衆院選祝勝ムードもつかの間…
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衆院選で41議席を獲得し、議席を4倍近くまで伸ばした日本維新の会。衆院選の最大の勝者として祝勝ムードとなったのもつかの間、日本維新の会の所属議員が、またSNS上でトラブルを起こしている。
発端は、SNSサイト「Twitter」における、3日午後2時半の佐藤こと都政対策委員のツイートである。
佐藤ことさんは、優秀な女性候補が数多く落選し、国会を去ったり、国会に来ることができなくなったりしている現状を嘆く趣旨である。佐藤さんは、穏健的なフェミニストの1人として、ジェンダーギャップを問題視している。また、LGBTの権利拡大にも佐藤さんは関心があり、この問題に熱心に取り組んでいた議員として、尾辻かなこ前議員を挙げたのであろう。このツイートをどのように解釈しようとも、それ以上でも、それ以下でも、ない。
参考:都議補選・北区 佐藤ことさん(維新・あたらしい党) インタビュー
ところが、このツイートの中で、尾辻かなこさんを取り上げたことで、維新関係者の間で批判が殺到した。批判している関係者によれば、立憲民主党の尾辻かなこさんと維新の守島正衆院議員が大阪2区で戦っており、維新の候補者と戦った立憲民主党の政治家が「落選したことは残念」とツイートすることは、まるで守島氏が当選したことが残念であるかのように読め許せないということらしい。佐藤ことさんは、このような批判を受け、ツイートを削除するに至った。
そもそも、これらの批判自体元のツイートの意図をあえて歪曲したような筋の悪いものである上に、佐藤さんのツイートに言葉足らずの点があることも否めないとはいえ、批判するようなほどのことではないはずだ。しかも、衆院選は比例選挙もあり、守島氏の当選を喜ぶことと尾辻氏の完全落選を悲しむことは、矛盾しないからである。仮に、内容に問題があったとしても、佐藤さんは民間人であり議員ではないのだから、集中的にバッシングする必要はなかったはずだ。とはいえ、批判が多くなった以上、ツイートの削除そのものはやむなしであろう。
ツイート削除後に飯田哲史大阪市議が恫喝
しかし、この問題は、本人がツイートを削除したにもかかわらず、より大きくなってしまった。維新の会所属の飯田哲史大阪市議会議員が、削除された佐藤さんのツイートの写真を引用して、恫喝めいた投稿をしたためだ。
飯田議員は、3日午後4時半ごろに、「選挙戦で多くの皆さんにご支援頂き、大阪府市政や維新に関するデマを散々流していた尾辻候補は落選。。それに対し維新側の人間がこの物言いをするのは異様。この人の都議選の応援のために市議団からも有志を募って送る役割を総務会長としてやっただけに残念。先が思いやられるな。」とツイートした。
仮に尾辻氏が、過去に維新に関してデマを発信していたとしても、上記の通り、佐藤ことさんに噛みつくのは筋が悪すぎる。おまけに、飯田議員は、都議選の応援に「市議団からも有志を募って送る役割を総務会長としてやっただけに残念」と、応援してやったのにと言わんばかりの上から目線である。
維新の本場である大阪の「現職市議会議員」が、東京の女性の「元候補者」に対し、このような高圧的な態度を取る。このような場面を見て、維新のイメージが低下することはあれど、上がることは決してないだろう。
「若者」「女性」弱い立場の人に高圧的、侮辱的な態度を取る維新議員
このような高圧的な飯田議員のツイートには、多くの顰蹙の声が寄せられている。
維新は、マッチョな政治姿勢が目に付くためか、女性から敬遠されやすい傾向にある。とむ氏の指摘の通り、「女性に高圧的な態度を取る男性議員」の存在が、ますます維新から若者や女性を遠ざけるだろう。なぜなら、若者や女性はこのようなパワハラ的な風潮に対し、最も嫌悪感を示す集団だからである。
このような、支援したことの恩をちらつかせて、ツイートを削除してもなお執拗に追及する飯田議員の姿勢には疑問を感じ得ない。結局、佐藤ことさんは、アカウント削除を決断するに至ってしまった。熱狂的な維新支持者と飯田議員が、佐藤ことさんを精神的に追い詰めて、発信しづらい環境をつくってしまったのだ。
