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世界の選挙制度(2)-オーストラリア下院

オーストラリアは太平洋州最大の民主主義国家であり、日本とも基本的価値観を共有する国である。オーストラリアは大英帝国によって入植された歴史から、日本と同じくウェストミンスター制度(立憲君主制の下に2院議員内閣制)を採用している国家である。その為、これから説明する議会制度は日本の国会と似ているところが多い。

下院(衆議院)

Australia general election 2019 - Results by Division.svg
オーストラリア全選挙区

オーストラリア議会の下院の定数151名は全て小選挙区にて選出される。法律で一票の格差は10%以内に収まる事が義務付けられていることもあり、選挙区の変更は頻繁に行われる。

各選挙区の人口

小選挙区とは言えども、日本の小選挙区と選挙制度は異なる。日本の場合は最多得票者が即当選する制度だが、豪州では優先順位投票制、即時決戦投票が行われる。

「Balloy paper australia」の画像検索結果
衆議院選挙の投票用紙

これは、有権者が候補者の選好順序を記述する方式である。候補者は過半数の得票を得るまで当選しない為、第一回の集票(一位得票の集計)での候補者も過半数を得なかった場合、最低得票候補者が落選となり、その候補者に投票した有権者の2位票が集計され、一位票に足される。このプロセスは過半数の票を経た候補者が選出されるまで続けられ、小選挙区で起こりやすい死票の低減と共倒れを防ぐ効果がある。

例:

 有権者1有権者2有権者3有権者4有権者5有権者6有権者7有権者8一位票数
候補A111233323
候補B332112213
候補C223321132

この場合、投票総数が8 なので候補者が当選するには5票獲得しなければならない。最初に一位票数が集計され、最低得票だった候補者Cが落選確定となり、Cに投票した有権者の二位票が配分される。

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 有権者1有権者2有権者3有権者4有権者5有権者6有権者7有権者8得票数
候補者A111233323
候補者B332112215 (3+2)

候補者Cに投票した有権者の二位票(赤字)と両候補の一位票を合計した結果、候補者Bが過半数を獲得し、当選した。

この選挙制度は結果的に(より多くの二位票を獲得する為に)二大政党を中道へ押す結果となったとの指摘もあるが、小政党(緑の党、「一つの国家」など)は二大政党へ二位票を回す約束(各政党は投票所で有権者に「投票奨励カード」を渡し、そこで有権者が「投票すべき」順位を示す)をする代わりに政策要求を行う事も少なくはない。

「how to vote cards」の画像検索結果
投票カードの一例

次回はオーストラリアの上院について解説していきたいと思う。

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