メガソーラーとFIT制度が与えた功罪ー本当にクリーンなエネルギーと呼べるのか

7月3日、熱海で土石流が発生した。6日時点で死者7名、行方不明者27人の大災害となってしまった。

現時点では土石流の原因がわかっていないこともあり、様々な憶測が飛び交わっている。

自民党は5日、静岡県熱海市の土石流被害を受けて、党災害対策特別委員会(委員長・今村雅弘衆院議員)の会合を党本部で開いた。出席議員からは現場付近のメガソーラー(大規模太陽光発電所)と土石流の関連について調査を求める声が上がり、政府側は人命救助や被災者支援が終われば、必要に応じて調査する方針を示した。

熱海の土石流 政府、メガソーラーとの関連調査も より

川勝平太知事は4日の記者会見で「直接の因果関係はみられないとの報告を受けている」と説明した。「開発行為と、土石流の因果関係は明確でない」としながら「上流部での森林伐採は保水能力を著しく減退させる」とも指摘している。

盛り土・メガソーラー、政府調査へ 熱海の大規模土石流 全国各地に危険地帯 「環境・ウイグルの人権問題など検証せず数に力点」石井孝明氏 より

土石流の原因については様々な憶測が飛び交わっているが、それぞれポジショントークを語っている可能性も無きにしも非ずなので、粛々と第三者調査委員会の設置と報告を待ちたいところだ。

今回は熱海の土石流にメガソーラーの開発が直接関与したかどうかはひとまず置いといて(というより私はその可能性は薄いとみているが)、今ホットなトピックとなっているメガソーラーについて思うところがあるので、記事にした。

そもそもメガソーラーとは、出力が1MW(1000kW)を超える大規模な発電用設備で、東日本大震災後にクリーンなエネルギーとして注目された。一般家庭の屋根などに設置する太陽光パネルでは10kW程度の発電である一方で、メガソーラーは2ヘクタール近くの広い土地(サッカーコートの約2倍)で発電する。

環境・エネルギー対策資金や再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度=Feed in Tariff(FIT制度)などはメガソーラーの普及に大きく影響した。特にFIT制度は東日本大震災後に民主党政権下で導入され、事業用太陽光発電は20年間の電気の定額買取が保証されるので太陽光発電・メガソーラーを導入する企業団体などは急増した。

原子力・エネルギー図面集 【3-1-4】日本の太陽光発電導入量の推移 より

しかし、この財政面での優遇措置は”優遇しすぎた”と言える。FIT制度は発電量に応じて電気を買い取ってもらえるので、日当たりのいい山林がメガソーラーのターゲットとなり環境破壊や景観破壊につながっている側面がある。

メガソーラーによって企業や投資家は莫大な利益を得たが、環境破壊や景観破壊、仮に災害が起こった際の被害など、メガソーラーによるマイナス面は地元が被ることになる。そもそも電気は公共性が高いにもかかわらずこうした齟齬が生じていることは私は問題だと感じる。山林開発、メガソーラー建設を強行する企業と反発する地元住民という構図は様々な自治体で見られた。最低限、地元住民とのすり合わせを行う機会は必要だし、法律レベルでそうした仕組みづくりが必要だろう。

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ちなみに余談だが、このFIT制度はほかにも様々な問題が指摘されている。例えば再エネ賦課金。FIT制度は再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度であるのだが、その負担金は賦課金という形で国民が負担している。この賦課金はメガソーラーをはじめとする非住宅事業用太陽光発電量の急増に伴い、年々上昇している。現在は一般的な家庭で年9000円、電気代の10%以上をこの賦課金が占めている。つまり、FIT制度の賦課金は事実上の”電気税”という形となっており、国民の負担が増しているのだ。
また、FIT制度導入当時は事業用太陽光発電の認定時に調達価格が決定する仕組みであったので、高い調達価格の権利を保持しつつも未運転の事業者が続出した。なおこれは2017年の改正FIT法で概ね改善した。

私はただ単にメガソーラーのための土地確保の手法を問題視しているわけであって、別に再生可能エネルギーに真っ向から反対するつもりはない。例えば水上太陽光発電など将来性も期待できそうなメガソーラーや、またメガソーラーは休耕地などをうまく活用すれば大きな発電力を稼げることも事実。しかし、山林開発をしてまでメガソーラーを設置するとなると環境破壊・災害・景観破壊などの新たな問題が生じ、太陽光発電の売りである「クリーンなエネルギー」ではなくなってしまうだろうと考える。

 

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よもぎおとな研究所 副編集長

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おとな研究所副編集長、ブロガー
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時事・教育・経済など幅広い分野に関心あり

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