「新・所得倍増計画」の解剖: 日本改造の礎

前年11月に否決された大阪都構想に代わる「目玉政策」を模索している日本維新の会では藤田文武(40)衆議院議員を中心に、画期的な社会保障政策の大転換が議論されている。

その名も「新・所得倍増計画」と、非常にインパクトがある名前となっている。内容としては「フローからストック課税」と、維新の従来からの主張を具体化したとも言える。所得税と消費税の減税を資産課税で補い、国民年金や児童手当などの社会保障、公的扶助プログラムを月7万円のベーシックインカムで統一する計画だ。更に労働市場改革の断行も図り、雇用調整助成金などの影響で硬直化する我が国の労働市場の流動化を図り、「税と社会保障、労働市場」の三位一体改革を行う構想だ。

日本維新の会は主要政党の中でも一番我が国の構造問題を指摘している政党だと筆者は感じている。今回の「新・所得倍増計画」は新たに提示されるであろう地方分権政策とともに統治機構改革の政権構想となると期待している

「新・所得倍増計画」に関するレクを藤田議員から直接聞く機会を維新の学生部が提供してくれたので(当日にはマニフェストPT事務局長音喜多駿(37)参議院議員も参加)、ある程度は計画に対する理解は深まったので、筆者の私見を述べたいと思う。

是非読者の皆様も、「新。所得倍増計画」に関する理解を深める為にも、この記事の続きを読む前に是非藤田議員のブログを読んでいただきたい。

記事:

https://go2senkyo.com/seijika/165201/posts/202076

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行政コストの削減

まず最初に、税制の簡素化と社会保障プログラムの統一は兆単位の行政コストの削減効果があると筆者は考えるが、結果的にある程度計画以上の減税を行えるかと思う。これは維新が従来から掲げる「機能的に小さな政府」と合致しており、筋肉質で効率的な行政機構の構築ができると考える。

なお、藤田議員は所得税改革を「フラットタックス」と呼んでいるが、基礎控除と税率が2類ある為に、厳密に言えば「極限までに簡素化された累進課税」となる。しかし、控除の迷宮と化しており、「130万円の壁」に代表されるような理不尽な税制度からの脱却による納税コストの削減は達成されており、経済にとっても好影響を与えるだろう。

BIの方は基本7万円とされるが、高齢者や単身者には2から3万円プラスされ、弱者への配慮も十分になされている、バランスが取れた政策だと思う。その財源は死後のBIクローバック制度と呼ばれる物で、BI増額分を死後徴収する制度で、相続税の代替となる計画だ。

この種のBIは社会保障の運営コストを低下させ、事実上の少子化対策にもなり、尚且つ減税と組み合わせた結果、大幅な景気対策になることは確かである。マクロ政策である減税による短期的な成長と、ミクロ政策である労働市場改革による潜在成長率の増加、両方の問題の対処を図る。主要政党の経済政策の中では一番優れた物だと筆者は確信する。

資産課税の妥当性

ただ、賞賛ばかりでは無く、疑問も部分的にはある。BI支出財源の半分を占める金融収入・資産課税の強化の面である。金融収入と労働収入の課税一本化による累進性回復(現時点では実習所得税率は年収1億から低下)は素晴らしいが、これと固定資産税1%増税は果たして安定財源となるのだろうか?

日本の経済史を見ると、バブル期など急激に国内の資産収入と資産価値が上がるフェーズは多々ある。しかし逆にその後見られる資産価値・収入の急減など、資産は経済フローよりも運動が過激だと、過去の教訓考えられる。(例:1989をピークに2012年までには国富は約23%減少、同時期にGDPは約15%成長、税収は約15%減少)

現時点では「新・所得倍増計画」の財源は十分確保されるが、現在の株市場がバブルの域に到達している疑惑もあるなど、資産の成長性には一部不透明な点もある。更に、もしこのまま資産価値がバブル並みに高騰した場合、それに伴ってBI給付が上がるとすれば、経済の過熱を招きかねない。逆にバブル崩壊による税収の(フロー課税以上の)大幅減が見られた場合、BIの給付減額が行われるのか?緊縮財政が行われるのか?これらの疑問に対応する将来へのBI給付計算式を提示すべきだと筆者は思う。

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更に、可能性は低いが、れいわ新選組などポピュリズム政党が政権を握った場合、バブル期による税収の大幅増を利用したバラマキがバブルを更に過熱させ、悪性インフレを引き起こす可能性も否めない。

年金問題の解決

更に、新所得倍増計画では、年金の一階部分(国民年金)をBIに置き換え、二階部分(厚生年金)を据え置く前提となっている。しかし、これ程大規模な改革を断行するのであれば、厚生年金を賦課方式(仕送り方式)から積立方式に変更すべきなのではないか? これは年金負担の世代間格差を是正し、社会保険負担も低減する事が期待される。

更に踏み込めば、二階部分の民営化を断行する事もパッケージに含めるべきだ。一階部分を国家がBIで保障するのであれば、二階部分はNISAと統合し、政府保証付きの積立式民営年金とすべきだ。定年後、引き出し時に所得として課税したら優秀な安定財源にもなる。GPIFに強大な力を与えるよりも、民間業者に資本力とリスクを分散する事は経済にとって持続的な成長を与える事となるだろう。

期待

これから党勢の飛躍が期待される日本維新の会。彼等の政権構想とも言え「新・所得倍増計画」。期待も大きいが、疑問も残る。党内で一層の議論が進められれ、国民に完全な政策パッケージとして提示される事を期待する。

 

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マクロスおとな研究所 経済担当

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某国立大学の文系学生です。主に経済や選挙制度に関する記事を書きます!
※2021年7月15日を以て引退。

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  1. 2021年 3月 04日

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