衆議院の「解散」とは何か 解散の歴史と憲法上の根拠を分かりやすく解説

本日、衆議院議員選挙が告示され選挙戦に突入しました。各党は新型コロナ対策やアフターコロナの経済政策を中心に熱いバトルを繰り広げることとなります。

(関連記事)

ところで、今回の選挙は衆議院の「解散」に伴う解散総選挙です。この記事では「解散」についてフォーカスし、解散とは何か、また歴史や憲法上の根拠などを詳らかに解説していきたいと思います。

解散とは

「解散」とは、議会の構成員たる(衆議院)議員の全議員の資格を、任期満了前に一斉に失わせる行為のことを言います。衆議院の解散は天皇の国事行為という扱いになっていますが、国事行為は内閣の助言と承認が必要なので、解散権は実質的に内閣が握っています。ただし、解散の根拠については学説が分かれています。(この後解説します)

解散すると衆議院議員は全員その身分を失いますが、解散された日から40日以内に衆議院の総選挙が行われ、そこで再選すると再び衆議院議員になることができます。この選挙が行われてから30日以内に特別会(特別国会)が開かれ、その特別会の召集とともに内閣は総辞職し国会は新しい内閣総理大臣を指名することになります。

ちなみに、現行の憲法下で解散を行うことなく任期満了で総選挙を実施したのは1976年の三木内閣のみです。また、10月14日に行われた今回の解散は任期満了(10月21日)間際で、任期満了後(10月31日)に選挙の投開票が行われるのは史上初めてのことです。

解散が行われると同時に、参議院は閉会します。つまり、衆議院が解散されるとしばらくの間は政治的空白が生じることになります。ただし、緊急性を要する場合は参議院で緊急集会を開くことはできます。また、会期不継続の原則から、審議されていた法案はすべて廃案となります。

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解散の流れ

解散の手続きは次のような流れとなっています。

1 内閣総理大臣が全閣僚に対して衆議院解散を諮り、閣議決定される

2 内閣総務官が皇居を訪れ、天皇が解散詔書に署名・押印する

3 内閣総務官が解散詔書を持ち帰り、内閣総理大臣が副署する

4 解散詔書を衆議院議長が読み上げる

5 解散

万歳三唱の理由は

衆議院議長が解散詔書を読み上げ解散されると、慣習的に万歳三唱が行われます。解散されると議員は全員“クビ”になるにもかかわらず、なぜ万歳三唱を行うのか疑問に思う方も多いと思います。

「第11回帝国議会 衆議院本会議(明治30年12月25日)会議録」には、拍手が起こり万歳という者がいたという記述もあるので、少なくとも明治時代からこの慣習は存在するようです。

第11回帝国議会 衆議院本会議(明治30年12月25日)会議録 より

解散時に万歳三唱が行われるようになった理由についてはいくつかの説がありますが、はっきりしたことはわかっていません。主な説としては、やけっぱち、気合づけなどがあります。

ただし、コロナ禍で国民に対しライブ会場などでの声援の自粛を呼び掛けているにもかかわらず、国会議員が大声で万歳三唱をすることに対して疑問の声も上がっています。特に野党側は万歳三唱は自民党の旧態依然の表れだとして、今回の解散でも万歳三唱を行わなかった議員も多くいるようです。

解散の憲法上の根拠

ここで、解散の憲法上における根拠について、2つの学説を紹介します。

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まず一つ目は69条説です。これは日本国憲法第69条の内閣不信任決議に関する記述が解散の根拠となっている説です。

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

日本国憲法第69条 より

この説は日本国憲法が施行された直後は主流でした。実際、内閣不信任決議が可決されて解散した1948年の第2次吉田内閣の解散詔書を見ると、その痕跡が伺えます。

衆議院において、内閣不信任の決議案を可決した。よつて内閣の助言と承認により、日本国憲法第六十九条及び第七条により衆議院を解散する。
御名御璽
昭和二十三年十二月二十三日 内閣総理大臣 吉田茂

しかしながら、この学説はその後大きな批判を受けます。この69条は内閣不信任決議が可決された際の内閣の進退を定めたもので、衆議院の解散そのものに関する規定ではないからです。そのため、不信任決議が可決されずに解散する、いわゆる「裁量的解散」は69条では説明することができません。

69条説は1950年代以降は後述する7条説に押され、今ではほとんど支持されていません。たった今紹介した1948年の5年後に行われた解散では、内閣不信任決議が可決されて解散されたにもかかわらず、後述する7条説が採用されています。

日本国憲法第七条により、衆議院を解散する。
御名御璽
昭和二十八年三月十四日 内閣総理大臣 吉田茂

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次に、今最も主流である7条説を紹介します。

この7条説は現在最も支持されている説で、今回の解散においても7条が根拠となっています。

日本国憲法第七条により、衆議院を解散する。
御名御璽
令和三年十月十四日 内閣総理大臣 岸田文雄

日本国憲法第七条により、衆議院を解散する詔書 より

7条説は、日本国憲法第7条を根拠に解散が行われているという説です。

第七条
 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  一、憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  二、国会を召集すること。
  三、衆議院を解散すること。
(後略)

日本国憲法第7条 より

この説では、国事行為という形で天皇が形式的に解散権を持っているが、内閣が天皇に対する助言と承認により実質的に解散権を握っていると解することができます。この説では、前述した「裁量的解散」を説明することができ、現在最も支持されている学説です。

 

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よもぎおとな研究所 副編集長

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おとな研究所副編集長、ブロガー
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時事・教育・経済など幅広い分野に関心あり

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コメント

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