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沖縄県名護市・南城市長選挙で右派が勝利 いま、沖縄で起きている「異変」とは

1月23日に、沖縄県名護市と南城市の市長選挙で投票が行われ、即日開票の結果、名護市では現職の渡具知武豊氏(60)、南城市では前職の古謝影春氏(66)がそれぞれ当選を果たした。

2人はいずれも自民党・公明党が推薦する右派系候補であるが、なぜ左派系が強い沖縄で続々と右派の勝利が続いたのだろうか。いま沖縄で起きている「異変」に迫っていきたい。

米軍基地移設が焦点となった名護市

名護市長選挙では、政府・与党が推した現職で無所属の渡具知武豊氏(60)=自民・公明推薦=が、沖縄県の玉城知事が支援した前市議の新人、岸本洋平氏(49)=立憲・共産・れいわ・社民推薦=を下し、再選を果たした。

渡具知氏は名護市議会議員を務めたのち、前回18年1月の市長選挙で当時の現職を下し初当選。今回の選挙では、左派系候補が「米軍基地の名護市辺野古移設反対」を主張する中、渡具知氏は給食費や子どもの医療費無償化などといった実績の強調に終始した。

当 渡具知武豊 無現②(自民・公明推薦)        市長、元名護市議会議員 19,524
  岸本 洋平 無新 (立憲・共産・れいわ・社民推薦) 元名護市議会議員    14,439

現職と前職が激しく争った南城市

南城市長選挙では、3期務めた前職で無所属の古謝景春氏(66)=自民・公明推薦=が、再選を目指した現職で無所属の瑞慶覧長敏氏(63)=立憲・共産・社民・れいわ推薦=をおよそ1700票差で破り、市長に返り咲いた。

古謝氏は、合併前の知念村長を務めたのち、合併に伴って誕生した南城市の市長選挙に立候補。他2候補を退け初当選を果たし3期務めたが、2018年の南城市長選挙においてわずか65票差で瑞慶覧氏に敗れた。古謝氏は南城市誕生から3期12年のまちづくりの実績を強調し、福祉関連複合施設の整備などを掲げ選挙戦を戦った。

当 古謝 景春 無前③(自民・公明推薦)        前市長、元知念村長 13,028
  瑞慶覧長敏 無現①(立憲・共産・れいわ・社民推薦) 市長、元衆院議員  11,339

「左派王国」沖縄で起こっている異変とは

この記事では、便宜上 ・右派系(チーム沖縄所属首長) ・左派系(オール沖縄所属首長) に分類しております。

沖縄県は1972年アメリカから返還され、今年で50年の節目となる。今年は、沖縄にとっては「選挙イヤー」であり、9月には沖縄県知事選挙が控える。

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そんな沖縄は、全国で唯一共産党や社民党の候補が当選するなど、左派の牙城と呼んで差し支えない。

県知事は、50年間で13回の選挙があり、左派が7回、右派が6回沖縄県知事に就任している。2018年・14年はいずれも左派が勝利している。

しかし、前哨戦の幕開けとなった名護市長選・南城市長選で出鼻をくじかれた様相だ。知事選挙までは沖縄市、また知事選挙と同日で宜野湾市でそれぞれ市長選挙が行われる。沖縄市・宜野湾市はいずれも長い間右派系の市長であり、左派が市長の座を奪還することは厳しいといえるだろう。

こうしてみると、沖縄県内でも左派系の首長は意外と少ない。

糸満市では、2020年6月に無所属の候補が自民・公明の現職を破った。また、宮古島市では、2021年1月に4期務めた自民・公明推薦の現職(当時)が左派系の新人に敗れた。

しかしこれらは決して「左派」が影響力を強めたものとはいえなそうである。自民・公明推薦の現職に対抗した糸満市の無所属候補は左派系政党の推薦を受けておらず、宮古島市は現職の多選批判の高まりから左派系候補が当選するに至った。

一方、名護市や宜野湾市など、米軍基地問題が関係する市では右派系の市長となっている。

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7月の参院選では、左派系無所属の伊波洋一参院議員(70)が改選となる。伊波氏は16年の参院選で当時の自民党現職を大差で下し勝利した。19年には諸派(沖縄社会大衆党=左派系)の候補が当選するなど、沖縄全県でみると左派系が強い影響力を保ってきた。

しかし、今年最初の2選挙において左派系候補が敗したことが、参院選に響く可能性がある。

沖縄県選挙管理委員会データより筆者作成

19年参院選と、21年衆院選での比例得票率を比較した。公明・立憲・維新など、かつて沖縄では弱小だった勢力が得票率を伸ばしているのに対し、共産・社民などは得票率を減らし、特に社民は半減となっている。

自民・公明の連携に暗雲が立ち始めている中、左派系が野党共闘できるかが勝利への鍵となる。日本維新の会の動向も気になるところだ。

9月には沖縄県知事選挙が行われる。現職の玉城知事が再選を目指すが、そこに右派の候補が立ちはだかる。自公や維新などが支持を増やしている中、玉城知事、それを支持する「オール沖縄」は求心力を維持することが出来るのだろうか。

今後の動きに注目が集まる。

参考資料

第49回衆議院議員総選挙及び第25回最高裁判所裁判官国民審査|沖縄県

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