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木下都議、ついに辞職— 無駄になった4か月間、議員の解職制度と報酬制度の欠陥

都議を辞職した木下富美子氏

無免許運転を繰り返したとして、道路交通法違反の罪で在宅起訴された木下富美子(きのしたふみこ)東京都議が22日、都議を辞職した。木下都議は、選挙期間中に無免許運転で人身事故を起こしただけでなく、その事実を隠していたことが問題となった。

問題となった事後処理、議会の長期欠席

木下都議に対しては多くの批判や非難の声が寄せられたものの、法的拘束力を持って辞職させられることはなかった。どうしてこのような事態になったのか。

現状で、地方議会議員(都道府県議会議員・市区町村議会議員)を辞職させる方法として、議員による「除名」、住民による「リコール」があげられる。

除名は、議員の3分の2以上が出席した本会議で、4分の3以上の賛成をもって成立する。しかしこの懲罰は、地方自治法並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対して行うものであり、今回のような院外での違法行為や議会の長期欠席を理由とするのは難しい。

リコールは、有権者の3分の1以上の署名で議員の解職に関する住民投票を行うことができる。住民投票で解職賛成派が過半数を占めればその議員は自動的に失職となる。ただし、リコールは選挙から1年が経たないと実施することはできない。

このように、現状で議員を辞職させるには高いハードルが付きまとう。不祥事を起こし、議会を長期欠席した議員に対しても報酬が支払われる現状の仕組みは大きな欠陥である。

木下都議は11月上旬ごろまで4か月間にわたり議会を無断欠席したにもかかわらず、報酬を受け取っていた。後に、全額寄付したと釈明したものの、今後議員としての職責を果たさないまま報酬のみを受け取るといったケースが起こるかもしれない。

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大阪府議会では長期欠席議員に対する報酬の支給停止条例案を提出へ

木下都議の長期欠席が問題となる中、西の大阪府議会では動きがあった。

大阪府議会

大阪府議会(定数88)の大阪維新の会府議団は22日、不祥事などで長期欠席する府議の報酬を削減する条例案を年内に提出する方針を固めた。定例会に一度も出席しなかった場合を長期欠席とみなし、その間の報酬を支給しないという中身。維新は府議会で過半数となる47議席を占めており、可決する見通しだ。

朝日新聞デジタルより

現在は秋田、群馬、新潟、鳥取、福岡、大分、鹿児島の7県がすでに条例で定めている。東京ではこの条例が定められていなかったがために、議会を長期欠席していた木下都議に報酬が支給される事態を起こしてしまった。

首長や議員に支払われる報酬は、国民の血税あってのものである。無駄に使われることのないように、今後も様々な事態を想定した法律・条例の制定が必要になってくるだろう。

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