オゾン層破壊のメカニズム 原因や対策をわかりやすく解説

近年地球温暖化など環境問題への関心が世界中で高まっている。オゾン層の破壊もそのうちの一つだ。有害な紫外線を吸収するオゾン層が破壊されると皮膚がんや白内障などの病気のリスクが上がったり生態系を乱すなどの影響が懸念されている。今回はオゾン層破壊のメカニズムについて迫っていくこととする。

フロンとは

オゾン層を破壊している物質は人工的に生み出された「フロン」という物質である。フロンは圧縮したり火を近づけても爆発しない安全な物質で、冷蔵庫などの冷媒など様々な用途で利用されている。

フロンは1つの物質を指すのではなく、様々な種類がある。そのうちの一つにクロロフルオロカーボン(CFCs)というものがある。これはクロロ(塩素Cl)+フルオロ(フッ素F)+カーボン(炭素C)の合成語である。

そのCFCsの中でも代表的なCFC-11の構造式を見てみると、炭素の周りにフッ素や塩素が連結していることがわかるだろう。

構造式
Wikipedia より

ところでClやFを見て気が付いた方もいるかもしれないが、この2つの元素は周期表の17番目にあたる「ハロゲン」である。

元素の周期 - Wikipedia
Wikipedia より

メタン(CH₄)のHを1つ以上ハロゲンに置き換えた物質は「ハロメタン」と呼ばれていて、フロンもその一つである。このハロメタンは原子同士で電子を共有しあうことで結合しており(共有結合ともいう)、非常に安定していることで知られている。

メタン
Wikipedia より

フロンがオゾン層を破壊するメカニズム

では、フロンはどのようにしてオゾン層を破壊してしまうのだろうか。

<スポンサー>

前述したように、フロンは非常に安定している物資である。そのため、地表と成層圏の間に位置する対流圏を漂うあいだは他の物質とほとんど反応しない。

だが、一部のフロンが大気の循環によって成層圏に到達すると、対流圏ではオゾン層によって遮られていたエネルギーの高い紫外線(UV-B)をもろに浴びることで「光解離」という現象が起こる。この光解離とは、エネルギーの高い光子を浴びることで分子が乖離してしまうことである。これまで共有結合によって炭素と結合していたハロゲンは光解離によって結合が解かれ単体で浮遊することになる。その結果、浮遊したハロゲンとオゾンが結合することでオゾンが減少してしまうのである。

ここで、ハロゲンの一つである塩素ClとオゾンO₃の反応を見ることとする。まず、プロセス1ではClとO₃が反応し、ClOとO₂になることが示されている。ここで、ClOは不安定な物質なので、すぐにOと反応しClとO₂が生まれる。そのためClの量は変動していないのにもかかわらず、結果としてO₃とOからO₂が2つ生じている。これはオゾン層の破壊を意味している。

ここで注目してほしいのは、プロセス1で使用したClはプロセス2において再生産され、収支は0となっていることである。つまり、Clはこのプロセスを再び繰り返すことでオゾンをどんどん破壊できるのだ。

実際には無限にこのプロセスが循環するわけではなく、例えばO₃が少なくなってくるとCl同士で結合したり、Clが雨に取り込まれることで成層圏から消えていくこととなる。しかし、Clが触媒のような機能を果たし、オゾン層の破壊につながっていることは紛れもない事実なのである。

なぜオゾンホールが生まれるのか

ところで、南極の成層圏では春季にオゾン層が極端に少なくなるオゾンホールと呼ばれる現象が起こることがある。なぜ世界全体ではなく集中した地域でオゾン層の破壊が見られるのだろうか。

その原因として、成層圏の大気循環が指摘されている。冬季の南半球ではオゾンが多く生成される赤道付近から南極への循環が弱く、南極は物質的に孤立した状態となっている。また、強い極渦の西風が南極点を取り囲むように吹いており、渦外との大気循環はほとんど起こらない。

<スポンサー>

そうした中、気温が非常に低い南極の冬季では特殊な雲が生まれ、そこで塩素が大量に生成される。春になり塩素が太陽の光を浴びると光解離が起こり、フロンの破壊が起こってしまうのである。その結果、オゾンホールという現象が発生する。

現在は徐々に改善に向かっているが…

このオゾン層の破壊は世界的な大問題となり、1985年のウィーン条約・1987年のモントリオール議定書ではフロンの製造及び輸入が制限された。そうした努力の甲斐あって、今現在では微量ではあるが徐々にオゾンの量が回復してきていると言われている。研究者の間でもばらつきはあるが、2060年ごろまでにはオゾン層がおおむね回復するとみられている。

(参考:Ozone layer expected to heal fully by 2060 -FutureTimeline.net)

しかし、フロンの代替として用いられているハイドロフルオロカーボン(HFC)は温室効果ガスであり、地球温暖化への影響が懸念されている。人類は今後も環境問題と向き合い続けなければならない。

 

フォロー・いいね・チャンネル登録での
ご支援よろしくお願いします!

<スポンサー>

おとな研の”今”を知ろう!

 

よもぎおとな研究所 副編集長

投稿者プロフィール

ライターページ
おとな研究所副編集長、ブロガー
Twitterフォロワー数8000人超
時事・教育・経済など幅広い分野に関心あり

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

あなたへのおすすめ



ピックアップ記事

  1. 登録されている記事はございません。

スポンサー







Twitter・FaceBook

公式チャンネル

有料コンテンツサイト

スポンサー




スマホでもおとな研

スポンサー




ページ上部へ戻る