【大人研究#2】立憲民主党支部長が言論封殺を呼びかけたことの最大の問題点

※この記事は、シリーズ「大人研究」の第2弾です。このシリーズでは、おとな研究所編集長の現役高校生が、著名人からSNS上の匿名発信まで、さまざまな「大人」の言動にスポットライトを当てて内容を「研究」していきます。

参照:シリーズ「大人研究」特設ページ


 社会で多くの人が非難する出来事が起きる時、これに悪乗りした人・便乗した人の言動が却って批判されるということが、特に最近になって増えている気がする。またそうした言動への批判に限って、「元の出来事を起こした人を庇っているのか」といった的はずれな指摘をする人も少なくない。

 そのような指摘をする人は、重要な点を見落としている。「問題行動Aに対する過剰な反応Bを批判することは、決してAを肯定しているわけではない。むしろAを強く問題視するからこそ、正しい批判が行われていないことに憤りを感じている。」ということだ。

 シリーズ「大人研究」の第2弾である本稿で取り上げていく内容は、第1弾の内容を踏まえるものである。ぜひこちらをご確認いただいた上で、本編をご覧頂きたい。

参照:【大人研究#1】DaiGo氏発言の問題点を見誤ってはいけない。−猫もホームレスも助けようよ

「Change.org」に投稿された一つの署名

 事の発端は、とある署名だった。以下をご覧いただきたい。

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 自らを「メンタリスト」と称して様々なメディアで活躍しているDaiGo氏が、2021年8月7日のYouTubeLiveで行った以下引用を含めた発言に対して、「SNSアカウントの停止」を求める署名である。宛先がGoogleに設定されていることから、恐らく停止するアカウントはYouTubeを想定しているものと思われる。

てか、どちらかっていうと、みんな思わない? どちらかっていうといない方がよくない? ホームレスって。言っちゃ悪いけど。本当に言っちゃ悪いこと言いますけど、いない方が良くない?

いない方がだってさ、みんな確かに命は大事って思ってるよ。人権もあるから。いちおう形上大事にするよ。でもいない方がよくない? うん。正直。邪魔だしさ、プラスになんないしさ、臭いしさ。ねえ。治安悪くなるしさ、いない方がいいじゃん。猫はでもかわいいじゃん? うん。って思うけどね、僕はね。

Yahoo!ニュース|メンタリストDaiGo「ホームレスの命はどうでもいい」と差別発言。炎上後も「辛口だから」と言い訳

 筆者は前掲の記事でDaiGo氏の発言の問題点を列挙し解説したため、改めてこの件について詳細には触れないが、率直に言って許しがたい発言である。だが氏はこの後に謝罪を行っていることにも若干の留保が必要だろう。

 話を署名に戻そう。この投稿がなされたサイト「Change.org➚」とは、様々なキャンペーンを投稿し、賛同者が署名することで社会の変革を促すことを目的に運営されているものである。メールアドレス等に加えてファーストネームとラストネームを入力するアカウントを取得することで、誰しもキャンペーンに賛同の意思を表明できる。

 このサイトでは様々な種類のなキャンペーンが現在も進行しており、この署名について言えば2021年8月24日18時49分時点で17,000人が賛同している。また過去に行われたキャンペーンの中には、実際にその目的を達成したものも少なくないという。かつてのように街頭活動や回覧板のような形で行う署名ではなく、どこでも気軽にできるプラットフォームであることから、利用人口もキャンペーンも増えている。

 一方で、このサイトについてはその有効性も含めた疑惑も存在する。

19年に入り、14歳の女子中学生と名乗る「山本あすか」さんが「東京望月衣塑子記者など特定の記者の質問を制限する言論統制をしないで下さい」というキャンペーンを立ち上げた。しかし規約ではプラットフォームの利用は16歳からとなっており「なぜ14歳のあすかさんが署名活動をしているのか」といった指摘があった。また規約には「16歳未満であることが発覚した場合、弊社はユーザーのアカウントを停止します」との記載もあるが、このキャンペーンとあすかさんのアカウントは依然、閉鎖に至っていない。ちなみに、あすかさんは嫌がらせや誹謗中傷を恐れ、自らの名前が仮名であることも公表しているが「仮名での署名活動に意味はあるのか」という疑問も拡がった。…(中略)

「同サイトの署名はいくらでも水増しができる。こんなバカげた主張でも、賛同者数を1000人、2000人と増やすのはたやすいことだ」

情報提供者によると、Change.orgではメールアドレスの2段階認証がなく、架空のアドレスでも“賛同”にカウントされる。同一人物の多重投票を防ぐためのIPアドレスによる監視もされていないという。


著名署名集めサイトの「水増し投票」疑惑 Change.orgに信ぴょう性はあるか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 いずれにしても、様々なプラットフォームを利用することや署名を行うことそれ自体は何ら問題はない。また、DaiGo氏の発言に関しても批判されて然るべきであることは疑いようがない。こうした署名が起きることもやむを得ないだろう。

