そこのお前!デフレーションの意味はインフレーションの反対の意味だぜ -ゲストライター

※この記事は、ゲストライターによる寄稿記事です。寄稿の応募はコチラから誰でも可能です。オリジナルの原稿を読みたい方はこちらからご覧ください。


【インフレとデフレの定義】

経済学の用語におけるデフレーション(deflation : 以下、デフレ)とは、持続的な一般物価水準の下落のことです。

OECD Glossary of Statistical Terms – Deflation Definition

Deflation is defined as a sustained fall in the general price level. 

インフレーション(inflation : 以下、インフレ)とは、(持続的な)一般物価水準の上昇のことです。

そして、デフレはインフレの反対です。

Glossary:Inflation – Statistics Explained

<スポンサー>

Inflation is an increase in the general price level of goods and services.

Deflation is the opposite of inflation.

ということで、この記事で言いたいことは以上になります。
お疲れ様でした。

以下、余談。

【混乱してほしくないこと】

デフレが(マクロの)経済に与える影響と、デフレという言葉そのものの意味を区別して理解してほしいということです。

以下、デフレが経済に与える影響に関して記述します。

デフレの経済環境が長期化すると、失業率上昇(フィリップス曲線)、名目GDP縮小(オークンの法則)、消費や投資の減少、自殺率増加など、社会的に悪い影響を及ぼすことが危惧されます。

<スポンサー>

つまり、景気の悪化です。

Q13 デフレによってどのような問題が生じていますか|選択する未来 – 内閣府

●デフレが各分野に与える影響

デフレは経済全体に様々な影響を及ぼしていると考えられる。
個人消費に関しては、デフレ下では、家計は継続的な物価下落を織り込み、消費を将来に先送りするため、貯蓄が積み上がり、モノが売れなくなる。消費が停滞すれば、それに伴い、生産も停滞し、企業業績へ影響を与えるほか、新たな設備投資を抑制するなど、経済全体にマイナスの影響を与えることとなる。

企業にとっては、物価の持続的な下落は、実質金利の高止まりを意味する。企業の期待成長率を実質金利が上回り、新たな設備投資を抑制することにつながる。また、新規の設備投資の減少が、個々の企業の生産性の停滞を招き、経済成長にとり、マイナスの影響を与えることとなる。

「デフレ?モノが安く買えるからお得じゃん!」と思っていた時期が筆者にもありました。

この記事を読んだ君も、これを期にデフレは人々を不幸にするから良くない派に転向しよう^o^

<スポンサー>

【絶対に間違えてはいけないこと】

個別の品目の価格が下がることと、財市場全体の価格が下がること(=一般物価水準の下落)は別問題であるということです。

第2節 デフレの進行と金融政策 – 内閣府

物価下落については、一部製品の下落に伴う「相対価格」の変化と「一般物価水準」の下落を分けて考える必要がある。デフレとは、全体でみた平均的な物価水準が下がること(つまり一般価格水準の下落)であり、個々の価格(例えば、カジュアル衣料品、携帯電話の通話料等)が下がることとは、別の問題である。

企業努力や技術革新といった生産性向上などにより、価格が下がることがありますが、これはもちろん良いことです。

こうした要因で価格が下がることは良いことなので、デフレであっても要因によっては良いデフレもあるのでは?とはなりませんので、注意しましょう。

【政府のデフレ判断について】

第1章 第2節 物価を巡る問題 – 内閣府

BIS(1999)やIMF(1999)が景気判断とは切り離して「少なくとも2年間の継続的な物価下落」をデフレと定義していることも踏まえ、月例経済報告では、1999年から2年以上に渡り物価下落が続いていた我が国はデフレにあると判断した16。

<スポンサー>

政府としては、指標の状況などから物価の基調的な方向が確認できるのであれば、必ずしも「2年」の経過を待つ必要はないと考え、物価下落が半年程度続いていたこと、需給ギャップも大幅なマイナスであったこと等から、デフレ状況とみなしたという経緯がある(コラム1-3表)。

2年以上の物価下落、2年未満であってもその他の指標を勘案して、デフレ状況と判断することがあるようです。
【混乱してほしくないこと】の項で説明した通り、「景気判断とは切り離して」考えていることも、重要なポイントです。

