おとな研究所は新しくなりました!

【編集部】投票日まであとわずか 参院選公約を徹底解説!「共産・れいわ」

第26回参議院議員選挙が6月22日に公示され、7月10日に投票が行われる。おとな研究所では、各党の公約をシリーズでお届けする。本記事では、日本共産党・れいわ新選組の選挙公約について解説する。有権者の皆さんの政党選択の助けになれば幸いである。

 第26回参議院議員選挙が6月22日に公示され、7月10日に投票が行われる。おとな研究所では、各党の公約をシリーズでお届けする。本記事では、日本共産党・れいわ新選組の選挙公約について解説する。有権者の皆さんの政党選択の助けになれば幸いである。

日本共産党

 まず、日本共産党の選挙公約を見ていこう。日本共産党は「平和でも、くらしでも、希望がもてる日本に」をスローガンに、34名が選挙区で出馬する。

日本共産党は主に3つの軸を掲げている。

  1. 「力対力」でなく、「外交による平和を」ーー憲法9条をいかす平和の外交で、東アジアと世界の平和をつくろう
  2. 物価高騰から生活を守るーー弱肉強食の新自由主義を転換して「やさしく強い経済」にーー日本共産党の五つの提案
  3. 日本共産党は、「国民が主人公」の民主主義日本をめざします

それぞれの中の項目と、目玉政策について取り上げる。

「力対力」でなく、「外交による平和を」

 第一に、ロシアのウクライナ侵攻や軍事費の増強などのトピックで注目される外交問題についてである。

  • 憲法9条改憲反対、安保法制の廃止
  • 軍事費の2倍化反対
  • 東アジアにおける軍拡競争を軍縮へと転換
  • ロシアに対し、侵略をやめて国連憲章を守るよう呼びかけ
  • 核兵器禁止条約への参加、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加
  • 普天間基地の無条件撤去
  • 日米地位協定の抜本的な改訂

 などが公約の中身として挙げられる。日本共産党は一貫して外交における力の行使を否定し、「外交による平和」を重視している。また、「日米同盟による抑止力の強化」に反対の意を示し、日米安保条約を解消することを目指している点は特異だろう。

<スポンサー>

物価高騰から生活を守る

 続いて、最近の物価高騰やコロナ禍による経済危機、長く続いている賃金の停滞など経済分野の政策である。

  1. 消費税を5%に緊急減税し、インボイス制度を中止
  2. 大企業の内部留保を賃上げに用い、中小企業支援とセットで最低賃金を時給1500円に
  3. 年金削減を中止し、給食費を無償化ーー社会保障と教育を拡充
  4. 気候危機の打開ーー原発即時ゼロ、石炭火力からの計画的撤退とエネルギー自給率の向上
  5. ジェンダー平等をあらゆる分野でつらぬく

 1-3番が直接的な経済対策であるのに対し、4,5番では気候危機対策とジェンダー平等の実現が経済政策の一部として述べられていることが印象的だ。モラルや人権の問題として後回しにされがちなこれらの問題を、経済に直結する問題として早急に改善すべきだと捉えていると受け止められる。家計と社会保障を下支えする政策には厚みがあるが、新型コロナウイルス感染症の流行で停滞した経済に対する劇的な施策はみられないようである。

 「国民が主人公」の民主主義日本をめざす

  1. 異常なアメリカいいなり政治を正す
  2. 財界・大企業中心の政治を正し、「ルールある経済社会」をつくる
  3. 国民多数の合意、統一戦線の力で社会の変革をすすめる

