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政治家インタビュー#5 れいわ新選組 候補予定者・北村イタルさん

いよいよ10月19日に公示され、31日に投開票が行われる衆議院総選挙。各党・各候補予定者の動きは連日報道され、発足したばかりの岸田政権に対する国民の初めての審判がくだされようとしている。

おとな研究所では「政治家インタビュー」と題して、過去4回にわたって現職の国会議員にインタビューを行ってきた。今回は初の「非国会議員」に対するインタビューということになる。お受けいただいたのは、2019年の参院選で一大旋風を巻き起こした山本太郎代表率いる「れいわ新選組」の候補予定者、北村イタルさんだ。

北村イタル (れいわ新選組 東京2区総支部長) (@ItaruKitamura) | Twitter
北村イタルさん HP Twitter

北村さんは、新党が結党されたり野党共闘の在り方が議論されるなど、政治の中心であると同時に選挙の中心ともなりつつある比例東京ブロック・東京第2区から立候補予定である。今回おとな研究所は北村さんの事務所にお伺いし、経済政策や教育政策、政局や今後の展望などについて、話を聞いた。以下その全容である。

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政治を志すまで

―米ゴールドマン・サックス社をはじめ、様々な金融・不動産系企業への勤務経験をお持ちですが、当時のことや政治家となった時に活かしたいとお考えのことなどあれば、お聞かせいただきたいです。

私が最初に入った会社は「ゴールドマン・サックス」という、アメリカの投資銀行と言われている会社でした。所属部署は少し変わっていて、「マーチャントバンキング部門」という、どちらかと言うと不動産関連のチームです。2006年に入社したのですが、2012年以降のアベノミクスで金融緩和が始まって、結果的に私たちの業界は潤いました。「潤ってしまった」という表現の方が正しいのかも知れません。

金融緩和の命題は、市中の金融機関が市中の企業に融資をして、企業が設備投資や雇用確保で景気を良くするということです。その方向性は間違っていないし正しい。しかし、当時国民の側の需要が圧倒的に足りなかったという観点がなかったように思います。

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銀行はお金を貸したかったが、企業は借りなかった。それは工場を作っても売れるかわからない、人を雇って事業を大きくしても物が売れるかわからないからです。ここが間違っていて、需要の喚起をせずに金融緩和をしてしまったわけです。

ダブついたお金は、不動産融資に向きました。不動産を買う時に融資がつくのでみんな買います。買って、売って、というサイクルを繰り返すと不動産の値段は上がっていくので、アベノミクスが起こしたのは資産インフレ、資産バブルということになります。都内だと1.6倍くらいになったのかな。

持っているものが高くなるという連鎖は、なにかの努力によって儲けているわけではなく、政策の歪みで儲けているということ。本来そのお金が元々行かなければならなかった、設備投資や雇用には回っていません。資産家の懐だけを豊かにし、実体経済は何も良くなっていない。2012年からずっとで、そこから9年経ったが何も変わっていないわけです。

そうした経験から(当時)私たちがやっていたことはやってはいけなかったという反面教師的な気持ちを強く思っています。

これではアカンなとずっと思っていてそれがキッカケでこういうこと(政治活動)をしています。

結局金融緩和するにしても、需要を換気することこそ最初にするべきことですね。国民にモノを買う力をつけて、それと同時で金融緩和をしないと今のような状況になります。まずは金融商品にお金が流れない規制が必要です。

ですが、今それをドラスティックに行ってしまうと資産バブルが弾けてもっと大変なことになるので、緩やかにコントロールしなければいけません。が、需要の喚起はいずれにしてもただちに必要な政策です。私たちが消費税廃止を言っているのは需要の喚起の一つで、給付金も同様です。

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日本のGDPの50%以上は内需、つまり個人消費です。ここがただでさえ落ち込んでいるうえ、コロナでさらに打撃を受けているから、ここを手当しないと経済はうまく回らないのは当たり前なんです。