今年8月には、党のブレーンである渡瀬裕哉氏が、維新の会学生部の部員に対し、高圧的な態度を取り、他方で、当該学生部員の許可なく、守島正大阪市会議員(当時)が渡瀬裕哉氏に対し独断で謝罪するという事件が起きた。このときも、「若者」という党内で弱い立場の発言権を、維新の熱狂的支持者や、維新の本拠地である大阪市議会の議員が奪っているのだ。このとき、佐藤ことさんは、事態を収拾させようと勝手に謝罪した守島議員を擁護する側であった。しかし、このようなことを許してしまい、事態の真相を有耶無耶にしてしまったからこそ、同様のことが起こってしまったのではないか。
なお、8月の一件については、下のリンク先の記事を参照してほしい。
参考:【主張】政党学生部に所属する大学生と著名人の応酬に、政治家が介入する余地はあるのか
今回の佐藤ことさんと飯田議員の一件でも、事態の真相を有耶無耶にするのであれば、次にターゲットになるのは、読者の維新支持者のあなたかもしれない。
維新のTwitterでのトラブルには、共通点がある
維新におけるTwitterでのトラブルは、基本的に下記の通りの共通点がある。これらが、問題の本質であり、これを放置していれば、新たなターゲットが発生してしまうし、問題が起きるたびごとに維新のイメージが低下してしまう。
1 直接連絡すべき苦言をあえてTwitterで行う
2 立場が上の者が高圧的な態度を取る
3 本人以外が謝罪をしてしまう
4 後で問題のある介入を行った張本人がぐちぐちと自分を正当化する
共通点 1 直接連絡すべき苦言をあえてTwitterで行う
まず、問題のある投稿があったのであれば、当人に直接連絡して削除を促す等をすればいい。それをせずに、苦言を引用リツイートやリプライで行うという点がある。そのせいで、醜い争いまでも有権者に公開してしまうのだ。
これについては、足立康史議員がTwitterで、当時維新所属であった丸山穂高元議員と揉めていた際も、「直接やれよ」という有権者からの苦言が数多発生している。なぜ直接連絡する手段があるのに、あえてTwitterで行うのか、理解に苦しむ。
共通点2 立場が上の者が高圧的な態度を取る
次に、必ず高圧的な態度を取る者が現れるということだ。今回の佐藤ことさんの一件であれば飯田議員、維新学生部員の場合であれば渡瀬裕哉氏のように、上から目線で恩着せがましく高圧的な態度を取る。
維新学生部員と渡瀬氏の件でも、渡瀬氏が学生部員を「クソガキ」などと罵倒したうえで、以下のように、渡瀬氏が「貴党とのお付き合いを見直すことも考えておりました」と、「お付き合いしてやってんだ」と言わんばかりの恩着せがましい態度を取っている。

今回の飯田議員の高圧的な態度も、目に余るものがある。これらの2つの事件は、どちらも維新の本拠地である大阪の議員が高圧的・侮辱的な態度を取っているという共通点がある。そして、その被害を受けたのは、議員ではなく、「若者」「女性」という弱い立場の者である。
党所属議員やブレーンが謙虚さを忘れて、このように立場が弱い者に対し高圧的な態度を取るのであれば、本来政策的に支持できる有権者も離れるだろう。
共通点3 高圧的な態度を取った側に本人以外が謝罪してしまう
そして、本質的な問題点は、さらにある。高圧的な態度を取ってしまった側が謝罪するのならばともかく、高圧的な態度を取られた側が「悪者」であることを前提に、第三者が謝るのである。これは、上記の維新学生部員の件でも、第三者の守島議員が勝手に謝罪をして、問題となった論点である。
今回も例外ではない。元のツイートを投稿した佐藤ことさんではなく、第三者である音喜多駿参院議員が、「飯田議員と支援者の皆さまにご不快な思いをさせたことは改めてお詫びします」と、高圧的な態度を取った飯田議員に謝罪しているのだ。
佐藤さんは、ブログにて当該投稿を謝罪してはいるものの、本当に本人の意思で、本人の書いた文章で、謝罪しているのだろうか?まさかないとは思うが、音喜多議員の「指導」で事前に用意された原稿を、投稿させられてはいないか?
