【政府答弁書】「従軍慰安婦」は戦後に作られた嘘の表現 歴史教科書は表現を改めるべき

\ 寄稿やブログの転載受付中 /

2021年4月27日、日本政府による歴史認識としては、極めて画期的な政府見解が出された。

政府は27日の閣議で、慰安婦問題に関して「従軍慰安婦」との表現は適切でなく、単に「慰安婦」という用語を用いるのが適切だとする答弁書を決定した。先の大戦中に行われた朝鮮半島から日本本土への労働者動員について「強制連行」との表現が不適切だとする答弁書も決めた。いずれも日本維新の会の馬場伸幸衆院議員の質問主意書に答えた。

政府、「従軍慰安婦」表現は不適当 「強制連行」も 答弁書閣議決定|産経新聞

今回の決定は大変インパクトの大きいものであり、インターネット上の反応も様々だ。歴史認識に関わる事柄であるため、こうした問題について論じる際は慎重になる必要があるが、本稿においてはあくまで客観的な資料ベースでの論を行うものとする。

またこの話題の肝である政府答弁書は衆議院ホームページ↗で2021年4月27日21:39現在確認できないが、質問予定者である馬場伸幸衆議院議員による質問主意書や上記産経新聞の記事から、今回の政府見解が意味するところを紐解いていきたいと思う。

※本稿では表現として用いる場合「従軍慰安婦」とカッコつきで表記します。

馬場議員の質問主意書は「2種類」ある

そもそも「質問主意書」とは一体なんだろうか。

国会議員は、国会開会中、議長を経由して内閣に対し文書で質問することができます。この文書を「質問主意書」と言います。質問しようとする議員は、質問内容を分かりやすくまとめた質問主意書を作り、議長に提出して承認を得る必要があります(国会法第74条)。

スポンサーリンク
質問主意書:国会キーワード:参議院

国会議員による質問主意書に対する答弁書は、所管省庁が原案を作成し内閣法制局の審査を経て閣議決定が行われる。

4月27日の閣議案件を見ると、馬場議員の質問主意書に対する答弁書が閣議決定されたことがわかる。

ご覧いただければわかるとおりだが、馬場議員は2種類の質問主意書を提出した。

「従軍慰安婦」等の表現に関する質問主意書|令和三年四月十六日提出 質問第九七号 pdf

「強制連行」「強制労働」という表現に関する質問主意書|令和三年四月十六日提出 質問第九八号 pdf

つまり今回の閣議決定は、「2つのまったく異なる話題についての政府認識を、2つのまったく異なる答弁書で示した」のである。よって、この問題を論ずる際「強制連行」「軍の関与」などという言葉が出てきた際は、「従軍慰安婦」に関わる単語なのか「朝鮮人徴用」に関わる単語なのか、注意して見極める必要があるだろう。なお本稿では朝鮮人労働者の徴用に就いては後日取り扱うとして、論点を「従軍慰安婦」に絞りたい。

「従軍慰安婦」への問題提起と政府答弁

まずは「従軍慰安婦」に関する言及から確認していきたい。

スポンサーリンク

馬場氏は質問主意書の中で”「従軍慰安婦」等の表現に関する問題の解決は、重大かつ喫緊の課題である。”とした。従軍慰安婦という語は1978年に作家の千田夏光氏が著書『従軍慰安婦』で初めて使用したものであり、以降一般的に使用されたものであると言及している。

「従軍」と「慰安婦」という2単語を合わせたわけだが、これは当然ながら「軍に同行した慰安婦」を意味する。

この「従軍慰安婦」については馬場氏も言及するように、政府調査等で慰安婦に関して軍や官憲による強制連行を直接示す資料は見つかっていない。先ほどの産経新聞の記事には、以下のような記述がある。

朝日新聞が、虚偽の強制連行証言に基づく報道を取り消した経緯を指摘した上で「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招く恐れがある」とし、「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切だ」と明記した。

政府、「従軍慰安婦」表現は不適当 「強制連行」も 答弁書閣議決定|産経新聞

千田夏光氏著書の初出以来一般的に使用されていた「従軍慰安婦」という語について、かつて朝日新聞が「戦争中に陸軍労務報告会下関支部動員部長だった」と自称する吉田清治氏の話など、出所不明の情報で「軍による同行強制」などを記事に盛り込み訂正した歴史がある。

さらに朝日新聞は、戦時中の日本で未成年の女性が勤労奉仕を行う組織「女子挺身隊」を慰安婦と混同。以下のような記事を掲載している。

日中戦争や第2次大戦の際、「女子挺身隊(ていしんたい)」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、1人がソウル市内に生存していることがわかり、「韓国挺身隊問題対策協議会」(尹貞玉・共同代表、16団体約30万人)が聞き取り作業を始めた。