―アベノミクスの金融緩和でご自身の職業は潤った、というお話がありました。それでも敢えて欠陥に気づいて政治に飛び込んだということですが、何が一番許せなかったのでしょうか。

私は元々みんなの党系だったのですが、2014年に維新の党という政党ではじめて選挙をしました。当時と状況は変わっていないので、今と全く同じ思いです。その後に落選して、私がいた政党の政治家はみんな立憲民主党に去ってしまいました。みんなの党、結いの党、維新の党、民進党、希望の党、立憲民主党という変遷を見ていると、嫌になってしまったんです。

高い志を持ってやっていましたが、みんな選挙のために政党を変えるし、合従連衡ばかり。維新の党は民主党と合流して民進党を結党しましたが、維新の党はもともと民主党を批判していたんですね。結局民進党になって何なんだろう、と。

自分がそうした動きには主体的に関わらないと思いました。サラリーマンで、粛々と人生を歩もうと思っていた。

ですが運悪く、山本太郎氏の動画を見てしまったわけなんです。笑

―れいわ新選組との出会い、というのがキッカケだったんですね。

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元々山本太郎氏のことは知っていました。1回目の参院選では山本氏に入れているし、その後も三宅洋平氏に入れていたような気がします。(2016年参院選で、山本氏は東京選挙区で三宅洋平氏を支援)

実は正直なことを言うと、凄く好きなタイプではなかったです。というのも、ちょっとパフォーマーに見えていました。政治でパフォーマンスをする人は好きではなかった。

しかしFacebookで動画を見てしまって、山本氏が涙目で「死にたくなる社会をやめたい」と訴えていたんです。人間の生死を政治の場で訴える人は沢山いますが、彼はそこがすべての行動原理だった。他の政治家が言う「生きること・死ぬこと・命を守る」は、政治の場から語る「命」ですが、彼は「命」こそがスタートポイントで、政治を“手段”と見ている。「この人なら変えてくれるかな」という気持ちになりました。

―山本氏に実際に会って、その関わり合いのなかで、最初のイメージから変わったことや気づいたことなどなどはありますか。

れいわ新選組という組織が意外と弱い組織だな、というのは入ってから思いました。色々ちゃんとしていないこともあるのは皆さん御存知の通りですが、小さいから仕方ないとは思います。

山本氏について言えば、彼は凄く実直なんだなという感想を持ちました。裏表が無いわけではないと思いますが、基本的にはないし、本当に彼の行動原理は「政治家になること」よりも「命を救うこと」なんですね。その手段として、延長線上に政治があるだけで、そこはまったく変わらないのだと思います。

ナイスガイですね。「ナイスガイ」というと上から目線か笑

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―政治界隈の人でもそうでなくても、れいわ新選組に距離を置いている人は、「パフォーマー」というところで引いてしまったのかもしれないですね。「本当に変えたい」という本気度が、もしかしたら伝わっていないのかもしれません。そういう部分もあったのかなあと思うのですが。

おっしゃるとおりだと思います。山本太郎が嫌いな人は嫌いで、それを好きにするというのは強烈なイメージが先行しているのでとても難しいですね。そういう意味では、私みたいな候補者のタイプはれいわっぽくないです。自分で言うのもアレですが笑

そういうところで自分の役割があると思っています。

―実際に政治活動を1年半されてきて、今おっしゃったような手応えや、当初からの活動の変化や思うところ・感じるところなどあればお伺いしたいです。

れいわの支持率は1%ですが、選挙区内でそれ以上の支持は取れていると思います。だがそれが50%かと言うと、もちろんそれはないです。1%の割に支持はいただけているのだと思っていますが、それが有権者を波として動かせるほどではない。

反応はいいのも悪いのもあります。悪いケースでは「うるさい」という言葉、「山本太郎嫌い」みたいなもの。

いいケースでは、「頑張ってください、応援しています」とコッソリ言ってくれる方もいます。逆に言うとファンキーに自転車に乗りながら応援してくれる人もいますね。本当に色々です。

