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マクロスさんの論考に対するハンキンの見解ーハンキンが語る日本経済ー (上)

マクロスさんの論考に対するハンキンの見解ーハンキンが語る日本経済ー (上)

※編集部書き添え:この記事は、サポーターの方による寄稿記事です。

※また、以下の記事に対する反論記事です。

はじめに

 私、個人では、MMTerではなく、バラマークキャンペーンの経済学者を支持しているということ、れいわ新選組を筆頭とする薔薇マークキャンペーンやそれに近い考え方の政党・議員を応援しているということで以下の意見を執筆させていただきたいと考えている。(若者連にも加わっている)その上で、以下の見解を執筆している。

 なお、れいわ新選組の公式見解としてはMMTを採用する、という立場ではない。という点も明記しておきたい。その理由は、①金融政策無効論を支持していない(日銀審議委員の人事でリフレ派の安達誠司さんに自公維れい新N国みんなが賛成した)、②JGPには反対、という2点である。山本太郎さんは、むしろ、金融緩和政策を評価し、「第一の矢は成功だった」と総括している。

 また、国民民主党が100兆円規模の経済対策、日本維新の会が60兆円の経済対策、れいわ新選組も100兆円ないし200兆円規模の経済対策を提示しいる。れいわ新選組にデフレ脱却給付金などの政策をアドバイスし、減税研究会の講師を務めている井上智洋駒澤大学准教授(以下、さん)は、維新の音喜多駿さんや足立康史さんにもアドバイスをしている。そのアドバイスをもとに国会で消費税減税や一律給付金について音喜多さんは質問もしている。

その上でマクロスさんの考え方に対する論考を執筆した。

マクロスさんに対する見解①ーコロナ不況に対する景気対策について

 マクロスさんの出した論点について、まず、供給制約の問題は筆者も同意である。原材料・資材・労働力共に供給制約がある以上、特定の分野に公共事業を行うことについては供給制約上問題があること、特定分野に資源配分されることへの問題について異論はない。私自身は、減税or給付金中心の経済政策を支持している。

 次に100兆円の予算について悪性インフレーションが生じるのではないか?ということであるが筆者はこの点については同意していない。れいわ新選組が100兆円(追加で200兆円)、国民民主党が100兆円、維新が60兆円規模を提示している。井上智洋さんは、60兆円〜100兆円が必要と主張している。基本的には、給付金や休業補償、家賃補償、社会保険料の減免、消費税減税もしくは一時ゼロなどが中心である。給付金の乗数効果は0.23、消費税減税の乗数効果は0.56、公共投資は1.2とされている。100兆円の財政出動のうち、消費税一時執行停止で30兆円、60兆円が補償・給付、10兆円が公共投資として仮定した場合のGDPの試算は以下の通り。

 現状、550兆円GDPとする。ゴールドマンサックスの予測である-6.5%の年率の落ち込みの場合、今年の514.2兆円とする。消費税一時執行停止で16.8兆円、補償・給付で13.8兆円公共事業で12.2.兆円。556.8兆円となる。100兆円プランでようやく1.2%押し上げる効果しかない。供給制約を考慮し、10兆円が補償にまわると仮定した場合は547兆円と-0.5%の成長にしかならない。

    仮に200兆円にして、100兆円のうち10兆円程度の所得税減税・社会保険料の減免、90兆円規模の補償・給付と仮定しよう。この場合でもようやく26.3兆円の効果である。公共事業10兆円を加えた100兆円プランを実施した場合は556.8兆として、追加の200兆円の経済対策をして585兆円と6.0%の経済成長、10兆円の公共事業をやらないで補償・給付にまわして100兆円プランを実施した場合の547兆円の場合では573.1兆円と4%の経済成長にしかならないのである。筆者は10兆円規模の公共事業は供給制約があるので厳しいと考えているので、補償と減税がメインの100兆円プランとなるが100兆円でようやく+-0に近い経済成長率から1.6%程度の成長にしかならないのである。まして、悪性インフレは起きる数値とは考えにくい。今後の新型コロナの先行き次第では、もっと大規模な財政出動が必要になる可能性もある。また、潜在GDPが600兆円前後と予測しているがこの点はもっと議論を深めたいと思う。

マクロスさんに対する見解②ークラウディングアウトについて

 また、マクロスさんは、財政出動によるクラウディングアウトを懸念しているが筆者は現状、懸念は弱いと考えている。クラウディングアウトは、行政府が大量に国債を発行した場合、市中の金利が上昇し民間の需要が抑制されることである。まず、国債の債務残高が1000兆円あるにも関わらずなぜ金利は上昇せずマイナス金利なのか。この時点でそもそもクラウディングアウトが現状生じるとは考えずらい。

その上で、政策金利は下記の数式で決まる。(フィッシャー方程式)

実質金利=名目金利ー期待インフレ率

 まず、国債の大量発行を通じて100兆円規模で経済政策すると国会で激しく議論されている中で実質金利がマイナスであるという点をまず注目してほしい。名目金利が高騰を起こしていないということである。クラウディングアウト効果で金利が上昇するどころか、マイナス金利である。

