Clubhouseのデータ、中国企業に送信か 問われる情報セキュリティ

招待制音声SNS「Clubhouse」は、今年に入ってから日本国内で急速に注目を集めているアプリだ。

政治家や芸能人、著名な実業家などが数多く利用していることから、ユーザーは日に日に増えている。

このClubhouseについて、ここ数日気になる情報が飛び交っている。本稿ではClubhousで想定される問題に加え、中国企業にデータ送信されている疑惑についてついて取り扱っていきたい。

そもそもClubhouseとはなにか

Clubhouseと先述のように「完全招待制」の音声SNSだ。

開発したのは、元Google社員のポール・ダヴィソンとローハン・セスで、2020年2月に「アルファエクスプロレーション(Alpha Exploration)」を共同で創業。4月からサービスを開始した。

β版のためiOSのみの対応しており、Android用アプリは開発中であるとのこと。

参照:Social media darling Clubhouse takes heat for chat recordings -Nikkei Asia

アプリを使用するには、「登録」と「招待」の2段階を踏まなければならない。

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アカウントの「登録」は携帯の電話番号があれば誰でも可能だ。SMSでコードを受信して認証し、実名によって登録できる。

この先のステップに「招待」が必要になる。アカウントのアイコンやプロフィールを設定できる他、携帯電話の「連絡先」を紐付けることで、既にClubhouseを利用している知人と繋がることができる他、まだ登録していないユーザーを招待することもできるようになる。

タイムラインは「room」と呼ばれる空間で、これに参加するとroomの「audience」として、主催者である「moderator」や、その他の話し手である「speaker」の会話を聞くことができる。audienceとして参加している間は「挙手」をすることができ、moderatorが許可をすることでspeakerとなって壇上に上がることもできる。

主催者はこの機能を使い分けることで、「room」の性質を決めることができるというわけである。

さらにこのアプリの魅力として、後日予定されているroomの予定を確認・共有できるカレンダー機能や、他のアプリを使っていても聞いていることができる「バックグラウンド再生」などがある。

そして最も特徴ある機能として、「room」の分類がある。検索などから誰でも聞くことができる「Open」、主催者がフォローしている人が聞くことができる「Social」、招待された参加者のみが聞ける「Closed」の3種類だ。

この分類を、用途ごとに使い分けることができるというわけである。

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Clubhouseの問題点

機能の簡単な説明は以上で、ここからはこのアプリの問題点を挙げていこうと思う。

「FOMO」-取り残されることへの不安

まず物理的な問題として、iOSユーザーしか使用できないという点だ。Androidを始め、他のOSを使用している人にはそもそもアプリのダウンロードができない。例えば政治家など公共の人々を相手にする職業の人がこのような場で発信する際は格差を生む原因にもなってしまう。

また招待されなければ参加できないことも挙げることができるが、これは改善されるということなので深く言及しない。

さらに、room内でメッセージを送るなどの機能がないことから、途中で退席ということもしづらくなっている。閉鎖空間を作り出すこともできるため、(コミュニティガイドラインでは禁止されているが)いじめの発生などを防ぐことも難しいだろう。

参照:photo-AC

これらを総合して言えるのは「FOMO (Fear Of Missing Out=取り残されることへの不安) 」の懸念だ。これはSNS一般に対しても言うことができるが、ある種排他的・閉鎖的な側面を持つため若年層を中心に問題が起きる可能性は否定できない。

その他に、臨床心理士でライターの南舞氏は以下のように指摘している。

ストレスや疲労などで心身ともに疲れていたり、もともと共感性が高い人であったりすると、SNS上での他人の悩みを聞くことで【自他境界(バウンダリー )】があいまいになってしまうことがあります。【自他境界(バウンダリー )】とは、『相手と自分は別のものである』という心の境界線のようなもの。これがあいまいな状態だと、相手の話も自分のことのように捉えてしまい、心の不安定さを引き起こすことがあります。

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臨床心理士が音声SNS「Clubhouse」を使ってみて考えた「自分を守るSNSとの付き合い方」

相手の表情や細かいニュアンスが伝わらないというアプリそのものの性質が、個々が抱える問題を悪化させてしまうこともあるということだ。

音声が保存されないことの問題点

捜査関係者を含む多くの識者が問題点として指摘しているのが「録音されていない」という点である。

Clubhouseの運営会社Alpha Exploration Co.のプライバシーポリシーには以下の記述がある。

Audio:インシデント調査をサポートする目的のためのみに、ルームが稼働している間、ルーム内の音声を一時的に録音します。ルームが稼働している間にユーザーが信頼と安全の違反を報告した場合、インシデントの調査のために音声を保持し、調査が完了した時点で削除します。インシデントが報告されなかった場合、ルームが終了した時点で一時的に録音された音声は削除されます。(i)ミュートされたスピーカーと(ii)聴衆の音声は決してキャプチャされず、すべての一時的な録音は暗号化されています。

Notion – The all-in-one workspace for your notes, tasks, wikis, and databases

要は、一時的な録音はされるものの報告がなされなければルーム終了時点で録音が削除されるのだ。報告をされたとしてもデータは米国のサーバーに転送されるため開示は困難である。

加えて、個人ユーザーによる録音も禁止されている。サービス利用者のプライバシー保護の観点からだろうが、薬物の売買や援助交際などの「証拠」が残らないため犯罪者にとっては格好の環境になってしまう恐れがある。

またそこまで極端ではないものの、ルール違反とされている録音に対する具体的な対処ができないことも問題だろう。藤田ニコル氏はTwitterで以下のように述べた。

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これらを見ても、「音声保存の意義」と「音声保存しない意義」の両方を挙げることができ、かつその徹底は極めて困難であるということがわかる。

いずれにしてもどこの誰が聞いているかわからない場で、かつどのように流出するかも不明であるため、使用の際は十分な注意が必要だろう。

「電話番号」を取り扱う懸念

先述のようにサービスの利用には既に登録しているユーザーからの招待が必要だが、この際「電話番号」が必要になる。

そのため招待する権利をいいことに電話番号を入手しようとしたりするケースが想定され、トラブルの原因となる可能性がある。

また連絡先(=電話帳)の同期が必要になるため、特にアプリを使用していない人の個人情報をこうしたトラブルに巻き込んでしまう懸念も否めない。

電話番号登録制にしているのはむしろ安全性を高めるためであろうが、招待権限の売買が行われている点からも、十分な注意が必要だろう。

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中国企業にデータ送信疑惑

そしてここからが本稿の主題だ。

日本時間の今月2月12日、ロイター通信は米・スタンフォード大学が「Clubhouseのデータが中国企業に渡っており、これを通じて中国政府がデータにアクセスできる可能性がある」ということを発表したと報じた。

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Akiおとな研究所 編集長

投稿者プロフィール

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おとな研究所 編集長
趣味は短歌、動画編集。不登校経験あり。

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