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隠れファンみたいな人は意外と多くて、表立っていうのは恥ずかしいのかも知れませんね。

コロナ・経済政策

―政策についてお伺いします。コロナはワクチンの効果か、都内の新規感染者数はだいぶ落ち着いてきました。政府のコロナ対策の評価や、ご自身の感染症関連政策についてお聞かせください。

政府の政策については、最悪だったという評価に尽きます。確かに感染者数は減っていますが原因はわからず、しかも欧米に比べると、ピークアウトの時期がかなり遅いです。イスラエルではまた増えていますね。

専門家でないので詳しくはわかりませんが、最初にワクチンを打った人は4,5月です。半年間しか抗体がないとすると、冬にその人達の抗体がなくなる時期だと思います。

今医療体制は落ち着いていますが、まだまだ気を緩めることはできません。医療体制の拡充を行うべきです。

東京では都立病院の独法化の動きがあります。独法化すると、事業自体の採算を取り始めますね。しかし医療機関はこの状況では基本赤字だし、むしろ赤字になるべきだと思っています。インフラとしての医療を整備するべきだと考えます。

―「法律で強制的に確保できるように」と言う人や、「今の制度下でもできる」と言う人もいます。

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そこは、ゴールをどこに置くかだと思いますね。それだと、効率化がゴールになっています。私たちは命を守ることがゴールなので、効率化は考えていません。

さらに、検査の拡充も必要です。山本氏はPCR検査拡充を言い続けましたが、届きませんでした。PCR検査は日本の場合、体調が悪い人が能動的に受けに行くものになっています。強制的に受けるのは違うのかもしれないですが、中国では検査をした人にお金が支給されています。それくらいのインセンティブを与える体制を整えるべきだと考えます。

PCR検査で陽性が判明したら大変だから、受けないという人もいます。受けないほうがデメリットの方が大きく、コロナになったらホテルで安心安全に診てもらえるし、給料も保証してもらえる、というような体制を早期に作るべきです。

「自分陽性かも」と思っていても言わない人は相当数います。コロナになることで受けるデメリットを想像して検査を受けない人に対して、「むしろ極端な話、罹ったほうがハッピー(有給が増える、など)」、のようなくらいのことをするべきです。

マインドとして、ネガティブに検査を捉えるのではなくてポジティブに受けられる方が、自発的に受ける方が増えてしっかりと実数がわかって対応できるということです。

―経済政策についてお伺いします。岸田総理は金融所得課税を検討しています。

1億円の壁などにも関連しますが、れいわ新選組は「消費税を廃止し最低賃金を1500円にして、その財源は富裕層やお金持ちからいただく」というのが基本的なスタンスだと思います。もう少し具体的にお伺いしたいです。

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基本的に財政出動の財源は国債、という立場です。消費税減少分については国債で補填します。ただ税金のとり方を変えても消費税は無くせる、という説明なんですね。それはそれで一つあります。

税金に関しては、これから行う財政出動に関しては国債が財源です。しかしアベノミクスのように下手な財政出動をすると、相対的に格差が開いていきます。それに関しては応能負担(能力に応じた負担)が原則でしょう。その上で格差を是正するという考え方です。

これは党としての考えではなく、あくまで私個人の意見ですが、金融所得課税は必要です。そもそも分離課税になっているものは、総合課税にするべきだと思いますね。

―今の経済政策に関連してお伺いします。れいわ新選組も野党共闘という形で消費税は5%への減税でまとまって戦いますが、ここでまとまることができたのはれいわの成果だと思います。この流れについてはどうお考えですか。

非常にいい流れだと思います。基本的に私が聞いている範囲では、当初まだ選挙も先だということで無視されていたので、交渉のテーブルがなかったのだと認識しています。

山本代表も言っていますが、れいわは「消費税5%」をコロナ禍の前から言っています。コロナで5%なの?というところは正直ありますね。もし今後消費税を「廃止」とするのであれば、より強力な候補者調整の必要性も感じています。