 債券の名目金利は、市場での取引価格(利回り)を織り込んだ上で国債の発行元である財務省が決めている。発行残高とパラレルに国債の利回りが高騰しない理由としては、、国債の利回りが国庫と中央銀行の協調により導出する

 日本維新の会のブレーンの一人である高橋洋一先生は、れいわ新選組の経済政策に批判的ではあるが、奨学金徳政令は可能と判断している。理由としては、国債の実質金利がマイナスである以上、国債を発行しても国家にとって損はないため、マイナス金利である間は教育国債の発行は可能であると論じている。

 維新の足立さんや音喜多さんに経済政策をレクチャーし、れいわ新選組の山本太郎さんにもレクチャーをしている井上智洋さん(駒澤大学経済学部准教授)は60兆円〜100兆円規模の真水の予算措置が必要と発言したが、その影響を受けたのかまず、N国・みんなの渡辺喜美さんが100兆円規模の予算について質問をした。維新の足立さんは60兆円規模の経済対策のプランを各政党の中で先陣を切って提示しだのである。そして、GDPの落ち込みがかなり酷いという予測や新型コロナの影響が長期化する恐れがあると指摘されたあと、れいわ新選組と国民民主党が100兆円プランを提示した。

 「れいわ新選組!ダメ絶対!」どころか、れいわ新選組の200兆円プランでも4%、公共事業10兆円を投入しても6%成長というのが実情である。200兆円プランを実施したところで、適正なインフレ率(世界標準で2%、クルーグマンは4%)になるのかさえ疑わしい。その上、コロナ不況が長期化した場合、さらに変数が加わるとその乗数効果をもとに出した成長率より下がるリスクすらあるというのが現状である。

日本の長期不況に対する見解ー供給サイドによる長期不況?需給サイドによる長期不況?

 マクロスさんは、日本の長期不況に対して、供給能力を向上していくサプライサイド経済学を支持しているのでその点について筆者の見解を述べる。

 現状、供給サイドに起因した長期不況が発生しているという考え方と需要サイドに問題があると見なす考え方がある。

 まず、下記グラフのようにインフレーションには、ディマンドプル・インフレとコストプッシュインフレと二種類のインフレーションがあるがあることを理解して欲しい。

グラフについては下記リンクを参考にした。

出典:http://k-kaya.com/archives/6830

 ディマンドプル・インフレ(需要サイドのインフレ)は、財政出動や需要の増加でAD曲線が右側に移る。コストプッシュインフレ(供給サイドのインフレ)の場合は、原材料価格の上昇や人手不足、供給サイドの非効率によって発生し、AS曲線が左側に移る。

 1980年代、英国・米国・ニュージーランドなどで規制緩和・行財政改革・国営企業の民営化が行われた理由は、コストプッシュインフレが発生し、インフレーション下で所得が減少するという現象が発生したからである。そのため、規制緩和を通じた市場競争の拡大や国営企業の民営化による効率化、金融引き締めを行った。各種規制による民間企業や公共セクターの非効率化、財政出動による特定産業への過度な資源配分が行われたこと二度のオイルショックに伴って、プッシュインフレを招いた。そのため、減税・小さな政府・民営化を通じた供給サイドの成長戦略が取られた。各種規制やサプライサイド経済政策が採用された背景である。

 供給サイドに起因するモデルによる停滞・経済成長率の低下ならばなぜ、現状、スタグフレーションないし悪性インフレが発生していないか?という疑問がある。平成期のデフレーションや極めて低いインフレ率は矛盾するのではないか?ということでもある。そして、サプライサイド経済学に基づく供給能力の強化という考え方は、むしろ、デフレーションを悪化させるのではないかと考える。(筆者は、需給サイドのインフレーションで2%〜最大4%程度のインフレーションが望ましいと考えている。)

 一方で、日本の生産性ないし生産性の成長率は、各国に比べて劣るのではないか?という批判があるかもしれない。そのため、サプライサイド経済学流の規制緩和ないし行政改革を通じて生産性を高めることが必要という指摘を挙げる方はいると思う。筆者の見解としては、①資源配分の効率性という点では賛成ではあるが、②デフレ脱却や成長戦略としての効果は現局面では薄い、という考え方を採用している。むしろ、需要に対して供給量が大きい分、供給側が本来の供給力より過少に供給するため、供給側の生産性が低下しているというデータになることも考えられる。技術革新が今後進み、技術成長率に合わせt貨幣供給が追いついていないと考えることもできる。むしろ、金融緩和と財政政策を通じて穏健なインフレ率(一般的には2%、クルーグマンさんは4%と述べている)を達成していくことが生産性を高めることにもつながる。

 ちなみに筆者は、社会主義には反対である。言うまでもないが資源配分の効率性という点で極めて問題があると考えているからである。自由競争は資源配分の効率性を高めると考えている。ただし、規制緩和などの供給側の能力を高める施策は、程インフレ率もしくは現状の新型コロナによるマイナス成長の段階ではやるタイミングではない、と考えている。(続く)

(続編「マクロスさんの論考に対するハンキンの見解ーハンキンが語る日本経済ー (下)」は、近日公開予定!)

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