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ファクトチェック・小西ひろゆき! 立憲民主党の議員は、なぜ平然と嘘をつくのか?

小西洋之

立憲・小西ひろゆき議員の「嘘」を暴く

 立憲民主党の小西ひろゆき参議院議員(参院千葉)は、政界の「お騒がせ議員」として、全国区の悪名を轟かせてきた。小西議員は、過去に「安保法制が違憲であると証明した」などと各所で発言したり、安倍内閣(当時)が虚偽答弁をしたという「疑惑」について追及してきた。ところが、今度は、小西議員が、国会で「虚偽発言」をしてしまったのである。

 小西ひろゆき議員は、岸田文雄首相に対する質問と質問の合間で、「私ども立憲民主党も終始一貫・・・ずっと前から、トリガー条項の凍結解除をすべきだと主張しています。法案も出しております。」などと発言した。

 この発言は、一見すると立憲民主党の提案をアピールするかのようなものである。しかし、小西議員は、この発言をする際に、まるで誤った事実が含まれないように慎重に言葉を選んでいるようであった。ところが、この発言の何最大の問題は、明確な嘘が含まれているということだ。今、国民の最大の関心事のひとつとなっている「トリガー条項凍結解除」という施策を、立憲民主党が「終始一貫」訴えたという事実など、ないからだ。

参考:新人議員に嘘をつけと唆した立憲のトンデモ先輩議員に喝!梅村みずほは民主主義の闘士(音喜多駿参院議員)

トリガー条項凍結解除は衆院選で「立憲民主党以外から」提案されていた

 そもそも、トリガー条項は、民主党政権時代に、ガソリン価格の急騰を回避する目的で、1リットル160円を3ヶ月連続で超えたときには、ガソリン税を25円ほど減税するものだ。もっとも、トリガー条項は、東日本大震災の復興財源を捻出するという名目で、現在は凍結されている。

 昨年10月の衆院選の期間から、ガソリン価格の高騰が問題としてクローズアップされ、各党が対策を提案していた。その中で、現在は凍結されているトリガー条項に目をつけた政党が、国民民主党であった。国民民主党は、衆院選の期間中に、「追加公約」として、トリガー条項の凍結解除による、ガソリン減税を掲げたのだ。つまり、トリガー条項の凍結解除は、衆院選の段階で、「立憲民主党以外の政党」によって、既に提案されていたのだ。

その頃、立憲民主党はどのような「ガソリン高騰対策」を掲げていたのか?

 その頃から、国民民主党と時機を同じくして立憲民主党もトリガー条項の凍結解除を訴えていたのであれば、小西議員の上記発言は、「虚偽発言」にはならない。

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 ところが、衆院選の当時、立憲民主党がトリガー条項の凍結解除を訴えていたという事実は、全くもってない。

 道下大樹衆議院議員(立憲)が10月28日にツイートしている通り、立憲民主党が衆院選で行っている提案は、今の政府が行っている施策と同様、事業者に対する支援である。なお、立憲民主党が提案し、現在政府が実行しているような、事業者に対する支援では、現状、ガソリン価格の上昇を食い止めることができていない。

昨年11月中旬時点でも、立憲民主党はトリガー条項凍結解除を訴えていない

 昨年11月11日、立憲民主党は、政調会長会見で、現在の代表である泉健太氏が以下のように発言している。

 原油価格高騰に関しトリガー条項についての考え方を問われると、「トリガー条項は1つの考え方ではあるが、その弱みとして(発動要件が)3カ月連続であり、そうでなければ発動しないということでは機動性に欠けるという思いから、われわれとしてはトリガー条項ではなく、160円を超えればすぐさま緊急支援をおこなうという考え方」だと述べ、政府に対する申し入れをおこなう準備をしていると話しました。

【政調会長会見】「給付としては大変遅いと言わざるを得ない」政府のコロナ支援策について泉政調会長

つまり、立憲民主党としては、11月11日時点では、トリガー条項凍結解除を真っ向から否定していたのである。小西ひろゆき議員は、他党に政策提案の先を越されて焦ったのだろう。そのせいで、「一貫して」という言葉が口走ってしまったのかもしれない。しかし、立憲民主党は、一度トリガー条項凍結解除を否定している以上、「一貫して」提案しているわけではない。一貫して提案しているのは、国民民主党である。

立憲民主党は、他党の提案を横取りした「前科者」のような立場である

 立憲民主党の篠田奈保子支部長(衆院北海道7区)は、先日、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、「世界的にみれば、日本は過去には、今のロシアのように加害者であったし、今はいわゆる前科者です。」とツイートした。このツイートの是非は、ここでは本題から逸れるので置いておくが、立憲民主党こそが、ある意味で「前科者」的立場なのである。何の「前科者」なのかというと、他の野党の提案が実現した後に、横取りをするということの前科である。

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 令和2(2020)年3月18日に、国民民主党は、単独で現金10万円一律給付を当時の安倍政権に提案した。その当時、立憲民主党は、現金一律給付に反対し、国民民主党との共同での提案を一度は拒んだ。しかし、一律給付の世論の高まりをうけて、同年4月上旬になって、立憲民主党はようやく一律給付賛成に転じた。

 これだけであれば別に問題はない。その後、政府与党も10万円一律給付を受け入れたことで、一律給付が実現したものの、立憲民主党の枝野幸男代表(当時)は、「(10万円)一律給付の緊急対策は、野党が一貫して求めてきましたが、ようやく政府与党も受け入れる方針になりました」と、あたかも当初から立憲民主党が訴えてきたような発言を各所で繰り返した。

 この時も、一律給付を真っ先に提案した国民民主党や、その後に実現に向けて自民党を説得した公明党などの実績を横取りしようとしたのが立憲民主党である。立憲民主党が、政策面で嘘をつくのは、今回が初めてではなく、むしろ「お家芸」のようなものなのである。

法案の提出も他党の「後出し」 スタンスもどっちつかず

 立憲民主党は、政策面でも、政局の面でも後手後手に回っている。小西議員の渾身の嘘は、この焦りからきたものだろう。

 先ほど紹介したトリガー条項の凍結解除法案と、文通費の日割り支給法案については、維新と国民民主が共同で提出した翌日に、立憲民主党は、「後出し」で提出している。後から酷似したような内容の法案を出すのであれば、他党の法案に賛成すれば良かっただけの話である。

 これらの法案に関する詳細は、後記の記事に譲りたい。

参考:ガソリン高騰対策としての「トリガー条項凍結解除」 国民民主党・維新の会案と立憲民主党案の違いは?

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政局では、共産党と選挙協力するかで右往左往

 立憲民主党は、政局面でも、共産党との選挙協力をするかどうかで右往左往している。次回の記事では、立憲民主党が、政策面だけでなく、政局面でも右往左往している姿について、特集を行う予定である。

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