解散を打ち込む事はまずありえない、③④は公明党が嫌悪する時期である為に可能性は極めて低い。となると②か⑤の二択に自然と絞られてくることになる。

しかし、昨日に入り状況は更に一変した。立憲民主党所属の羽田雄一郎参院議員が亡くなられたことにより、来年4月25日には補欠選挙が行われることとなった。現時点では衆院北海道2区、参院長野県選挙区の2か所となる。更に河井杏里氏が失職すれば参院広島も含め「トリプル補選」となる。

現在の情勢を分析するに、北海道と長野は野党勢力が強い為に自民党は極めて不利な戦いを強いられるだろう。2敗する可能性が高い。(広島は自民勝利か)

自民党は昨年のW補選でも大阪では日本維新の会、沖縄ではオール沖縄系の候補に敗れ2敗しており、補選連敗を避けたいのは執行部の本音ではないか。

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更にここで4月の補選で負ければ、7月の都議選、9月~10月の衆院本選で野党側の勢いが増すことは確実だろう。

つまり、与党側の被害を最小限に抑える為に補選のタイミングで衆院選を打ち込むシナリオが浮上したといえるのではないか。いくら立憲民主党の支持が伸びないと言えども、内閣への不信感が増し更には「野党共闘」の体制が進めば全国70近く存在する与野党接戦区で与党側が惜敗する可能性も否めない。

最早自民党側は「守りの選挙」を強いられるだろう。政権への被害を最小限に食い止め、そして9月の自民党総裁選で菅氏が再選するには、「4月25日投開票」の可能性が最も高いのではないか。