【主張】一部野党による国会審議拒否は単なるサボりか高度な国会戦術か

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国会における審議拒否とは、その名の通り国会の審議に参加することを拒む議事妨害行為である。一般的には、与党の方針や不祥事に抗議する意味合いで行われることが多い。

最近でも、政府法案の条文ミスが多々発覚したことを受けて、立憲民主党を始めとした野党は一時期審議拒否を検討していた。(なおその翌日に法案の点検結果を報告されたとして審議に応じている)

政府は24日、今国会に提出した法案のうち新たに10本程度に字句などのミスが見つかったと与野党に報告した。これを受け、立憲民主など野党3党の国対委員長は25日以降の国会審議に応じない方針を確認した。

政府法案ミスさらに拡大 野党、国会審議拒否方針 より

野党による審議拒否はよく批判の対象になるが、野党支持者からは高度な国会戦術であるという意見もある。果たしてどちらなのだろうか。

編集部注

審議拒否は諸刃の剣

審議拒否は国会の審議に参加しない行為なので、審議拒否を行った野党は当然ながら「国会軽視」「サボり」などの批判は受けることになる。そのため、立て続けに審議拒否を行うと国民の離反を招く。また、一度審議拒否を行うと与党がある程度譲歩しない限り審議に復帰する理由をひねり出すことが難しい。その結果「振り上げた拳のもって行き場がない」状態になってしまい、本来審議したかった案件に口出せなくなる恐れもある。

ではなぜ野党はそのリスクを背負ったうえで審議拒否に踏み切ることがあるのか。それは2パターンある。

一つは審議拒否を行うことで与党に対しどちらも不利益となる二者択一を迫ることができる。仮に野党が審議拒否を行った場合、与党は①単独審議・議決 ②議決見送り のどちらか一方を選択しなければならない。①では「独善的だ」との批判を浴びやすく、野党の審議拒否による負のイメージも薄れる。②はそのままの意味だが、①の批判を避けるために議決したかった案件の議決を見送り続けることになる。審議拒否を行う野党としては時間稼ぎができる。

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もう一つは、審議拒否を行うとマスコミに取り上げられニュースになることが多いので、審議拒否の理由(主に与党の悪行)などを世に知らしめることができる。どちらのパターンも与党がヘマをした場合に使うと効果的だが、使い方を間違えると自爆行為になりかねない。

審議拒否は結局悪い

審議拒否は決して褒められる行為ではない。審議拒否をしている時点で「全国民の代表」である国会議員としての職務を放棄しているので、その時点で「悪」である。仮に与党が何かとんでもないことをしでかしていたとしても、審議拒否をしてしまえば同じ穴の狢であろう。

審議拒否は「国会サボり」と批判されることを甘受して、世論をひきつけ与党に怒りの矛先を向けることができれば野党の審議拒否の批判は薄まるものの、結局は五十歩百歩である。

審議拒否自体を肯定する人は「サボり」ではなく野党議員としての「仕事」と主張するようだが、国会議員の仕事が審議を拒否することであると主張するのはさすがに無理があるだろう。

審議拒否は「サボり」ではないのです。むしろ、国会のあり方を正常化したり、政府の信頼を回復したりするための、国権の最高機関における少数派議員としての「仕事」なのです。

野党の「審議拒否」は「サボり」なのか? より

審議拒否以外に見せ場は

とはいえ、多数決の原理を前提としている国会では、野党は存在感を示しづらい。国会審議で追及を行っても期待通りの答弁が返ってくるとは限らないし、内閣不信任案もほとんどの場合最大の議席を持つ与党によって否決される。

政治家を選ぶことと政策を選ぶことは必ずしもイコールとは言えず(これをオストロゴルスキーのパラドックスと呼ぶ)、国会でも少数意見の尊重は非常に大切だ。もちろん与党は野党とできる限り議論を尽くして採決することになるが、どうしても衝突が避けられない場合は野党の合意を得ないまま採決を行うこともある。

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私は多数決の原理を否定する気はさらさらないし、いわゆる強行採決も全く問題ないと思っているが、野党が存在感を出せる機会が少ないと感じている。特に野党第一党以外の野党はマスコミに取り上げられる機会も少なく、国会での質疑時間も不公平に振り分けられることもある。そうした背景が審議拒否せざるを得ない状況を作り出している。

そのため私は、国政政党の党首による党首討論の回数を増やすべきだと思う。党首討論は国会審議活性化法に基づき、直接討論方式で各党の基本政策をぶつけあう場だが、この党首討論が最後に行われたのは2019年の6月。野党は予算委員会の質疑を優先させることもあり、党首討論はなかなか開催されていないのが現状だ。

そこで、国会審議活性化法を改正し定期的に党首討論の場を設けるべきだ。過去の党首討論は毎回NHKで生放送されるのでマスコミの注目を引き付けることもできるし、与党と野党の代表が直接本音をぶつけ合う場になるので国民にもお互いの言い分が伝わりやすいだろう。ここ最近は党首討論が行われる機会が少ないだけに、ぜひ検討していただきたい。

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よもぎ

よもぎおとな研究所 副編集長

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