「デフレ」という言葉の一般的な意味では割と定性的であることに対して、経済状況を「デフレ」と判断する実務面においては、定量的に評価されることがあります。

「デフレ」論者の言っていることが定性的なのか定量的なのか、ここも会話していてすれ違いやすいポイントだと思います。

また、経済の用語でなく一般的な用語として「インフレ」「デフレ」が使われることもあり得るので、注意が必要です。
※例:ドラゴンボールにおいて戦闘力のインフレが甚だしい

【デフレの定義等に関する質問主意書】

2011年7月29日に「デフレの定義等に関する質問主意書」の答弁書が閣議決定されています。

時の菅直人政権です。

<スポンサー>

デフレの定義等に関する質問主意書

一 政府はデフレをどのように定義しているか。
二 現状をデフレと認識しているか。

衆議院議員柿澤未途君提出デフレの定義等に関する質問に対する答弁書

一及び二について
政府は、デフレを「持続的な物価下落」と定義しており、平成二十一年十一月の月例経済報告以降、我が国経済は緩やかなデフレ状況にあると判断している。

政府によるデフレの定義も「持続的な物価下落」となっており、やはり物価のみの意味しかなく、景気などの意味は含まれません。

引用はしませんでしたが、話題にあがっている与謝野馨経済財政政策担当大臣(当時、故人)の発言も興味深いので取り上げます。

与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月1日 – 内閣府

<スポンサー>

(問)あともう一点、話は変わるのですけれども、今日発表されたCPIで、コアだけではなくてコアコアの部分も2年7カ月ぶりにプラスに転じているのですけれども、これは何か節目というふうにとらえていらっしゃるのか、見方をお願いいたします。

   (答)デフレ、デフレと言うのですけれども、そういう人たちは名目成長率を上げろという議論をあわせて行うのですけれども、名目成長率が高いのは偽りの経済成長であって、やはり労働所得が向上して、実質の労働所得が向上して、働く人たちの賃金の購買力が増すということが一番望ましい姿の経済成長です。そういう意味では、1%ぐらいのマイナスなどというものは何でもないことで、むしろ働く人や年金生活者にとっては、プラス要素ですらあるというように考えております。
    したがいまして、今のデフレ論議の致命的な欠陥というのは、デフレというもの自体を定義していないということであると思っています。ちなみに、是非御一読いただきたいのは、ガルブレイスが書いた1929年の世界恐慌の話でして、この中の本当のデフレというのは、1933年には物価の下落は29年に比べて35%、失業率は33%、株価の下落率は90%、こういうものを本当の深刻なデフレというのであって、1%そこらの物価の下落というのは、物価上昇に比べて、むしろ望ましい姿であるかもしれないし、もしかしたら生産性が高まっている所以かもしれないというので、あまりデフレを強調し過ぎて、デフレだ、デフレだと言って自己暗示にかかる経済というのはあまり良くない議論だと私個人は思っています。

与謝野大臣は「デフレというもの自体を定義していない」という認識だそうです。政府としてはデフレを定義しているので、どうやら大臣の個人的な見解、もしくはデフレの問題を議論する際にデフレの定義がされていないように感じていたのもしれません。

また、デフレのマイナス面だけでなく、プラス面も見るべきというご意見をお持ちのようです。

物価下落によって失業率が上昇するはずなのに、デフレが働く人にとってプラスというのは、マクロ経済にわか勢の筆者にはイマイチ理解できませんでした。年金生活者にとっても、マクロ経済スライドで給付額が物価水準にあわせて調整される場合があるため、本当に有利なのか疑問です。また、生産性向上とデフレの関係性についても、同様にイマイチ理解できません。

【片岡剛士さんのご意見】

片岡剛士さんによれば、デフレの定義は「財と貨幣の相対価格である物価の継続的な下落」としており、ここでも物価以外の要素は見られません。

デフレと金融政策に関する9つの論点   – SYNODOS

<スポンサー>

デフレとは財と貨幣の相対価格である物価の継続的な下落を指しており、内閣府やIMFの公式的な定義に即していえば、「二年以上の期間に渡って継続的に物価が下落すること」となります。

さて、前述した与謝野大臣の「1%そこらの物価の下落というのは、物価上昇に比べて、むしろ望ましい姿であるかもしれない」という発言に対する片岡さんの見解をみてみましょう。

