「維新のセルフ領収書」とは何か ―批判する前に一読

一昨年夏の参議院議員選挙に前後して話題となった事柄が、未だに燻っていた。

日本維新の会所属の足立康史衆議院議員は8日、以下のようにツイート。

引用元となっているツイートには、「#千葉県民に維新の恐ろしさを伝える」というハッシュタグとともに、「自分に寄付して自分宛ての領収書を切る。」として、上のような画像が添付されている。

足立議員が引用した「YELLOW_TAIL」氏のツイートは2021年3月8日19時31分の時点で841件の「いいね」、948件の「リツイート」がされ、拡散が続いている状態。

ハッシュタグの「千葉県民に」という文言はおそらく、今月21日に投開票予定の千葉県知事選挙に、日本維新の会の県支部である「千葉維新の会」が推薦候補を擁立していることからだろう。

足立議員は「こういうの、まだ騒ぐかなあ。」と呆れて応じているわけだが、何も知らない人から見れば疑問が湧くのも仕方ないことなのかもしれない。というのも実はこの種の領収書、日本維新の会所属の国会議員名義で多数見受けられるものだからだ。

本稿では、一部で「セルフ領収書」ともいわれている領収書の理由と仕組みについて解説していこうと思う。

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キーワードは「文書通信交通滞在費」

そもそもこの問題は、「文書通信交通滞在費 (以下 文通費)」というものが深く関わっている。

そもそも文通費とは、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律において以下のように定められているものだ。

第九条 各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律 e-gov

要は、国会議員が受け取る給料「歳費」とは別に、「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等」のためとして月100万円支給される金額である。

これだけでは特に問題はない。問題はこの文通費が非課税で使途公開不要であることだ。国会議員の歳費については必要課税がなされるにも関わらず、だ。

上記条文は以下のように続く。

 前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない

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国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律 e-gov

そして使途の公開に係る記載は無い。

「文書通信交通滞在費」という名称でありながら、「交通」「滞在」に関する記述がないことについては、日本維新の会の音喜多駿参議院議員がブログで以下のように解説している。

もともとは「通信費」と「滞在費」が別れていたものを統合したなどの経緯があり、その中で「目的」については通信費時代から改正されなかったことが原因だと思われます。こうしたことや、そもそも目的の中に「等」という最強の汎用ワードが入っていることもあって、文通費は「政治活動全般に使えるもの」と解釈するのが一般的になっているようです。

月100万円支給、領収書不要の「文書通信交通滞在費」。人件費等に払うのは目的外使用か?

確かに元の条文を当たれば末尾に「等」と記載されており、条文で挙げた使途に限定しないことを示唆している。これに加えて非課税かつ使途公開不要なのだから、極端に言えば「国会議員が自由に使っていい金」ということになるのだ。

「身を切る改革」の維新はどのように対応しているのか

前出の足立議員、音喜多議員が所属している「日本維新の会」は、政策の2つ目に「身を切る改革」を挙げている。ここには議員報酬・定数の削減とともに、「領収書のいらない第二の報酬と言われている国会議員一人あたり月額100万円の文書通信交通滞在費の使途を公開する。」ことを明記している。

そして実際にHP上に「文書通信交通滞在費」のページを設け、年・議員別の文通費使用状況を閲覧できるようになっている。

なお、こうした自主的な使途公開は、他党では見られない。

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例外的に日本共産党が国会議員団メンバーのページに2019年限定の使途状況を公開しているが、議員個々の状況ではなく党としての合計であり領収書も公開されていないため、これを以て「使途公開」とすることは難しいだろう。

文書通信交通滞在費についての維新と共産党の公開度比較

「使い切れない分」の扱い

ここで当然出てくる疑問として、「使いきれなかった文通費はどうしているのか」という問題がある。

月100万円もの大金を、毎月「本来の目的通りに」使用できるとは限らないし、実際に維新の公開ページを見てみても、使い切ることができていないことがほとんどだ。

こうした「残金」について、維新が取っている対応が「自身の政治資金団体への寄付」である。なぜそのようなことをするのかといえば、政治資金規正法において「政治資金団体」は「政治資金収支報告書」への収支記載を定めているからだ。

第九条 政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。

政治資金規正法 e-gov

この政治資金団体へ使用されなかった文通費が入ることで、その分の金額がどのように使用されるかは一円単位で記載が義務付けられる。

ここでいう政治資金団体とは、具体的には党の支部である選挙区支部(〇〇県第〇〇区支部など)などだ。こうした支部の「支部長」は、該当選挙区で立候補している議員が支部長を務めているため、必然的に「寄付する側」と「寄付される側」の名義の一部または全部が重複するので、上掲の画像のような「セルフ領収書」が生まれる、というわけなのである。

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批判する政治家は、使途公開してから物を言うべきだ

最終的に政治資金団体に寄付されるため、その後の用途については当然人件費や選挙活動、政治活動に関わる費用になる。

こうした文通費の使用については批判もあり、そうしたことに維新の政治家は耳を傾けるべきだろう。だが重要なことは、「公開しているから批判できる」ということだ。

そもそも前述のように、文通費はその使途について暈された表現がなされており、特に政治活動や人件費に使うことを禁止しているものではない。そのため最終的な使用方法に関わる事柄は、全て有権者の判断に任せればいいと言うだけのことなのである。

文通費の使途を公開する政治家と公開しない政治家のどちらを選択するかは自明であり、ましてや公開しようとしない政治家は文通費について維新を批判することはできない。

この「セルフ領収書」に関わる問題で維新や維新の政治家を批判している方にも今一度現実を冷静に見て、正しい判断をしているのは誰なのかを見極めて頂きたい。

参考文献

総務省|政治資金規正法のあらまし

総務省|政治資金関連資料

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衆議院|国会議員に渡される文書通信交通滞在費のあり方に関する質問主意書平成二十年一月二十三日提出 質問第一九号 提出者:鈴木宗男

朝日新聞デジタル|領収証いらない月100万円 国会議員、何に使うの?

党首討論会の消費増税論議で、唯一面白かった「論争」 | 高橋洋一の俗論を撃つ! | ダイヤモンド・オンライン

「税金アジャース」丸山穂高氏本人に聞く、議員特権で「帝国ホテル122泊」するワケ(弁護士ドットコムニュース) – Yahoo!ニュース

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律 | e-Gov法令検索

政治資金規正法 | e-Gov法令検索

日本共産党国会議員団│議員│日本共産党中央委員会

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文書通信交通滞在費|活動情報|日本維新の会

身を切る改革を含む政治改革|政策|日本維新の会

月100万円支給、領収書不要の「文書通信交通滞在費」。人件費等に払うのは目的外使用か? | 音喜多駿 公式サイト

給料(歳費+期末手当)約2,200万円、文書交通費1,200万円、JRパス約80万円…国会議員の給与明細を大公開! | 音喜多駿 公式サイト

支給額面約130万円でも、手元に残るのは半額以下?!月々18万円を自主返納、「身を切る改革」実行中 | 音喜多駿 公式サイト

「バカ正直に情報公開したものが損をする」風潮を認めてはいけない | 音喜多駿 公式サイト

 

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Akiおとな研究所 編集長

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