新自由主義とは一体何か?(1)

日本の政界では小泉政権以降、「新自由主義」との名の思想が激しい論争を引き起こし、その賛否によって政治関係者、特にネット上での政治議論が分裂する事が頻発している。一般的には竹中平蔵氏などを始めとする経済学者、シンクタンク「政策工房」を始めとするブレーンを起用する政治家、政党が新自由主義のレッテルと貼られ、具体的な政党名で言うと日本維新の会や自民党の一部(菅総理等)がこの対象となっている、

これに対して、れいわ新選組の山本太郎氏、藤井聡教授や立憲民主党枝野代表、そして国民民主党玉木代表などは、新自由主義が格差を拡大させたとしてこれを批判する事が多い。

https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1306751250143223808

この様に、新自由主義に対する論評は反対派が政敵を「新自由主義者」認定を行い、新自由主義=絶対悪と言う「設定」の下、格差の拡大や不景気の理由として新自由主義を批判する事が多い

しかしながら、この様な歪んだ言論空間の中では、「新自由主義」と呼ばれる政策等に対する公平な論評、評価は不可能となる。そこで本日は新自由主義の歴史の説明と政策の概要を解説していきたいと思う。

新自由主義と呼ばれる政策は一般的にケインズ経済学が主流だった1970年代に発生したスタグフレーション(高インフレ・低成長)解決の為に行われた政策とその継承政策を指す。しかしながら、厳密に言うと、「新自由主義」と言う名の経済学派は存在しない。それも、「新自由主義」とは経済学のシカゴ学派・オーストリア学派全体を批判する為に造語されたからだ。

とはいえ、「新自由主義」は80年代以降主流となった経済学を指す言葉としては非常に的確である為、定着した形だ。「新自由主義」と呼ばれる政策の大半は現在、シカゴ学派であれ、ニューケインジアン学派であれ、当たり前だと考えられている政策だ。即ち、新自由主義は経済学の常識なのだ

新自由主義の目的はインフレなどの悪影響を発生させずに、持続的な経済成長を達成する事だ。その中で政策は大きく分けて3つ存在する。裁量行政の縮小、政府業務の民営化、そして自由貿易の推進だ。

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裁量行政の縮小

ミルトン・フリードマン - Wikipedia
ミルトン・フリードマン氏(Wikimedia Commons)

1970年代に発生したスタグフレーションは政府による莫大な公共投資支出が引き金であった事から、政府が既得権や接戦選挙区に対する公共事業の発注等、政府が具体的に誰が税金を受け取るかを決定する裁量行政の縮小が急務となった。

これは、必ずしも小さな政府を目指すといった訳では無い。単純に現行の予算制度下では予算支出が経済全体の為にでは無く、政治目的として機能し、結果的に資源配分効率の低下を招く事が多発する為、これを防止する事が目的となっている。

具体的な政策としては、ミルトン・フリードマン氏は「負の所得税」や「教育バウチャー制度」などを提唱し、これは欧米諸国にて給付付き税額控除やスクールチョイス政策などに反映されている。日本国内でも日本維新の会が主張する「新所得倍増計画」や私学無償化がこの類に含まれる。

参考文献:「新所得倍増計画」の解説。

更に裁量行政は経済活動を阻害する数々の規制も該当する。規制は生産制限や特別税やガイドライン、参入許可制など様々な形があるが、全て自由な経済活動の阻害となる。これらの政策も、70年代の低成長と高インフレの原因と断定され、規制緩和が推進された。

民営化

日本電信電話公社の民営化は有名な一例

スタグフレーションの一つの大きな背景として、第二次世界大戦の結果、国家総動員の為に数々の産業が国有化された経緯がある。鉱山、航空会社、そして製造業が国有化されたままであり、戦前から通信や鉄道、郵政も国有化されたままであった。しかし、国有産業は採算度外視で経営を行うために、経営の効率化が全く行われず、主要国では、生産性の成長が60年代以降頭打ちする状態となった。採算度外視の経営はつまり、構造的な赤字を容認する事だ。これによって労働者や資本など数々の経済資源が非効率な形態で使われ続ける結果となった。

これを解決する為、日本を含む西洋諸国では数々の公社を民営化させ、これを民間競争にさらし、効率化を図る政策が行われた。結果的に生産性は上昇し、経済構造の大規模な改革が達成された結果となった。

自由貿易

World Trade Organization - Home page - Global trade
WTO本部(スイス・ジュネーブ)

裁量行政による産業保護と国有企業の保護を行うのを目的として、80年代以前は関税や輸入制限を始めする貿易規制がかかっていた。これらは国内産業を保護する代わりに、低生産性を助長し、消費者物価を大幅に引き上げる事となり、経済全体としては大幅なマイナス効果があり、スタグフレーションの高インフレ低成長に大きく寄与した。

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これを解決する為にGATTは80年代に複数回改革を行い、最終的には1995年にWTOに発展的解消をおこなった。この間、関税は主要国で大幅に削減され、グローバリゼーションと経済成長に大きく寄与した。

本日はいわゆる「新自由主義政策」の大まかな概要を説明したが、来週は新自由主義の形態、そして歴史を説明していきたいと思う。

 

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マクロスおとな研究所 経済担当

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某国立大学の文系学生です。主に経済や選挙制度に関する記事を書きます!
※2021年7月15日を以て引退。

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