スポンサーリンク

※太字部分事実誤認。2014年8月5日朝刊で訂正。

思い出すと今も涙 元朝鮮人従軍慰安婦を韓国の団体聞き取り 朝日新聞 1991年08月11日 朝刊

こうした朝日新聞の誤った報道は2000年代に入ってようやく検証が進められた。

2014年には朝日新聞社が内部調査を行い、2015年には「朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会 (委員長 中西輝政) 」が報告書をまとめている。

2014年12月22日 報告書 朝日新聞社第三者委員会 pdf

朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会 報告書 pdf

また直近では加藤官房長官が、「政府では近年、『慰安婦』という用語を通常用いることとしている」と述べている。

教科書から消えない「従軍慰安婦」 根拠の河野談話、今も悪影響|産経新聞

スポンサーリンク

ではなぜ、このように様々な機関・公人・政府が「強制連行の証拠はない」「従軍慰安婦という表現は使用しない」と述べているにも関わらず、問題が続いているのか。

政府認識の歴史的経緯

本題に入る前に、これまでの「従軍慰安婦」をめぐる政府の対応を振り返りたい。

先述のように、「従軍慰安婦」の語を最初に使ったのは1973年・千田夏光氏の著書。以降1980年代まで吉田清治氏による偽証が続き、朝日新聞を始めメディアはこれにならったことで、日韓両国でこの問題は急速に報道されることとなった。

1992年、当時の渡辺美智雄外相が「なんらかの関与があったということは認めざるをえない」と発言したことで政府側の見解に注目が集まり、同年当時の宮沢喜一首相が「軍の関与を認め、おわびしたい」と発言。政府として初めての謝罪し、軍の関与を認めるに至った。

さらに同年、加藤紘一官房長官がいわゆる「加藤談話」を公表。以下のような認識を示した。

慰安所の設置、慰安婦の募集に当たる者の取締り、慰安施設の築造・増強、慰安所の経営・監督、慰安所・慰安婦の街生管理、慰安所関係者への身分証明書等の発給等につき、政府の関与があったことが認められたということである。(中略)
 政府としては、国籍、出身地の如何を問わず、いわゆる従軍慰安婦として筆舌に尽くし難い辛苦をなめられた全ての方々に対し、改めて衷心よりお詫びと反省の気持ちを申し上げたい。

加藤内閣官房長官発表|外務省

これに合わせて行われた政府による一次調査の結果が内閣官房内閣外政審議室によって公表される。

スポンサーリンク

朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦について pdf

内容は警察庁、防衛庁、外務省、文部省、厚生省、労働省への調査で、慰安婦の募集や慰安所の設置・経営に政府と軍の関与を認めるものだったが、「強制連行」やそれを想起させる単語はなかった。

だが韓国世論はこれを許さなかった。韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)などの組織が熾烈な圧力的反日活動とともに、さらなる実態解明を求めたことで政府は苦慮し、二次調査を行う。その結果が、一次調査同様内閣官房内閣外政審議室とりまとめの「いわゆる従軍慰安婦問題について pdf」だ。

そしてこの二次調査の結果としてまとめられたのが、いわゆる「河野談話」なのである。

慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話|外務省

「最悪のペーパー」「諸悪の根源」である河野談話

談話の中で「軍の強制」を伺わせる表現はいくつも見られる。

特に議論を呼んでいるのは以下の一文だ。

スポンサーリンク

慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。

慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話|外務省

実際の募集は「業者が」行い、官憲が「加担した」という表現は、強制性それ自体を表現するものではないものの、示唆していることは明らかだろう。

この二次調査は一次調査と異なり、元慰安婦などへの聞き取りも行った上での調査で、あきらかに韓国側への配慮が見て取れるものだった。この調査結果について、当時の官房副長官・石原信雄氏はこのように述懐している。

韓国政府が最大の問題だとしたのは、強制された人がいたという事実を日本政府が認めてないことです。(中略)

結局私どもは、通達とか指令とかという文書的なもの、強制性を立証できるような物的証拠は見つけられなかったのですが、実際に慰安婦とされた人たち十六人のヒヤリングの結果は、どう考えても、これは作り話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになりましたので、そういうことを念頭に置いて、あの「河野談話」になったわけです。

