東京五輪は2021年に開催すべきなのか 日本がとるべき行動は?

今月7日に、IOCの最古参委員であるディック・パウンド氏が「東京五輪が開催できる保証はない」という見解を示したとイギリスのBBC放送が伝え、波紋を広げている。

今回は、東京五輪は開催すべきなのか、また違約金問題も踏まえつつ、日本がとるべきベストな選択肢は何なのかを記す。

五輪は中止すべきなのか

私は、五輪は中止すべきだと思っている。

コロナ禍でインバウンド需要は減少、感染拡大で多くのイベントは中止、観光客も見込めない中開催費用だけがかさみ、日本及び東京都にとってはメリットは少ないからだ。少なくともコロナ禍で成人式ですら中止するところが多いにもかかわらず、東京五輪を行うことは無謀だとしか言いようがない。

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延期という選択肢もあるが、五輪を延期するには追加費用がかかる。今回2020年に行われるはずであった東京五輪が2021年に延期されたことによって、コロナウイルス対策や大会会場の再契約などで2940億円が追加経費として必要となった。これが再延期となると、さらに追加費用がかさむことになる。

それにいつコロナが収束に向かうのか不透明な状況。考えたくはないが、来年は今年以上に感染が拡大する可能性もないわけではない。それを踏まえると、延期の選択肢は現実的ではない。

日本が中止を要請してはいけない

しかし、だからといって日本が簡単に中止を宣言したりIOCに要請することができないのには理由がある。IOCと東京都が結んだ「開催都市契約」の第66条には以下のような記述がある。

理由の如何を問わずIOCによる本大会の中止またはIOCによる本契約の解除が生じた場合、開催都市、NOCおよびOCOGは、ここにいかなる形態の補償、損害賠償またはその他の賠償またはいかなる種類の救済に対する請求および権利を放棄し、また、ここに、当該中止または解除に関するいかなる第三者からの請求、訴訟、または判断から IOC 被賠償者を補償し、無害に保つものとする。

つまり、簡潔に言えばIOCは独断で東京五輪を注視する権限を持ち、中止になった場合は日本側に補償や損害賠償の権利はなくなるということだ。

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また、既にIOCは放映権をテレビ局に売却済みで、仮に大会中止となると違約金が発生しかねない。先ほどの開催都市契約の第9条には以下のような記述もある。

開催都市、NOC、およびOCOGは(中略)直接または間接を問わず、IOCが被るすべての損害、申し立て、訴訟、損失、費用、支出、およびまたはあらゆる性質の責任から、常に補償し、防御し、かつ害が及ばないようにし、また免責する。

この条文を見ていただければわかるように、東京都やNOC、OCOGはIOCに発生する損害を補償しなければならなくなる。放映権の違約金も東京都らの負担になる可能性が高いのだ。

こうした負担を日本側が少しでも避けるには、IOC側から東京五輪中止を言い出してもらうほかない。一応開催都市契約の第71条で日本側がIOC側に「要請する権利」自体は認められているものの、仮に日本側から中止を要請してしまうと、費用負担をめぐって更に不利な立場に立たされる可能性がある。そのため、日本側は中止したくてもチキンレースの土俵に上がるしかないのだ。

IOC内でも意見の相違

しかし希望の光がないわけではない。

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IOCは7日、緊急事態宣言が一都三県に発令されたことを受け、談話を発表した。その内容は「日本の当局とその対策に全幅の信頼を寄せている。日本のパートナーとともに今夏の東京五輪・パラリンピックを安全かつ成功裏に開催するため、引き続き全力で集中して取り組んでいく」というものであった。

さらに、IOCのバッハ会長は大会の再延期や中止の可能性を否定し続けている。

しかし、冒頭に紹介したようにIOCのパウンド委員が「東京五輪が開催できる保証はない」という見解を示している。また、IOCのコーツ副会長も以前は東京五輪の開催に懐疑的でIOCの中にも五輪の開催を危ぶんでいる委員はいる。こうした委員が増えてくればIOCの風向きも変わり、IOC側から大会中止を要請してくることもありうる。

ただし日本はここで絶対にIOCに対して中止を要望してはならない。仮にIOCが開催中止にかじを切ろうとしても、日本がここで五輪中止を要望するとIOC側としては日本が中止を要請したことを口実に違約金を請求してくる事態もありうる。日本はじっと待って、IOCの判断を待つしかない。

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よもぎ

よもぎおとな研究所 副編集長

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