1年間で一気に数十パーセントの物価下落が生じれば、雇用環境にも大きな影響が生じるため人々が経済危機だと認識するのは容易でしょう。わが国の問題は、平均して年1%程度のデフレが15年超つづくことで、経済停滞が長期化してしまっていることにあります。悪化した雇用環境や円高基調で進む為替レートといった現象も、この年1%程度のデフレが長期化した結果であることを十分に認識しておくべきでしょう。

デフレの長期化による経済停滞や、悪化した雇用環境を危惧するご意見でした。

これは筆者が認識するマクロ経済学の標準的な見解と一致するため、とても腹に落ちました。前述したフィリップス曲線や、オークンの法則の関係性とも整合的です。

【資産デフレ?】

「資産デフレ」という言葉が登場するので、簡単に紹介します。

「消費税は最後に上げる」 麻生氏&三橋氏が3年前に語っていた、経済成長の法則

<スポンサー>

麻生:土地も同じように、不動産は90年~91年まで上がってたけど、92年でバーンと土地も終わって、6大都市市街地の平均価格が15%になりました。100万円の土地が15万円になったっていうから、不動産も株という動産も両方とも自分の懐から飛んだんですよ。そこのところが、今みんなの財布がこうなってる、消費が冷え込む一番の元。それが直らない限りは、と思うけどね。

三橋:いわゆる資産デフレというやつですよね。

どうやら、株や土地などの資産の値下がりを「資産デフレ」と呼んでいるようです。

一般物価水準の下落という意味でのデフレとは意味合いが異なるので、注意が必要な例であると思います。

【実際の物価指標】

では、結局のところ、最近の日本はどれくらいデフレだったの?ということについて、いくつか物価の指標をグラフで示します。

期間は1989年(平成元年)から最新で取りました。

消費者物価指数

<スポンサー>

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003143513

画像1

国内企業物価指数

https://dashboard.e-stat.go.jp/timeSeriesResult?indicatorCode=0703040300000090010時系列表dashboard.e-stat.go.jp

画像3

GDPデフレーター

2019年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA) – 内閣府

2009年度国民経済計算(2000年基準・93SNA) – 内閣府

画像2

数値を載せたExcelデータはこちら。

<スポンサー>

https://drive.google.com/file/d/1_2aMThLvbxYQUuDmUfmybvsWyBY6BivP/view?usp=sharingprice_level_long.xlsxdrive.google.com

平成(概ねバブル期)以前のデータは載せませんでしたが、バブル崩壊以降、概ね低インフレ率あるいはデフレが長期化している様子がわかります。

1997年と2014年あたりで物価が上昇しているのは、消費税増税が実施されたタイミングです。2009年にはリーマンショックが発生し急激に下落しています。こうしたイベントにも着目したいところです。

日本における「デフレ」の議論の参考になれば幸いです。


※この記事は、ゲストライターによる寄稿記事です。寄稿の応募はコチラから誰でも可能です。 オリジナルの原稿を読みたい方はこちらからご覧ください。

ライター:akima Twitter:@akima9936 プロフィール:社会人。マクロ経済にわか勢です。

おとな研SNSをフォローして、最新情報をいち早くゲット!

<スポンサー>

この著者の最新の記事

関連記事

あなたへのおすすめ



ピックアップ記事

  1. 2022-6-24

    【編集部記事】自民党政権公約は今…衆院選マニフェストの実現状況を徹底検証!

    昨年11月の衆議院議員総選挙から、約半年が経ちました。 与野党ともに政局も多く変化しましたが…
  2. 2022-6-23

    【編集部記事】乙武洋匡氏と考える「ダイバーシティー」~意見交換で見えたもの~(後編)

    参院選に出馬される予定の乙武洋匡さんと、渋谷区議会議員の橋本ゆきさんとの、ダイバーシティに関する意…
  3. 2022-6-22

    【編集部記事】もう迷わない!立憲民主党と国民民主党はここが違う

    「立憲民主党と国民民主党って何が違うの?」「結局どっちも民主党なんでしょ?」 立憲民主党か国…
  4. 2022-6-22

    同性婚不受理の合憲判決を考える ―「結婚の平等」に必要なたった1つのこと

    この問題が公に報道され議論されているだけでも、解消に向かっていると考えていいのだろうか。 そ…

スポンサー







Twitter・FaceBook

公式チャンネル

有料コンテンツサイト

プレスリリース

登録されているプレスリリースはございません。

スポンサー




スマホでもおとな研

スポンサー




ページ上部へ戻る