大和トンネルの拡幅工事が完成 なぜ大和トンネルは渋滞の名所であり続けたのか

日本の道路交通の大動脈である東名高速道路。1969年に全線開通してから日本の物流を支え、日本の経済発展に大きく貢献した立役者でもある。

そんな東名高速道路だが、日本の大動脈とだけあって交通量が非常に多く、時折慢性的な渋滞が発生する。特に帰省シーズンの渋滞は著しく、その対策として新東名高速道路が並行して建設されている。(7月17日時点で新御殿場ICまでは開通済み)

また、東名高速道路の渋滞スポットとして大和トンネルが挙げられる。テレビ・ラジオなどの渋滞情報などでも「大和トンネルを先頭に~㎞の渋滞です」という表現はよく聞くだろう。

そんな大和トンネルだが、先日拡張工事が行われたことをご存じだろうか。東名高速道路を管理するNEXCO中日本は7月9日、以下のプレスリリースを発表した。このプレスリリースよれば、大和トンネルで実施されていた拡幅工事が完了し、7月14日から付加車線の運用を開始するとのこと。

NEXCO中日本は、E1 東名高速道路(東名)横浜町田インターチェンジ(IC)~海老名ジャンクション(JCT)間の渋滞対策として進めている付加車線設置事業(上り線約4km、下り線約5km)のうち、大和トンネル(神奈川県大和市)の拡幅工事が完成し、2021年7月14日(水)6時から大和トンネルを含む付加車線の一部運用(上り線約3km、下り線約2km)を開始します。

E1 東名 大和トンネルの拡幅工事が完成します ~渋滞緩和を目指して2021年7月14日から付加車線の一部運用を開始します ~ より
位置図
E1 東名 大和トンネルの拡幅工事が完成します ~渋滞緩和を目指して2021年7月14日から付加車線の一部運用を開始します ~ より

今回は、大和トンネルの概要や歴史、またこの拡幅工事によってどんな影響があるのかなどを解説する。

大和トンネルとは?

まず、大和トンネルは一体何なのか説明する。

大和トンネルは東名高速道路の横浜町田ICと海老名JCTの間、東京ICから約23㎞の地点にあるトンネルである。その長さは280mと、高速道路にしては非常に短いトンネルだ。

Google earth より

ところでこの大和トンネルだが、地図をよく見ると周囲が山林地帯というわけでもないし、丘陵地帯というわけでもない。そもそもなぜここにトンネルを設置する必要があったのだろうか。

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それはこの地図を少し南に移動すればよくわかる。大和トンネルの南側には厚木基地が存在し、大和トンネルは厚木基地の滑走路の延長線上にあるのだ。実は大和トンネルはトンネルというよりシェルターに近い構造となっている。

というのも、東名高速道路が開通する8年前には離陸に失敗したアメリカ海軍の墜落事故が発生し、相鉄本線の架線が切れる被害もあった。それを受けて東名高速道路を建設する際、滑走路の延長線上にシェルターを設けて万が一事故が起こっても被害が軽減できるつくりになっている。(ただしここ最近は事故が発生するリスクは低い中、慢性的な渋滞を引き起こす大和トンネルの必要性については何とも言い難いところがある)

なぜ大和トンネルは「渋滞の名所」となったのか

次の図は、国土交通省が発表している「高速道路の渋滞ワーストランキング」の一部である。

ご覧のように、1位と4位が横浜町田IC~海老名JCTとなっている。この主な原因として大和トンネルの存在があることは言うまでもない。

では、大和トンネルはなぜ「渋滞の名所」という悪名高いトンネルとして名を馳せることとなってしまったのだろうか。

交通量が非常に多い

まず当たり前のことだが、交通量が多ければ渋滞になりやすい。そして大和トンネルが存在する横浜町田IC~海老名JCT間は非常に交通量が多いことで知られている。

附2  高速自動車国道における交通量(30年度) より

これは国土交通省が発表している道路統計年報の表だが、横浜町田IC~海老名JCT間の交通量は1日あたり約13.4万台となっている。これは隣の海老名JCT~厚木ICに次いで全国の高速自動車国道で第2位の数字となっている。

なぜこんなにも交通量が多いのかは、周囲の他の道路との接続状況を見れば一目瞭然である。例えば横浜町田ICでは保土ヶ谷バイパスと接続しているが、保土ヶ谷バイパスは横浜町田ICと横浜市中心部を結ぶメインルートで、しかも無料ときた。当然ながら保土ヶ谷バイパスの交通量は多く、それに接続する横浜町田ICの周辺も交通量は多くなる。

