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都議選最終情勢 9日間の戦い、勝者は誰か

都議選最終情勢

 6月25日に告示された東京都議会議員選挙は、明日7月4日に投票が行われ、即日開票される。

 今回の都議選には、42の選挙区、127の定数に対し、271人が立候補した。党派別に、▽都民ファーストの会が47人、▽自民党が60人、▽公明党が23人、▽共産党が31人、▽立憲民主党が28人、▽日本維新の会が13人、▽国民民主党が4人、▽れいわ新選組が3人、▽諸派・無所属が62人となっている。

 この選挙は、10月に任期満了を迎え行われる衆院選の前哨戦ともいえる。各政党が、コロナ禍で選挙運動に制約がかかる中、論戦を交わした。

おとな研究所 都議選2021 特設サイト

今回の選挙の構図

 今回の都議選は、国政与党である自民・公明が戦いをリードし、それを地域政党の都民ファや立憲・共産などの左派野党、維新や国民民主、れいわなどの第3極政党が必死に追う構図となっている。

 都民ファーストの会の候補者にメッセージを送った小池都知事だが、水面下では、自民・公明との連携を密にしているとの報道もある。

テコ入れに躍起?

 各政党は、コロナ禍においても街頭演説を実施するなど、必死に選挙を戦った。

 自民党を除く政党は党首が応援に入ったほか、都民ファーストの会も、先日まで静養していた小池都知事が電撃応援に入った。日本維新の会は吉村大阪府知事、鈴木宗男衆院議員などが重点選挙区に応援に入ったほか、公明、立憲、共産なども幹部クラスの国会議員が候補者のもとへ駆けつけた。

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 コロナ禍においても、十分な感染症対策を講じることで、従来通りの選挙活動を行うことが可能になった。しかし、こうした選挙活動には批判もあり、今後さらなるオンライン化、SNS戦略に力を入れていく必要がありそうだ。

現時点での情勢

 任期満了前の各党の現有議席は、以下のようになっている。

 それでは、各党の情勢を見ていこう。おとな研究所・選挙ライター おちゃさん(@ishin_ocha)の議席予測によると、以下の図のようになっている。

おとな研究所・選挙ライター おちゃさんの予測(6月30日)

 前回55議席を獲得し、小池知事のもとで第一党になった都民ファーストの会は、公明党の協力がなくなったことも重なり、大きく議席を減らす見通しだ。おちゃさんの予測(以下、おちゃ予測)では13議席となっており、4分の1以下に減らすことになる。最終日、一部の議員に小池都知事の応援が入ったことによる効果はどのようなものになるだろうか。

 前回は公明党とたもとを分かち、無党派層の票を都民ファーストの会に奪われた自民党だが、今回の選挙では多くの選挙区で優位に立つ。議席は以前の水準には劣るものの、おちゃ予測では51議席と、第一党へ復活するのは確実な情勢だといえる。公明党は、コロナ禍の選挙戦にやや苦戦気味で、守ってきた全員当選はいささか厳しい。当落線上にある選挙区を重点選挙区と位置付け、テコ入れを図ったが、おちゃ予測では21議席と、2人が落選する予想となっている。

 前回は民進党や都民ファに分かれて戦った立憲民主党は、国政野党第一党の勢いもあり、大きく議席を増やす見通しだ。昨年の都議補選ー北区では、立憲民主党の候補が次点になるなど、民進党時代よりその勢いを加速させている。おちゃ予測では、20議席と、3倍近くになり、自公に次ぐ第3勢力に躍進する可能性がある。共産党は、立憲と棲み分けを図り、野党共闘を実現させた。おちゃ予測では17議席、現状維持の見通しだ。その他、左派系の生活者ネットも2議席を獲得する見込みだ。

 13人を擁立し、勢力拡大を図る日本維新の会だが、東京では厳しい情勢だ。元都議の地盤である大田区、北区に加え、練馬区では議席獲得の公算があるが、いずれも当落線上に位置しており、最悪0議席になる可能性がある。最終日には、全国的な知名度がある吉村洋文大阪府知事が応援演説に駆け付けた。また、昨年の都議補選ー大田区では、維新の候補者が2位になっている。おちゃ予測では2議席。吉村効果と補選での結果がどのような力を発揮するのか注目だ。

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 国民民主党やれいわ新選組も候補者を擁立したが、議席獲得は厳しい。また、嵐の党などの諸派政党が「諸派等構想」を掲げ、葛飾区などに多くのミニ政党候補者を擁立したが、こちらも勝算は見込めなさそうだ。

衆院選の前哨戦ー都民ファ大敗で小池都知事はどうなるか

 今回の選挙で、議会多数派を担ってきた知事与党である都民ファーストの会は大敗を喫す見通しだ。

 都民ファが大敗すれば、小池都知事の影響力が低下することは必至だろう。小池都知事は突如「静養」に入るなど、都議選には極力関わらないようにしていた。また、古くからの師である自民党の二階幹事長に取り入っている様子も見られることから、一部では、自民党に復党し、国会議員として返り咲こうとしているという報道もある。小池都知事は都民ファを見捨てるのか、独自路線を貫くのか。その答えは遠くないうちに出ることになるだろう。

最後に

 7月4日は東京都議選。近年、投票率が低調にあるが、一人でも多くの人が投票に行くことで、東京の未来は変わる。どうか東京都民の皆さんは、都議選の投票に足を運んでいただきたい。

 首都・東京の動きは、日本全体にも大きな影響を及ぼす。近いうちに行われる総選挙も含め、この数カ月で日本のかたちが大きく変わる可能性もある。自分たちの生活に密接にかかわっている政治をより良いものにするために、今後とも政治の動きを注視する必要がありそうだ。