アジア女性基金 : オーラルヒストリー 女性のためのアジア平和国民基金 編

要するに当時の政府の見解としては、河野談話そのものに「強制連行」という文言入れずとも、強制性を想定するものとして発表されたものなのである。

事実、河野氏本人も2015年にこのように述べている。

スポンサーリンク

談話それ自体は、資料や文章は、あるものだけを書いた。談話の中には強制という言葉は入っていない。しかし、実際は腕をつかんで引きずったり、胸ぐらを引きずっていったという強制連行というものもあった。どこにあったかというと、例えば、一番はっきりしていたのはオランダ人(の例だ)。オランダ人を慰安婦として連れて行き、慰安婦にしちゃったということは裁判をやって本人や証人が出てきて、判決が出て、明らかに強制連行されたという事実がはあった。こういう事実があるのに、強制連行はなかったとはいえない

【河野元衆院議長発言】(3)「慰安婦の強制連行はあった」(1/7ページ) – 産経ニュース

むろん、強制連行については第1次安倍晋三政権が平成19年に「強制連行説」を否定する答弁書を閣議決定。26年には第2次安倍政権下の有識者検討チーム報告書が、談話に強制性の裏付けはなく、韓国の修正要求を入れた日韓合作だったと明らかにした。

教科書から消えない「従軍慰安婦」 根拠の河野談話、今も悪影響|産経新聞

だが河野談話に至るまでの政府による諸調査・諸談話で一貫して「従軍慰安婦」という単語は使われ続けたのだ。

「従軍慰安婦」の表現が間違っているならば、教科書から削除するべきだ。

今回、馬場伸幸議員の質問主意書に対する政府答弁書閣議決定は改めて「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招く恐れがある」とし、「単に『慰安婦』という用語を用いることが適切だ」としたのだから、当然河野談話における表現の見直しも検討するべきである。

河野談話の内容それ自体の見直しとなると、談話以降の「日韓合意」など様々な合意や政府見解との矛盾が起きる可能性があり、拙速には決定できない。だが表現の改定であればさほど大きな問題にはならないはずだ。

そして何より、中学校・高校の日本史教科書ではこの「従軍慰安婦」ないしは「いわゆる従軍慰安婦」という表現がそのまま使用されている。政府談話を根拠として歴史教科書に「従軍慰安婦」という表現を入れるのであれば、政府答弁書を根拠にその改訂を求めることも筋が通らない話ではない。

スポンサーリンク

戦時中の旧日本軍・政府が朝鮮半島の人々に犯した罪というのは大きな物があるし、我々はそうした歴史を直視する必要がある。だからこそ、未来を担う日本の若者には、戦後歪曲された表現をもって歴史を学ぶのではなく、正しい表現と認識で歴史を見つめるべきなのだ。「従軍慰安婦」という表現が歴史教科書から無くなることを強く望みつつ、筆を置きたいと思う。

関連記事:【慰安婦判決】日本政府は国際司法裁判所への提訴をためらうべきではない|おとな研究所

参考記事:編集長の冒険 橋下さんが突いた河野談話の不備の問題

参考記事:いわゆる河野談話について | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

\ 有料記事には定期購読がお得 /
▼おとな研究所へのご支援よろしくお願いいたします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly
Aki

Akiおとな研究所 編集長

投稿者プロフィール

ライターページ
おとな研究所 編集長
趣味は短歌、動画編集。不登校経験あり。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。



ピックアップ記事

  1. 2021-5-8

    オリンピック開催反対派による池江璃花子選手への強要・攻撃が酷すぎる

    新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、昨日は緊急事態宣言が今月末まで延長されることが決定した。感染…
  2. 2021-5-3

    2021年東京都議会議員選挙 本格予想#1(北区)

    今回より7月4日に投開票される予定の東京都議会議員選挙の議席予想シリーズの連載をスタートしていく。…
  3. 2021-4-30

    山尾志桜里議員は文春報道について説明を尽くすべきだ 国民民主党の自浄作用も問われる

    1月、弊所の取材に快く応じてくれていた山尾志桜里議員だが...  山尾志桜里議員について、週…
  4. 2021-4-29

    企業は潰した方が良い!?我が国の生産性を上げるにはどうすれば良いのか?

    日本は長期的な低成長に見舞われている。1991から2019年の平均経済成長率はたった0.9%に留ま…

カテゴリー

スポンサー







今日の天気

札幌市 Booked net
-4°C

東京都 Booked net
+10°C

名古屋市 Booked.net - hotel reservations online
+11°C

大阪市 Booked net
+C

福岡市 Booked.net - hotel reservations online
+C

スポンサー




スポンサー




ページ上部へ戻る