これら3つの指針は日本の政治のあり方について述べたものだ。公式の選挙公約を読むと、この辺りで日本共産党の成り立ちに立脚した言葉遣いが表れているように思われる。

(参考:日本共産党 2022 参院選特設サイト)

https://www.jcp.or.jp

(参考:2022年参議院選挙政策 テキスト版)

https://www.jcp.or.jp/web_policy/2022/06/202207-saninseisaku.html

<スポンサー>

(参考:2022年参議院選挙政策 PDF版)

https://www.jcp.or.jp/web_download/2022/06/2022san-seisaku-panf.pdf

れいわ新選組

 続いて、れいわ新選組の公約を見ていく。れいわ新選組は、『「日本を守る」とは「あなたを守る」ことから始まる。』をスローガンに、選挙区からは5人が出馬する。参議院選挙の緊急政策として14が掲げられているので、以下に列挙する。

  1. 消費税廃止、インボイス制度廃止
  2. ガソリン税ゼロ
  3. 季節ごとに10万円給付
  4. 社会保険料の引き下げによる負担の軽減
  5. 大学院まで教育無償化、奨学金をチャラに
  6. 児童手当を毎月3万円に
  7. 住まいは権利だとして家賃補助
  8. 介護・保育の月給を10万円アップ
  9. 一次産業従事者への直接支援・食の安全
  10. 災害に強いインフラの充実
  11. 原発を脱し、グリーン・ニューディール政策を進める
  12. 全国一律で最低賃金を1500円に
  13. コロナを含む感染症対策の徹底
  14. 専守防衛、徹底した平和外交

全体として経済政策の充実度に目を見張る。消費税の廃止を以前から掲げていたのがれいわ新選組の特徴だったが、参院選公約にも有権者の家計を一番に考える姿勢が表れていると言えるだろう。

いくつか政策を抜粋して詳細に解説する。

1.消費税の廃止

コロナ禍からの打客やウクライナ情勢によって輸入物価が上がっていることを背景に、消費税を廃止するという。また、消費税収の約73%が法人税の減税の穴埋めに使われているとして、社会保障の削減を一切せずに消費税を廃止すると述べている。

3.季節ごとの10万円給付

「悪い物価上昇」が収まるまで、春夏秋冬の季節ごとに10万円の一律現金給付を行う、というのがこの政策である。2020年に現与党政府によって行われた10万円給付がどれほど経済の改善に寄与したのか定かではないが、れいわ新選組は、この給付は消費によって市場が動くことを期待したものではなく、いざという時のために貯めておくことも検討されるものだとする。

<スポンサー>

4.社会保険料の引き下げによる負担軽減

社会保険料の負担が「第二の税金」化しているとして、社会保険料を引き下げることを公約に挙げている。これは決して年金支給の減額を意味するわけではなく、社会保険料の国庫補助による負担を増やすことで、個人の負担を軽減するという。また、税率と同様に、所得に応じた負担の制度を採用することも検討している。

11.脱原発!グリーン・ニューディール政策

少し毛色が変わり、環境政策に移る。原発は即禁止し、廃炉を公共事業とする。つなぎのエネルギー源の主力はガス火力として、自然エネルギー100%の達成を目指す。という2点がグリーン・ニューディール政策の中身である。毎年5兆円を支出し、民間需要の15兆円と併せて10年間で200兆円をエネルギー政策に投資するという大胆さである。

14.専守防衛、徹底した平和外交 核廃絶の先頭に立つ

 ロシアによるウクライナ侵略を「核抑止力」が破綻したことによるものだとして、日本が核兵器禁止条約を直ちに批准することを公約としている。徹底した平和外交により、北東アジアの平和と安定に寄与することが日本の役目だという文言には、外交、軍備へのれいわ新選組の基本姿勢が伺える。

 いくつかの政策を抜粋して紹介したが、参院選の緊急政策として述べられている14以外の政策については、2021年に発表されている衆院選マニフェスト「れいわニューディール」を参照してほしい。

附属文書(れいわ新選組 2021年 衆議院選挙 マニフェスト「れいわニューディール」)

(参考:れいわ新選組 参議院選挙 2022 緊急政策)

 以上、日本共産党とれいわ新選組の参院選公約を解説した。当研究所の他の政党公約解説記事も含め、ぜひ投票の参考にしてほしい。

<スポンサー>