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また、海老名JCTでは圏央道と、厚木ICでは小田原方面へのアクセスがしやすい小田原厚木道路と接続している。これらの道路が短い間隔で接続しているので、この間(図の青色で囲った区間)の交通量が多くなるのも必然と言える。

サグ部

2つ目の理由は「サグ部」だ。聞きなれない言葉だと思うのでここで説明する。

サグ部とは、下り坂だったところから平坦、あるいは上り坂に差し掛かる場所のことをいう。ドライバーからしてみれば勾配を感じ取ることは難しく、下り坂から上り坂に変化するところを認識するのは難しい。そのためドライバーは速度を変えずに運転するが、当然のことながら下り坂から上り坂になればスピードは落ちる。そのため、自然発症的に速度低下が起こり、その連鎖反応によって渋滞が発生してしまうのだ。

ちなみに、NEXCO西日本によれば交通集中渋滞の約58%がこのサグ部で発生しているという。

そして、横浜町田IC~海老名JCT間は道路のアップダウンが激しいので、サグ部も多い。そのため、大和トンネル付近では渋滞が発生しやすくなる。

トンネルの圧迫感

さらに、トンネル自体狭くて圧迫感があり、また突然暗闇に突入することとなるのでドライバーが無意識にスピードを落としてしまうことが多い。これも連鎖反応によって渋滞を引き起こしてしまう。

Nシステムをオービスと勘違い

さらにさらに、名古屋側の出口付近にはNシステム(自動車ナンバー自動読取装置)が設置されているが、これをオービス(速度違反自動取締装置)と勘違いしたドライバーが速度を落としてしまうこともあるようだ。

これら主に4つの原因から、大和トンネルは「渋滞の名所」という悪名を轟かせることとなってしまったのだ。

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今回の拡幅工事で何が変わる?

今回の拡幅工事では、元々3+3の上下6車線だったところを上下線ともに1車線ずつ増やして4+4の上下8車線となった。この拡幅工事で単純に交通容量が増えるので、大和トンネル付近を先頭とする渋滞の緩和が期待されている。

ちなみに、拡幅工事に伴い1車線あたりの幅員は3.6mから3.5mに変更されている。また防護壁が設けられたことで、路肩も3.0mから2.5mとなっている。

大和トンネル内の渋滞対策前(付加車線設置前)と対策後(付加車線設置後)の断面図。出典:NEXCO中日本プレスリリース
E1 東名 大和トンネルの拡幅工事が完成します ~渋滞緩和を目指して2021年7月14日から付加車線の一部運用を開始します ~ より

今後はどうなる?

付加車線設置事業はこれで終わりではない。

今回の運用開始区間に加え、東京側に片側4車線区間を延長する工事も現在進行形で行われている。日本トップクラスの交通量を誇るこの区間の容量が増すことで、さらなる混雑緩和が期待できそうだ。

2021年7月14日より一部が運用を開始する東名高速・横浜町田IC~海老名JCT間の付加車線および工事区間の平面図。出典:NEXCO中日本プレスリリース
E1 東名 大和トンネルの拡幅工事が完成します ~渋滞緩和を目指して2021年7月14日から付加車線の一部運用を開始します ~ より

更なる対策は

将来的には、保土ヶ谷バイパスと接続する横浜町田ICから圏央道と接続する海老名JCTまでは完全4車線化が必要だと思っている。というのも、一部を4車線したとはいえ未だ3車線がベースなので、4車線の付加車線を利用するには2度車線変更する必要があるからだ。車線変更はスピードが落ちやすいので渋滞の原因になりやすく、また幅が狭くなるので4車線から3車線に移り変わる箇所が渋滞の原因となってしまう可能性もある。そのため、抜本的な対策としては横浜町田IC~海老名JCTの完全4車線化が必要だ。

また、大和トンネルの照明に速度回復誘導灯(車の速度よりも少し速い光を連続して発光するライト)を導入し、トンネルに突入してもドライバーがスピードを落とさないように誘導する仕組みを導入するのもありだろう。

 

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よもぎおとな研究所 副編集長

投稿者プロフィール

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おとな研究所副編集長、ブロガー
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時事・教育・経済など幅広い分野に関心あり

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