【主張】オリンピックと人権問題 二重基準は決して許されない

森善朗氏辞任、ようやく後任に橋本氏と決定

 森善朗東京オリンピック・パラリンピック組織委員会前会長が、女性蔑視とされる失言を行った結果、世界中から猛バッシングを受け、辞任した。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、後任選びに難航していたが、昨日18日、ようやく橋本聖子オリンピック担当大臣が辞職して横滑りする形で、森会長の後任として就任した。

 会長の後任選びに難航した理由には、女性や若い人材を後任にすべきだという世論が強まったこともあるだろう。しかしそれ以上に、森前会長の高い実務能力は、他の者には代えがたいものであったのだろう。後任候補として、一時安倍晋三前首相が挙がったことが示す通り、元首相クラスの人でなければ組織委員会の会長の仕事を、うまく回すことが困難なのだろう。

 結果的に橋本大臣が「火中の栗」を拾い、後任となったことで、事態は一件落着したかに見える。

森発言を利用し東京オリンピックの中止を求める「自称リベラル」

 森善朗前会長が辞任したあとも、赤旗などはバッシングを続けている。確かに、森前会長の失言は、あまりにも女性差別的であったという他ないし、辞任に値するものだ。しかし、辞めた後も批判を続けるべきではないだろう。

 これを機に一部メディアは、オリンピックを中止を煽るような報道を続けている。また、リベラルを標榜する人々は、差別的な森発言を根拠に、オリンピック中止につなげようとしている。

 このように、森発言を理由とした中止を求める動きが起こっている。

中国共産党政権のウイグル問題は無視か?

 しかし、人権問題を理由として東京オリンピック・パラリンピックの中止を求めるのであれば、同じ基準で2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックの是非を判断しなければならない。

 中国には山ほどの人権問題があるのだが、特にウイグル人に対する迫害は、「民族浄化」だと評価されるほどエスカレートしている。ニューズウィーク日本版によれば、イスラム教徒のウイグル人100万人を強制収容所に収容し、「再教育キャンプ」という名の迫害を行っているという。調査しなければ、中国共産党政権がどれほどのことを行っているか正確には分からないものの、少なくとも何らかの迫害や強制収容を行っていることは明らかである。

 既に米国などの民主主義諸国では、北京オリンピックのボイコット論が浮上している。今後、ウイグル問題の真相が明らかになるにつれ、ボイコット論は一層強まるだろう。

 話を森前会長の一件に戻そう。日本では、森前会長の女性蔑視発言をもとにオリンピック中止を求める声があるが、そのような主張をする人は北京オリンピックの開催国・中国の重大な人権問題にほとんど言及していないことが多い。森前会長の問題を「日本社会全体の問題」とするのは構わない。確かに、男女平等が達成されているとは言えず、国際社会に顔向けできない現状が続いているのは間違いない。しかし、それを根拠に東京オリンピックの中止を求めるのであれば、北京オリンピックはそれ以上に開催を許せないとする立場になるはずだ。なぜなら、森氏の発言よりもウイグル問題の方が重大な人権問題であるからだ。

 オリンピックをめぐる問題自称リベラル勢力が中国共産党政権にはあまりに寛容な姿勢を貫くのは、すごく不思議である。通常の人権問題全般であれば、自分の住んでいる日本国内の問題を優先することは理解できる。しかし、オリンピック開催可否と人権問題の関係は、基準を統一して判断すべきである。「自称リベラル」勢力の二重基準は、決して許されない。

参考文献
ニューズウィーク日本版「中国は『ウイグル人絶滅計画』やり放題。なぜ誰も止めないのか?」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13418.php

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