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【現金給付決定】~選挙事情から読み解く公明党の強さ~

昨日、政局が大きく動きました。なんと従来の経済対策の目玉である「所得減少世帯へ30万円給付」から「国民一律10万円給付」へと変更になったことは皆さんご存知だと思います。ちなみに一律10万円給付はまず初めに国民民主党が3月18日に「家計第一の経済対策」の3つの柱の一つとして発表。続いて日本維新の会も提言。そして自民党の保守系議員らで作る「護る会」も政府へ同等の提案をしていた等、先月から各本面で動きがありました。しかし、一昨日には公明党の山口代表が安倍総理と会談して現金一律給付を要請。翌日にはなんと報道通り一律給付へ。まさに鶴の一声。なぜ政府自民党は公明党の要望を即座に受け入れたのか。もちろん、下落傾向にある内閣支持率等を意識したものとも考えられますがやはり公明党の「圧力」が全てを決めたのでしょう。ここには「連立離脱」と「選挙事情」の二つのキーワードが重要になってくると思います。またもや選挙ネタかよ…と思われてしまうかもしれませんが、本日は現金給付を少し違った視点(選挙)から考察していきたいと思います。

”連立離脱”を恐れる自民党

今日午前中の時事通信の記事でこのような記述がありました。

「今、やらないと私も首相もおしまいですよ」。15日午前の首相官邸。公明党の山口那津男代表は首相に語気を強めて一律10万円給付の実現を迫った。複数の与党関係者によると、山口氏はこの際、「連立離脱」の可能性に踏み込んだとされ、あまりのけんまくに首相も動揺を隠せなかった。

公明党は当初から10万円の給付を主張したものの、減収世帯に対象を絞った30万円給付で決着。公明支持層からは「受け取れない人が多い」との怒りが渦巻いた。公明党幹部によると、支持母体の創価学会から「このままでは公明の選挙に協力できない」と通告を受け、山口氏は危機感を募らせていた。

首相周辺は15日夜、「公明党が連立を降りると言っている。今回は譲らざるを得ない」と環境整備に着手。16日に麻生太郎副総理兼財務相、二階幹事長を相次いで首相官邸に呼び、こうした方針を正式に伝えた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200417-00000026-jij-pol 時事通信 (一部抜粋)

 なんと公明党は安倍総理に「連立離脱」をそそのかしたそうです。15年の安保法制審議時など様々なことで自公に亀裂ができたことはありましたが、いきなり連立離脱を取引カードに交渉することは異例の事です。上記の引用記事に記載されているように、「創価学会」の意向が事態を大きく動かしたのだとか。しかし安倍総理まで配慮しなければならない公明党、そして創価学会の存在というものは何なのでしょうか。

多くの方がご存知の通り、創価学会は公明党の支持母体です。(成り立ちから見れば公明党=創価学会ととらえることができます)特に国政選挙の時は創価学会がフル稼働して全国から票(友達票=F票と呼ばれる)を集め公明党に貢献します。もしかするとこの記事をご覧の皆さんも知り合いの方から、「公明党に入れて」とお願いされた方も多いのではないのかと思います。直近の国政選挙の結果を見るからには年々得票数が減少しつつあるのですが、全国で650万~750万票前後の力がありこれは単一組織では日本最大規模の集票力を誇ります。実はこの公明票が今の安倍政権を大きく支えているという現実があります。

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例えば衆院選挙で見てみましょうか。小選挙区は全国に289あります。公明党はやや西高東低の票の偏りがあるために単純計算では無理がありますが、全国得票数700万、「比例は公明」で動いている自民党組織の事を考慮しても、だいたい1選挙区あたり2万票程度の公明票が存在することになりますよね。実はこれが自民党の命運を左右することになります。とある試算では、この公明票が半数野党側に流れるだけで小選挙区での勝敗が30選挙区以上覆り自民党単独過半数割れの可能性があり、さらにすべてが野党に流れることにより自民党は過半数の244を大きく下回る200議席程度しか獲得できない可能性があるといいます。もちろん次回総選挙では野党共闘が進みますのでさらに結果がひっくり返る選挙区が出てくるのではないのでしょうか。(もちろん公明、共産が共闘することはまず考えられませんので仮定で終わる話ですけれどもね)

自民党最大の支持母体が公明党であると定義してもあながち間違いではないと思います。公明党の「連立離脱」は自民党政権の終わりを意味する。野党や党内の提言よりも公明党の要望をすんなりと受け入れてしまった根底にはこのことが大きいのではないのかと個人的には思っています。

公明に変わりうる連立相手は出てくるのか

14年衆院選ではまさにネット右翼の皆さんが称賛する政治家勢ぞろいの「次世代の党(日本のこころ)」が自公政権を切り離すと意気込み選挙戦に挑戦するも、選挙区地盤のある平沼党首ら2名が小選挙区で当選したものの他の候補者は全員落選。反公明党・創価学会を打ち立てて東京12区などに田母神元幕僚長や西村慎吾議員を積極擁立したもものまったく歯が立ちませんでした。

(次世代の党の敗因にはこれまた面白い裏話がありますので後ほど投稿したいと思います)

ネット上では自民党は「日本維新の会と連立を」との声もありますがそれは100%ありえません。そもそも維新の地盤大阪では、自民党と犬猿の仲。さらに全国的に見えても創価学会に変わるような有力な組織を持っていない。維新は浮動票メインの政党ですので公明党に代わる連立相手となることはまずありえません。

そして国民民主党と「大連立」の話も一部メディアで報道されたことがありますが、国民の支持母体は連合。さらに立憲などの他の野党との関係や所属議員を見てもありえないでしょう。

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東京では都民F,大阪では維新の会というように地方レベルでは自民と違う相手で「与党」化する公明党ですが、国政では半永久的に自民党との協力関係は続くでしょう。自民党は公明党を完全に切ることはできないですし、逆に公明党は衆院選で小選挙区当選者を出すことや今回のように自らの政策を実現させることが第一位ですので、本気で離脱するなんて考えていないのではないのでしょうか。

自公政権の安泰はしばらく続きそうですね….

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