米韓ミサイル指針撤廃 なぜ韓国は南北融和政策を進めるのか

先週金曜日に行われた米韓首脳会談で、韓国のミサイル開発を制限してきた「米韓ミサイル指針」が撤廃された。

韓国大統領府の高官は24日報道陣の取材に応じ、5月21日にホワイトハウスで行われた米韓首脳会談について、韓国のミサイルの射程や弾頭の重量などを制限してきた指針を撤廃することで合意したことを成果として挙げ「両国が、核心的な価値を共有する対等なパートナーとして、持続的に協力していることを示している」と述べました。

韓国 ミサイル制限指針撤廃で米と合意 中国など反発の可能性も より

韓国の文在寅大統領は21日、バイデン米大統領との会談後の共同会見で、ミサイル指針の撤廃合意を自画自賛した。撤廃は韓国側の強い要望だったという。

韓国が中長距離ミサイル開発可能に 米と合意で指針撤廃 より

韓国がこれを成果として挙げているので、これは恐らく韓国側が持ち出した議案なのではないかと考えられる。

ミサイルの射程が無制限に

今回のミサイル指針の撤廃によって、韓国軍のミサイルの射程制限が撤廃された。この指針はアメリカが韓国に対しミサイル技術を提供するのと引き換えに韓国が保有するミサイルの性能を制限するものであった。指針が締結された後、徐々に制限は緩くなっていたので今回の指針撤廃も時間の問題だと捉えていた人も多いかもしれない。

しかし、私はこのミサイル指針の撤廃はかなり大きな出来事だと感じている。なぜかというと、これまで指針では韓国の保有するミサイルは射程が800㎞までに制限されていて、これは韓国がぎりぎり北京・東京・沖縄などを狙うことができない距離だったからである。今回の指針撤廃でその制限がなくなった。

韓国からしたら北京・東京・沖縄はほぼ等距離

韓国にとって日本は仮想敵国?

ところで韓国は2018年の国防白書で「北の政権と北の軍はわれわれの敵」という表現を削除している。一方で、国防予算において新たに「周辺国予算」を新設している。この「周辺国」が具体的にどこを指すのかはわからないが、思い返せば2018年に日韓レーダー照射問題があったことも踏まえると、もしかしたら韓国は日本を仮想敵国としてみなしている可能性がある。

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日本政府の人間もこのリスクについては恐らくわかっていて、以前アメリカに対し水面下で懸念を伝えたこともあるようだ。

一方、隣国の軍備増強に日本の防衛当局者は神経をとがらせる。日本政府は過去に韓国の弾道ミサイル射程延伸をめぐり、米国に水面下で懸念を伝えたこともある。

韓国では北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に対処するために必要だとして原潜保有論も公然化。自衛隊関係者は「本当に北朝鮮だけを想定した戦力構成なのか」と疑心をのぞかせた。

南北、止まらぬ軍備増強・近代化 対話訴える文政権ジレンマ より

韓国の目指す国家像は

韓国政府が目指している国家像は一体何なのか。それは、米中と距離を置く中立国家なのではと私は思っている。直接的に韓国の政府高官が言っているわけではないものの、在韓米軍は必要ないと言っているような行動をとっていたり、日米間のGSOMIAを軽視したりする行動が目に余る。今後、米中冷戦が激化していくと予想される中で韓国はあくまでニュートラルな立場で、その時その時の情勢を見つつ韓国の利益になるような行動をしたいのだろう。

となると、今回の指針撤廃が少し引っかかる。射程制限がなくなったことで北京や東京、沖縄、(アメリカが許さないとは思うが)大陸間弾道ミサイルを製造すればアメリカも当然狙うことができる。

しかし、正直言って韓国のミサイル技術は大した力を持っていない。短距離弾道ミサイルの「玄武4」ですら、数字の水増しが疑われているほどだ。(例えば玄武4は地下300mのバンカーを破壊できるとしているが、現在世界中で最強の通常弾頭型バンカーバスターを保有しているアメリカですら地下60mまでしか破壊できない。あまりにも考えられない数字を出していることになる。)

韓国が南北融和政策をとる理由は・・・

そこで、技術力のない韓国が何をしているのかというと、「南北融和政策」である。北朝鮮はここ数年ミサイル技術を飛躍的に向上させているので、そのミサイルをそのまま転用すればいいことになる。韓国の文在寅政権は南北統一を悲願としているが、その背景にはこういった狙いもあるのではないかと私は見ている。もちろん、現時点で北朝鮮は韓国に対し塩対応である上に南北統一となるとアメリカの反発は必至なので課題も多いが……

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可能性は低いにしろ、仮に南北統一が実現すれば中国とアメリカの中心に両方を攻撃することが可能で大きな抑止力を併せ持つ統一国家が誕生することになる。在韓米軍も出ていかざるを得なくなるなど日本にとっては考えたくもないシナリオだが、果たしてどうなるのか……

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よもぎおとな研究所 副編集長

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最近は教育問題に関心あり

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