―今後の展開に依っては前進も後退もあり得る、ということでしょうか。

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現状はとりあえず5%というところで共闘が進んでいますが、れいわとしても譲れない部分があるので、具体的な政策については我々が動いていきます。

―来年の参院選では違う形での共闘も考えられますか。

十分に考えられます。

インタビューにお答えになる北村さん。北村イタル事務所にて

教育・少子化対策、政策の展開

―少子化対策・子育て支援についてお伺いします。東京では待機児童が問題になっていますが、教育現場での問題も絶えないと思います。特に国政において取り組みたいところはなんですか。

学校教育というのは基本的には地方自治での話なので、財源を配分するのが国の役割です。文京区では子供が増えて「文の京」として子育てに人気ですが、この地域のとある小学校では、子供が増えすぎて図書室を1つ潰して教室にしました。学校教育法上図書室がなくてはいけないのですが、正確には必要とされているのは「本」なんですね。

そのため解決法として取られたのは、図書室にあった本を各教室に配架するというもの。確かに法律や文科省のガイドラインの上では問題ないのですが、図書室というのはそういうものではありません。子どもたちの教育にとって非常に重要な場所です。

今の所この小学校は図書室を増設する予定はないということですが、プレハブを一つ作ればいい話じゃないですか。そういうところへお金を回すべきですよね。教育への投資は未来への投資です。

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待機児童だった子たちが、小学校に上がる時に再び問題になっている事例もあります。中学校に行けば私立に行く子もいるため別かもしれませんが、世代を経るごとに起きている現象なので、ちゃんとケアするべきです。中央区なども同様のことが置きています。

―少子化の原因はズバリ何だとお考えですか。

複合的にいくつかあると思います。一番は我々の世代の将来不安ですね。社会保障もそうですが、今は時代の流れがとても早いです。私は結婚しているが、今子供を作って育てるのはとても不安があります。政治活動をしているというのもありますが。笑

周りを見ていても、東京で子育てをするのはダブルワークじゃないと厳しい部分があります。共働きで子供を育てるのは我々の世代が今始めてしている「チャレンジ」です。自分たちは専業主婦だった母親が多いはずなので、そういうふうには育っていません。

我々の世代が今の状況を作っている・作らされているということです。我々が先に進んでも、社会や政治が追いついていないという状況は不安です。それは保育所や小学校がパンパンだという教育現場そのものの問題から、自分たちの家計の問題まで。2人働かなければ1人を育てられないという状況は、なんとしても是正するべきです。

―なんで日本は賃金が上がらないのでしょう。

それは岸田さんに言いたいですね。笑

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―今国民負担率が46%で、稼ぎの半分くらいが取られているという話ですよね。

私は社会人時代に金融業界にいて、庇うわけではないのですが企業側のモチベーションとしては―内部留保という言い方は好きではありませんが―お金を貯めておこうというモチベーションになるのはわかります。需要がない、モノが売れない、少子化だからもっと売れない…というのが今の状況です。

例えば週刊文春という雑誌がありますが、文藝春秋社の本業は実は不動産賃貸業なんですね。要はそういう大きな会社・よく耳にする会社ですら将来不安で不動産投資に走るような状況ということです。文春の場合は特に本が売れないなどの理由で極端なのかもしれませんが、世の中それだけ需要が細っていると、企業としては「いま給料を増やすよりも後で不動産投資を…」というモチベーションになるのはわかります。

今するべき政策は、法人税の減免などの、賃金を上げた時に企業にインセンティブを与える税制です。内部留保を取り崩す、という共産党や社民党の主張は、会計的にできないし、やっても意味がありません。

それよりは、1年の会計フローの中でいかに雇用を増やし、賃金を上げることでのインセンティブを作ることをしないと、企業は賃金を上げないと思います。

制度設計上で法人税の減免というメニューを入れて賃金上昇と雇用拡大を行うと同時に、需要を増やすということをするべきです。

―れいわ新選組の政策はワンイシューと言われることがありますが、今おっしゃったような政策パッケージとして話を聞くのは初めてで、凄く腹落ちしました。これを聞いたらみんなある種納得できるところがあると思います。ただ「お金を配ります」とか、ただ「持っているところからいただきます」だけだと思っている方も多いのではないでしょうか。