まさか上記のようなことはないと考えるが、高圧的な態度を取られた側が「悪者」とされること自体、「無理が通れば道理引っ込む」ことである。
共通点4 後で問題のある介入を行った張本人がぐちぐちと自分を正当化する
無断での謝罪や高圧的な態度など、問題のある投稿を取った張本人が、その投稿が支持者に一定数評価されて快感を覚えたためか、後になってぐちぐちと自己正当化を始めるのだ。
今回の件でも、飯田議員は、削除された元ツイートを引用し高圧的な投稿をした1時間後に、「終わってないんです。勝手に終わらせないでください。政治に関わって維新の大阪のメンバーからも選挙の際に大きな支援を受けた人間として解決ぐらいはしっかりした方が良いと思います。削除してトンズラでは話は終わりません。色々なところで話が始まってしまうだけです。」と自己正当化する内容のツイートを行った。
弁明はこれにとどまらない。以下のような弁明ツイートをその後も連投した。
「住民投票の時からあれだけ酷いデマを散々流していたことを逆に知らないとしたら、落選したのが残念だとご本人を評価もできないのではないかと思います。選挙中も散々維新が住吉市民病院を廃止した、だからコロナで入院出来ずに亡くなった方がいたと街頭で言い倒していた人ですからね。」
「冷静に考えてリスク管理の観点からアカウントを削除したのではないでしょうか。他のアカンウトの掃除も必要です。また幾多のデマにも負けず粉骨砕身頑張ってこられた支援者の皆さんのことも慮ってあげてください。対立候補が落選して残念などと維新の肩書きのついた人間から言われたら悲しいだけです。」
実は、これは初めてではない。守島議員も、維新学生部員と渡瀬氏の争いが起こった際に、独断で渡瀬氏に謝罪したあとに、以下のような投稿を行っている。
「想定以上の反応なので一言。学生だからとか、相手がどうとかではなく、組織内の人と取引先が揉めれば、先方に謝るのが普通。一般企業も然り。謝るべきが誰という話はあるが、先方からクレームを受けた立場として対応することも普通。身内庇って関係切るとかはなく、身内のことを考えてもそうすべき。」
流石に、守島議員の介入には批判殺到し、ツイートは削除されている。
問題のある介入をした後は、自己正当化。「身を切る改革」を掲げて自分たちへの厳しさをアピールする政党としては、かなりイメージに傷がつく行為である。
いつまでも党内を「維新」できない「日本維新の会」
これらの問題は、維新の本質的な問題点に迫る共通点があるということだ。代表選挙を2年ごとまたは3年ごとに必ず行うような、最低限の党内改革もできず、大阪の地方議員や、大阪出身の国会議員が、偉ぶっているということである。その背景には、規約上大阪以外の地域から代表を選出することが困難である点など、大阪優位の党内の体質があるのだろう。
維新関係者は、そのようなことはないと言うかもしれないが、今回の飯田議員、そして8月の守島議員の態度は、弱い立場の人間に対する上から目線の態度のあらわれである。表面上「身を切る改革」で「議員の特権をなくす」と言っていても、このような細かな言動に、本心は現れてしまう。
この問題は、有耶無耶に終わらせるべきではない。そうしなければ、第2、第3の「佐藤こと」や「維新学生部員」が現れても、おかしくないからである。
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