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大阪維新の会十周年― 地域政党成功の方程式とは? (2)全国で通用する維新モデルとは?

地域政党「大阪維新の会」は2020年4月19日で創立10周年を迎えます。設立者であるの橋下徹(時の大阪府知事)は支持母体である自民党と大阪府庁移転問題(老朽化した府庁舎を赤字状態のWTCビルの移転する計画を橋下知事が推進)がきっかけで決裂し、更に当時の平松大阪市長と大阪都構想についての対決路線もあり、橋下知事の政策に賛同する府議市議30名からスタートしました。

現在では大阪維新の会は大阪府、大阪市、堺市を始めとする12の府内自治体で会所属の首長を持ち、220名以上の地方議員を有する大政党となっております。

この記事は大阪維新の会のケースを見ながら、大阪以外での地方政党が各地域で政権を取るにはどうすれば良いのかと書いてみたいと思います。

なお、この記事はシリーズ2本目です。この記事を読む前に、前回の記事を読んで頂くと幸いです。

私は前回の記事で、大阪維新の会の改革、特に身を切る改革に始まる行財政改革が支持された大きな要因は大阪独特の文化的背景があったからと言いました。即ち、大阪維新の会と同じ広報戦略を行っても、他地方ではその「大阪モデル」は通用しない可能性もあるのです。

よって、地域政党が成功するには、その地方のニーズに合わせて政策を変え、民衆のニーズに臨機応変に対応しなければいけません。現に、維新創設者の橋下徹氏も著書「政権奪還論」では、

個人的な政治信条は捨て、有権者の声を真摯に聞け

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政権奪取論― 橋下徹 ISBN 978-4-02-273787-8

と説いてます。大阪における維新の人気も、橋下氏が大阪で通用する政策は何かを考え、それを実行したからです。現に強靭な財政基盤を持つ東京では身を切る改革は破綻寸前だった大阪と比べ、目玉玉政策になる可能性は低いといえます。

しかしながら、行財政改革自体は改革を目玉とする地域政党としては必要です。他の地方で健闘してる地域政党はこの行財政改革の見える部分を「減税」(減税日本)や「情報公開」(都民ファーストの会)としてアピールしています。即ち、やろうとする政策は同じでも、マーケティングやネーミングによってその地域で「ウケる」政策に変わる可能性があるのです。

けっきょく「都民ファーストの会」って何なの?「小池新党」がわかる9 ...

現に日本維新の会は近年、大阪維新の会以外の地域政党を巻き込んだ「地域政党の集合体」で共闘する仕組みを作ろうとしています。これは昨年の参院選でも音喜多駿議員や鈴木宗男議員の擁立もこれに基づく動きでした。全国に受け入れられか分からない大阪モデルを押し通すよりも、各地域の実情を理解してるの地域政党を集めた方が各地域の支持を集めやすいからです。現にこの手法は成功し、維新として神奈川、東京など関東で初めて参議院選挙を当選させる事ができました。

結論として「大阪維新」が成功し、その地域で与党となれたのはその地域の文化やニーズをきちんと把握していたからで、必ずしも同じことを他地方で再現しても成功する確約は無いです。全国に維新モデルを広めるには、その地域を精密に分析し、何が「ウケる」か精査し、それを政策・主張に入れていくのが大事なのではないでしょうか?