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それは、その通りだと思います。笑

そういうイメージをやっぱり持たれていますよね。山本太郎が都知事選に出馬したときも、「10万円を配ります」と言う主張で得票が伸びたのは、下町などのコロナで本格的に打撃を受けたとこです。都市部ではあまり伸びませんでした。「また現金給付?」となったのではないでしょうか。「10万円=山本太郎」のように、ある種ワンイシューと取られたと感じています。

政策の全容を語っていないわけではありませんが、うまく語れていないのだと思います。「持っているところから…」というのも言っている分には気持ちがいいのですが、ある種ポピュリスティックです。応能負担という説明もしていますが、うまくないのだと思いますね。その点はご指摘の通りです。

―その他、選挙戦で訴えたい政策などはありますか。

ここにきて、選挙戦全体の争点がブラされている気がしています。そこも岸田さんの戦略だと思いますが、ここに来て給付金を言い出していますよね。岸田さんが言っていることは、文字だけで並べるとれいわの政策とあまり変わらないように思われるんです。

そうした状況で、我々の側がハンドルを握ってなにかを争点化するのは難しいと思います。かといって同じ土俵にも乗れないので、迷っている部分です。「新自由主義からの脱却」と、自分たちの過去を否定してきているわけですから。

―そこが自民党のうまいところで、総裁という頭を付け替えることで自己否定できるんですよね。

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そうなんです。うちの政党が同じことをしたらめちゃくちゃ炎上すると思いますが。笑

新党・総裁選政局

―政局についてお伺いします。小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」を母体とする新党「ファーストの会」が結成され、国政進出するということです。日本維新の会・国民民主党・れいわ新選組などの第三極とファーストの会の取れそうなところは、全部とは言わずとも割と被っているところがあると思います。れいわはそのあたりの影響をどのようにお考えですか。

全く無くはないと思いますが、直接的に殴られるダメージは少ないと思います。かすり傷程度かと。そういう意味では「出したきゃ出せば」という感じですね。むしろ出てもらったほうがありがたいのかもしれません。傷は食らうが得るものも大きい気がなんとなくしています。

私たちの選挙は山本太郎代表以外、いかに惜敗率を上げるかという戦い方です。我々に直接来るダメージよりも、自民党や立憲民主党から削るほうが多いはずです。彼らを肯定するわけではありませんが、出してくれたほうが良いかもしれないです。東京2区で出てくるとすると、鳩山太郎氏でしょうか。

―自民党総裁選挙もありました。河野氏、岸田氏、高市氏、野田氏の4名です。結局勝ったのは岸田さんだったわけですが、北村さん個人としての感想はありますか。

一国民として政策だけ見れば、岸田さんが一番マシだと思っていました。もちろん、すべて実現できる前提としたら、です。

ハト派であることに加え、格差是正を打ちした経済政策も支持できます。しかし実際にやれるかどうかは別ですね。自分たちが小泉政権以降作り出してきた相対的格差の問題点を理解しているし、経済政策への力点の置き方としてはメッセージとしては個人的には良かったと思っています。

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総裁選そのものに対しては、「あまり変わらないのではないか」という感想です。河野氏になれば爆発的な人気も予想されましたが、そうはなりませんでした。

私の選挙区にいる辻清人氏は岸田派の所属議員です。岸田さんによる直接の応援も予想されます。総裁選の折にはテレビにもよく出られていました。東京2区で言えば厄介なのかも知れないですね。

目指したい社会像・教育・若者政策とメッセージ

―ご自身が目指したい社会像や、当選された後の議員活動についての展望をお伺いします。

目指している社会像については、れいわ新選組は「生きているだけで価値がある社会」をテーマにしています。

これについては賛同も賛成もしていますが、ややおこがましさも感じているところもあります。私が最終的に目指しているのは「そこにいていい社会」です。今の時代はコロナもそうですが、いつ何が起きるかわかりません。

