
人工筋肉と聞いて「人工筋肉という言葉は、幹細胞を利用した再生医療工学
による“本物の筋肉”を人工的に作る」という意味にとらえる方もいるかもしれません。ここでは「実用化も遠くないと期待しているロボットにも使える柔軟な人工筋」について話します。
現在、アクチュエータ(動力源と機構部品を組み合わせて、機械的な動作を行う装置、物を動かす装置や部品等全般のこと)は大きく分けて2つ種類があります。
1つ目はモータです。これは聞きなじみがある人も多いのではないでしょうか。ラジコンやドローン、電気自動車など広く使われています。小学校の理科の時間に実験で使ったことがある人もいるのではないでしょうか。

2つ目はシリンダです。中空の円筒状をなしその内部でピストンをエアーや油圧によって往復運動させる気筒です。ショベルカーなどに使われておりモーターに比べパワーを出すことができます。

この二つが現在主に使われているアクチュエータです。
これらのアクチュエータもかなり凄いです。現代の産業はこれらによってなりっ立っているといっても過言ではありません。しかしこれらの不得意な分野で活躍が期待できそうなのが人工筋肉です。
人工筋肉の凄さは大きく分けて2つあります。
無機物からできていること
幹細胞を利用した再生医療工学による“本物の筋肉”を人工的に作ることも医学や技術としてとても優れています。しかしロボットやパワード・スーツ、ドライブ・シミュレーターなどに使用する際有機物だと生物でいう糞や尿ができてしまい扱いずらくなってしまいます。しかし無機物ならばその心配がなく使用することができるため格段に使いやすくなります。
「柔らかい」動力源であること
摩擦により余分に消費されていたエネルギーが少なくなるためより効率の良い装置が開発される可能性が高いです。
また、構造が動力を生むわけではなく素材自体が動力源です。そのため装置の小型化にも役立ちます。
さらに、柔らかいため人間の筋肉の付き方のように工夫をすることで今までよりも省スペースで複雑な動きができるようになります。
私が個人的に注目している人工筋肉の種類はCNT筋繊維です。
カーボンナノチューブを加工し作られており空気よりわずかに思い程度の質量ですが反応速度も出力も生体筋肉より優れています。
これらことから人工筋肉は今まで実現できなかった・創造できなかった技術や今までよりより便利なものを作り出すことに大きく関わてくるのではないかと考えています。SF作品のようなロボットができるのも夢ではないのかもしれません。
〔The University of Texas at Dallas 「Researchers Create Powerful Unipolar Carbon Nanotube Muscles」(最終閲覧:2021年2月10日)https://www.utdallas.edu/news/science-technology/unipolar-carbon-nanotube-muscles-2021/〕
〔平井利博 信州大学繊維学部 教授/繊維学部長「進化する人工筋肉―ロボット、人工臓器、医療まで―」(最終閲覧:2021年2月10日)https://www.japanprize.jp/data/seminar/200807hirai_ppt.pdf〕
〔チップワンストップ 「アクチュエータの種類と特長」(最終閲覧:2021年2月10日)https://www.chip1stop.com/sp/knowledge/082_types-and-featurs-of-actuators〕
〔ダイワ株式会社・光精工株式会社 「油圧シリンダ」https://www.daiwa-hikari.com/products/〕
〔ASPINA 「アクチュエータとは」https://jp.aspina-group.com/ja/learning-zone/columns/what-is/006/〕
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