地球温暖化は6回目の大量絶滅を引き起こす

ここ最近世界的に地球温暖化への関心が高まっている。アメリカのバイデン政権が気候変動対策に乗り出す動きを見せていたり、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏が脚光を浴びるなど、地球温暖化のトピックが絶えない。

ところで、私たち人類にとって大量絶滅は無縁に思えるかもしれない。しかし、現在地球温暖化が急速に進んでおり、6回目の大量絶滅の危機はすぐそこまで迫っている。

地球温暖化は過去の大量絶滅と同じ道を歩もうとしている。今回は、地球の炭素循環の観点から地球温暖化への警鐘を鳴らそうと思う。

過去の大量絶滅の恐ろしい共通点

まず、過去に起こった大量絶滅にどんな傾向があるのかを振り返ってみる。

「大量絶滅」と聞くと多くの人が想像するのは約6600万年前に起こった恐竜の大量絶滅だろう。この絶滅は巨大隕石が地球に衝突したことが引き金となったと考えられている。しかし、これは大量絶滅のケースとしてはレアなものだ。

一般的に、大量絶滅は海洋の炭素濃度が大きく変動することで起こる。海洋の炭素濃度が大きく変動したのは過去31回あるが、それはある臨界よりも低い場合がほとんどだ。

下のグラフを見ていただきたい。マサチューセッツ工科大学のダニエル・ロスマン氏によれば、ビッグファイブと呼ばれる5度の大量絶滅のうち4回は、海洋炭素量の変化が極端に大きかったときに発生しているという。

Thresholds of catastrophe in the Earth system より

縦軸は海洋炭素量の相対的変化を示し、横軸は変化のスピードを示している。つまり、グラフ中央の灰色の線(臨界)より上では炭素量が急激に変化していることを示す。

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シナリオとしてはこうだ。まず、噴火などのさまざまな事象が原因で大気中に大量の二酸化炭素が放出され、地球温暖化を引き起こす。一度温暖化が起こると氷床下のメタンハイドレートが溶け、温暖化が加速する。(水に溶ける気体の量は水温が上昇するにつれて次第に少なくなるので、海中の酸素の溶存量が減少する。すると当然海生生物が窒息死する。また、死んだ生物が腐敗し酸素消費されることで無酸素水塊が出現し、さらに窒息死する生物が増える。このようにして、大量絶滅が起こってきたのだ。

過去の大量絶滅に酷似している地球温暖化

さて、今私たちが直面している地球温暖化は今どのような状況なのだろうか。

ダニエル・ロスマン氏の試算では海中の二酸化炭素の臨界質量は3100億トン。一方で産業革命以降、海が人間活動によって排出された二酸化炭素を吸収した量(人為起源二酸化炭素蓄積量)は、海洋全体で約1550億トンに及ぶ。既に人類は臨界点までの半分の二酸化炭素を海中に投入しているのだ。

ではこのまま人類が二酸化炭素を放出したらどうなるだろうか。

ここで、RCPシナリオというものをご紹介する。RCPシナリオとは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書で用いられた気候変動シナリオである。放射強制力(温暖化を引き起こす外的要因の変化量で、数値が高いほど温室効果ガスの濃度が高い)で4段階に分けられており、21世紀末までに2.6W/m2、4.5W/m2、6.0W/m2、8.5W/m2の数値になるというシナリオに対応し、「RCP2.6」「RCP4.5」「RCP6.0」「RCP8.5」が設定されている。

そして、先ほどのダニエル・ロスマン氏の予測によると、最も放射強制力を抑えた「RCP2.6 」でぎりぎり臨界を超えずに済むという。この「RCP2.6」のシナリオを実現するためには現在の温室効果ガスの排出量を極限まで抑えなければならず、人類は絶体絶命の状況に立たされているといえる。

Thresholds of catastrophe in the Earth system より

「RCP2.6」を実現せよ

「RCP2.6」を実現するために、IPCCは温室効果ガスの排出量を2050年までに40~70%削減、21世紀末までに排出をほぼゼロにする必要があると明示している。今こそ世界全体が連携して、温室効果ガスの排出量を抑える取り組みを始めなければならない。

地球温暖化は人間からすればゆっくりと進んでいてあまり危機感を感じにくいかもしれない。しかし、地球規模で見ればかつてないほど速いスピードで地球温暖化が進んでいる。世界全体で地球温暖化への危機意識を高め、大量絶滅を招く前に対策に乗り出さなければならない。

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参考資料

Thresholds of catastrophe in the Earth system(最終閲覧:2/22/2021)

The representative concentration pathways: an overview(最終閲覧:2/22/2021)

2050年を見据えた温室効果ガスの大幅削減に向けて(最終閲覧:2/22/2021)

 

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よもぎおとな研究所 副編集長

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