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大阪維新の会十周年― 地域政党成功の方程式とは? (1)維新人気の解剖

大阪維新の会十周年― 地域政党成功の方程式とは? (1)維新人気の解剖

地域政党「大阪維新の会」は2020年4月19日で創立10周年を迎えます。設立者であるの橋下徹(時の大阪府知事)は支持母体である自民党と大阪府庁移転問題(老朽化した府庁舎を赤字状態のWTCビルの移転する計画を橋下知事が推進)がきっかけで決裂し、更に当時の平松大阪市長と大阪都構想についての対決路線もあり、橋下知事の政策に賛同する府議市議30名からスタートしました。

現在では大阪維新の会は大阪府、大阪市、堺市を始めとする12の府内自治体で会所属の首長を持ち、220名以上の地方議員を有する大政党となっております。

今日十周年を記念したこともあり、最近の吉村府知事のコロナ対応でメディアに大きく取り上げられる維新の会ですが、これまでに沢山の記者、コメンテーター、所謂「知識人」がなぜそこまで強いのかを分析する記事が沢山ありますが、全て東京目線、若しくは反維新目線で書かれてます。今後数本の記事で私は維新支持者では無く、「関西出身の人間」としてフェアな第三者的ポジションで大阪での維新・橋下人気について書いていきたいと思います。

https://www.sankei.com/west/news/200418/wst2004180016-n1.html

今日は特に反維新的スタンスで有名な文学者内田樹さんが朝日新聞のアンケートに対して書いた回答の原文 (https://blogos.com/article/451569/)を読みほどきながら、維新人気、そして反維新が陥る罠を解明していきます。

先ず最初に内田さんは大阪特殊理論、即ち大阪独特な文化的要因が維新人気の要因と説いています。

大阪は発生的にも、武士の街ではなく、町人の街でしたし、船場の経済力で大都市になった。懐徳堂も適塾も町人たちが自力で立ち上げたし、文楽も上方舞も民衆芸能です。「自分のことは自分で始末するから、お上は口を出さないで欲しい。自分の欲しいものは自分で手に入れるから、公共の支援など要らない」という考え方が伝統的に根づいている。

維新が熱心にやってきたのは、この大阪人のリバタリアン的気質に乗じた「公共財の取り崩し」「公共財の民間への付け替え」だったと思います。

これには筆者も100%同意する所で、関西との繋がりがある内田氏だから理解が容易な事なんだろうなと思います。大阪は歴史上世界でもベネチアくらいにしか負けない資本主義文化がありました、そしてそれが何百年後、大阪人の一般文化として受け継がれているのは疑いのない事実であると言う分析も内田さんと一致します。

民営化と民意

しかし彼はその後、英国のコモン制度の自由化と大阪で行わる民営化の対比を行いました。しかし、その中でコモンは「のんびり牛や羊に草を食わせたり、食材を栽培したりしていた」と言う説明がなされ、更にはその自由化に賛成した大衆=現在の大阪の世論まるでが愚かだと言う表現がなされています。

多くの人はそれに抗わなかった。世の中、そういうものだろうとおとなしく受け入れた。「誰の所有であれ財が利益を生み出すのは端的によいことである」という資本主義のイデオロギーをすでに人々は内面化していた。「生産性が上がる」というのは、例えば、それまで10人でやっていた仕事を1人でやるようになるということです。たしかに人件費コストは削減できる。でも、それまで働いていた9人は失業するわけです。

これは複数の問題点があります。一つ目は改革/民営化の対象だった制度や組織は(英国のコモン、大阪の公的セクター)は民衆が見える程明確な問題があり、それを「なんとかせなあかん」と言う問題意識があったのです

英コモン制度を内田氏はまるで理想郷のであるが様な説明をしてますが、経済学ではコモン制度の弊害と失敗は有名です。(Tragedy of the Commons , コモン制度の悲劇)コモン制度は資源(牧草、植物)に対する所有権=価格が無いが故に深刻な資源獲得競争に陥いり、人口が増えるにつれ環境問題を引き起こしました。現在におけるコモンの悲劇の類例として水産資源の乱獲や、低価格による高齢者の医療資源の不当な使用などがあげれます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/コモンズの悲劇

大阪でも公務員の不当に高い給与、そして役所の高コスト赤字垂れ流し体質はかつてのコモン制度と同じ様に民衆から改革のコールがあった訳で、為政者から押し付けられて、それを「受け入れた」物では無いのです。 証拠に現在でも維新の会は絶大な人気を誇る訳ですし、イギリス王室もヨーロッパで数少ない「革命がなかった」国となってます。民衆が為政者に改革を求めてる訳です。

次に内田氏は改革によって市民は結果的に損をすると説いています。それは公的サービスが削減されて大阪であろうが、コモンでの職を失った英国民でも同じだと。しかし、制度の無駄をなくすことは、その無駄を他のいい所に回せると言う事でもあります。

改革の恩栄

例えばイギリスではコモン廃止によって農業革命が起き、その結果大量の労働力が生まれ、産業革命を一番早く起こし、世界一の超大国となりました。農職を失って人は都市に入り、工業職を得ました。生産性も世界一となり、無駄を省く事で世界史上初めて「中間層」が出来上がったのです。

同じく大阪は給料、交通局や将来性の無いインフラ計画を削減しそれを将来世代への投資へ回しています。。大阪市は教育に対する政策経費を7年で8倍へと大幅に増やしました。全国でいち早く私学を含む教育の無償化を実現しています。塾代バウチャーも、妊婦検査の無料化も予算の無駄削減のお陰で出来たんです。

次世代の成長を支える大阪の取り組み

即ち内田氏が考える民衆像、即ち「リバラテリアンなイデオロギーを信奉するが故に自分へのダメージへ盲目な大衆」は完全な間違いなのです。

民意と何か?

数学には「群衆の英知」と呼ばれる有名な現象があります。それは、大衆の平均的な意見や考えは正答に限りなく近いという物です。大阪やイギリスの場合でも、民衆は改革によってもたらされる社会への利益を改革のコストと考慮して、総合的に民衆にとって何が良いかと言うCBA-コスト・ベネフィット・アナリシス(損得判定)を行い、それに基づいて投票しているのです。内田氏が仰る様に、大阪は資本主義的な文化が強いので、尚更損得勘定感が強いとも考えられます。

反維新エスタブリッシュメントの多数が民衆は低脳で盲目だから、我々の言う事を聞かないと言う屁理屈に信じ込んでしまってるが故に大阪府民に見透かされ、選挙に勝てない組織と化してるのです。反維新の方々は民主主義の原点へ立ち戻り、何故民衆が維新を支援してるかをもっと真摯に考え、それを自らの行動に反映させたら、やっと選挙に勝てるのではないでしょうか?

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