災害や気候変動もそうですね。地震はかならず来ると言われているし、いつ来るかわからないわけです。社会の流れも早く、サラリーマンを15年前からしていましたが、その時金融機関は人気の職場だったのに今はそんなことはありません。

産業の転換も早く、人生の先を誰も予測できない。どんな理不尽・不条理が襲いかかるかわからない状態で、そういう理不尽や不条理すら「自分が悪いんでしょ」と政治や社会は自己責任で片付けてきます。

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元々の日本の良さが失われているのだと感じています。例えばお醤油がなくなればお隣の人に借りに行くとか、困っている人を助けるというのが当たり前だという文化が、日本の良さだと私は思っているんです。もう社会がそれを忘れていて、その大きな原因はやはり政治が個人に対して自己責任を押し付けているということではないでしょうか。

だからどんな理不尽や不条理があっても、生命と生活だけは国が公助で守り抜く社会を作りたいと思っています。

議員活動については議員になったことがないのでわかりませんが、普段は地域活動をベースにしているのでそれは続けていきたいと思っています。地域の声を聞くことは代議士の活動としては重要だと思うので、現在も町会の役員などはしているが、地域に根ざした活動を行っていきたいです。議員になればその範囲も広がります。色々なところを歩いて、色んな話を聞きたいですね。

幸いにしてこういう立場になって、路上生活者支援の現場なども見られました。選挙が終わればそうしたところでお手伝いしたいとも思っています。私はもともと文京区で、妻も文京区議なので文京区を殆ど見ていますが、台東区は路上生活者の方の状況としては良くないです。一方で、台東区では福祉が充実しているんですよね。

文京区ではそうした人は少ないものの、福祉政策は不十分です。そうしたアンバランスさを是正していきたいと思っています。

―最後の質問です。れいわ新選組には若者勝手連など、若い人がかなり参加しています。学生や若者にメッセージなどがあればお伺いしたいです。

メッセージを伝えるなんていうおこがましい立場ではありません。私たちのような中年に入ってくると、ほとんどの人は「申し訳ない」という気持ちがあると思います。「こういう社会でごめんね」という気持ちです。

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「頑張ろうね」なんておこがましいことは言えないし、「一緒にやろう」とも言えないので「一緒に一歩歩き出せるのであれば、よろしければお付き合いいただけませんか」という気持ちです。

就活の波で、私が就職した時はいい年、当たり年でした。でもその僅か2、3年後―リーマン・ショック後くらい―の子たちはとんでもない世界で就活していて、大学のOB会とかにいくと本当に「申し訳ない」という気持ちになるんです。3個下くらいからは地方公務員が多いのですが、民間に就職したかったができなかったという場合や、そもそも民間が怖いから地元で市役所の職員をしている、などの声を聞きます。牙を削がれたような感じで大学を卒業した子が多いです。これはもうタイミング・運の問題だと思いますが、今の若い人は本当に生きづらいと思いますね。先輩としては申し訳ないです。

全ての学生に限らず子どもたちは、同じスタートラインに立てる環境は社会や政治が作る必要があると思います。教育無償化は今更出てくる議論としてはおかしいと考えています。保育園・幼稚園から大学まではもちろん、場合によっては塾などについても補助するべきです。同じスタートラインに立って選択肢ができるわけですから。教育無償化は議論するのも嫌なくらいなんですよ。

維新などの教育政策は「補填」することでマイナスにあるものをプラスにしていく、という思想なのだと思います。私はマイナスがある事自体をおかしいと思っているので、足りないものを保障するという考えです。構造的な差別になりやすいバウチャー制度にするくらいであれば、最初から平等に無償化にするべきです。


れいわ新選組、そして北村イタルさんはこの衆議院選挙で躍進することができるのか。

引き続き目が離せない。

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