 だが敢えて筆者の個人的な考えを述べるならば、今回の件を踏まえたとしてもSNSアカウントの停止というのは明らかに行き過ぎであり、仮にGoogleやその他SNS運営会社がそのような判断を行うのであれば、むしろそうした動きに対しても批判が殺到するだろう。この点については後述する。本題はここからだ。

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立憲民主党の支部長が、署名に賛同を呼びかける

 国政野党第一党である立憲民主党の埼玉県第11区総支部長(=衆議院選挙立候補予定者)であり埼玉県寄居町の元町長である島田誠氏が、上述の署名に賛同を呼びかけたのだ。

 ここで問題なのは、野党第一党の公認を受けることが決まった衆議院選挙立候補予定者、つまり近く行われる選挙で政治家になろうとしている人物であるという点である。政治家になろうという人物が、言論封殺を言論空間の提供車に求める署名への賛同を呼びかけているということになる。

島田誠
島田誠氏
立憲民主党衆議院埼玉県第11区総支部長
元寄居町長
フロンティア総研代表
立憲民主党HPより

 そもそもDaiGo氏の発言を受けてYouTubeアカウントを停止するか否かは、Google側が決定する事項である。当然いかなる決定にも賛否はあるだろう。現にこのような署名が行われているのだ。多くの人が、それぞれの立場を取る。しかしこれを政治家が呼びかけるとなると、全く異なる意味を持つ。

第二十一条

1、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する

2、検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第九十九条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ

日本国憲法 | e-Gov法令検索

 憲法21条で定められている「表現の自由」を保証する義務は、同99条に定められている公務員が負う。今回の件にこれを当てはめて整理してみよう。

 DaiGo氏の発言それ自体は品位に欠け、多くの人を傷つけるものであり、批判は免れない。だが一方で、視聴者に対しての発言の中で違法行為と判断できるものはなく、表現の自由の範疇であると言える。

 またChange.orgで「メンタリストDaiGoのSNSアカウント停止を求めます!」のキャンペーンを始めたユーザーやそれに賛同したユーザーにも、それらの行為に自由がある。またGoogleなどが実際に氏のアカウントに停止等の措置を行うことも、企業としての裁量の範囲だろう。そしてこれらの人々は、それぞれの行為・決定に一定の責任を負う。同様に、批判は免れない。

 一方、仮にこのキャンペーンに現職の国会議員が賛同したとすれば、それは「DaiGo氏の表現の自由を奪う行為」ないし「DaiGo氏に対する圧力」だろう。少なくとも今回は、国会議員を目指している元町長がこのキャンペーンに賛同し、同様の賛同を呼びかけている。政治家として明らかに不適格であり、表現の自由に対する認識が甘いとしか言いようがない。

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 そしてそれは、公認を行った立憲民主党にも同様のことが言えるのではないか。つい先日のことであるが、「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになるのはおかしい」という本多平直衆議院議員の発言を受け、「党員資格停止」という、現職議員に対しては政治生命根絶に近い処分を下したのが立憲民主党という政党なのだ。本多議員は最終的に離党し議員辞職を行った。

参照:立憲・本多氏が議員辞職 立憲の対応にみる身内への甘さを暴く

参照:維新と立憲は兄弟だ! -ゲストライター記事

 本多議員の件にしろ、今回の件にしろ、党内から批判する声は聞くことができる。以下は、同党の武蔵野市議・やぶはら太郎氏の指摘だ。

 こうしたことを踏まえても、立憲民主党全体が「表現の自由」を軽んじているわけでは無いのだろう。だが類似の事案がこうも続くと、党としての認識が問われかねないのではないか。支部長が言論封殺を呼びかけ、党執行部は現職議員を処分する。このような憲法遵守義務を帯びる気のない政党が、果たして政権政党になりうるのだろうか。

 今、立憲民主党の「立憲主義」が問われている。

2021/8/24 20:41 追記

 上述の投稿の後、島田氏は以下のようにツイートを行った。

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 弁護士で日本維新の会所属の品川区議・松本ときひろ氏が指摘しているように、自動投稿やスタッフ投稿の可能性も存在する。

 だがいかなる事情があったとしてもツイートを行った事実に変わりはなく、仮に意図した投稿でないとしても、本人や事務所関係者等のSNS管理体制に問題があることになる。

 ツイートを見ただけであればそのような事情は判断がつくわけもないのだから、島田氏の弁明は本質的な説明でないばかりか、ただの言いわけではないだろうか。今回の件は重大であり、島田氏には重ねて真摯な説明を求める。


関連記事:ずさんな個人情報管理を指摘して懲罰 湯河原町議会の闇 —ゲストライター記事

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Akiおとな研究所 編集長

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おとな研究所 編集長
趣味は短歌、動画編集。不登校経験あり。

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