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東京・東久留米市長選 都民ファーストと国民民主党の連携など、今後の都政・国政を占う注目の選挙に

 東久留米市長選挙が、19日、スタートした。投開票日は12月26日であり、年内最後の選挙となる。現職市長は不出馬となり、新人3候補が立候補することとなった。

 市長選に立候補したのは、届け出順に元都議会議員の細谷祥子氏(国民民主党・都民ファーストの会推薦)、冨田竜馬氏(自民党・公明党推薦)、篠原重信氏(共産党・社民党推薦)の3名である。野党第一党の立憲民主党は、特定の候補への推薦を行っておらず、事実上の不戦敗の状態となっている。

 今回の都知事選挙は、国政与党の自民党対都政与党の都民ファーストの会という構図が明確になっている。したがって、事実上細谷氏と富田氏の一騎打ちである。

小池都知事や都政与党「都民ファースト」のコロナ対策への評価が問われる

 小池百合子東京都知事は、告示日の19日、細谷祥子候補の応援演説に駆け付けた。都議選の際には、体調の悪化もあり、応援演説を行わず最終日に各候補を激励しに訪問するにとどめた小池都知事であったが、今回は初日から応援に入るほどの熱の入れようである。

 そして、演説の中で、小池都知事は、「(昔の演説で)皆さんに緑のものをもってきてくださいねと言って、今日はお持ちいただいたのかな。私は練馬のブロッコリーを持ってきました。」と、自身や都民ファーストの会のイメージカラーでもある緑をアピール。そこから、「東久留米の農業を守っていく、そのことが細谷祥子さんの市長選に向けた政策でもある」と、農業の振興も図るべきだと訴えた。

 小池都知事は、この他にも、新型コロナウイルス感染対策としてのブースター接種の前倒しを提案し、感染対策を兼ねた働き方改革として、テレワーク用のサテライトオフィスを東久留米市内に設置したことや、細谷祥子氏が当選すれば初の女性市長となることを訴えた。多くの聴衆が小池都知事と細谷氏の演説に耳を傾け、何度も拍手が鳴った。

参考:【令和3年12月19日】小池百合子 東京都知事 応援演説(youtubeより)

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 そのような細谷氏を迎え撃つのが、国政与党系の富田竜馬氏である。小池都知事という特大ゲストの応援をもらった細谷氏に、富田氏も負けていない。富田氏の第一声には、元西武ライオンズ監督の井原春樹さんがかけつけた。他にも、自民党の片山さつき議員などが応援に入っている。

 富田氏は、「子育て支援の拡充」などを重点政策として訴えている。

 ところが、細谷氏と富田氏という主要2候補は、どちらもブースター接種の前倒しを主要なコロナ対策として掲げる等、決定的な政策的な違いは無く、実質的に都民ファーストの会のコロナ対策への信任や、国政与党系市長の市政の是非等が争点となると考えられる。

選挙に間に合う形で、国民民主党・都民ファーストの連携がスタート 参院選への試金石

 次に、この選挙は都政だけにとどまるものではないといえるだろう。今回の選挙から、都民ファーストの会は、国政進出も視野に入れた行動をスタートさせている。

 都民ファーストの会は、市長選が始まる直前の17日、国民民主党と合同で勉強会を開いた。過去にも両党は水面下で連携に向けた接触があり、千代田区長選挙では国民民主党都連が都民ファーストの会公認の樋口貴顕氏(現区長)を推薦するなど、連携の兆しは見えていた。衆院選前にも、国民民主党と、都民ファ―スト系の国政新党「ファーストの会」との連携が取りざたされた。

 今回の動きは、これらの延長線上にあるものと考えられるが、大々的にメディアやSNSでアピールしているという点で、大きな違いがあると言えよう。

 小池都知事の側近の一人として知られる尾島紘平都議は、玉木雄一郎国民民主党代表とのツーショットまで上げている。他の都民ファースト都議も、ツイッターで一斉に、勉強会の様子を有権者に紹介していた。

 衆院選は、野党第一党の立憲民主党が共産党との一体化を進め、麻生太郎前副総理から「立憲共産党」と揶揄されるほどであった。国民民主党は限られた選挙区にしか候補者を擁立できず、ファーストの会も候補者擁立を断念したため、首都東京では、中道票が漂流し「中道票の受け皿の不在」が深刻な問題となった。

 今回の連携は、参院選に向けて新たな受け皿を作る一歩となるだろうか。国民民主党と都民ファーストの会は、政策や理念も近く、いわゆる「野党共闘」のような「野合」「同床異夢」とはならないだろう。もし両党の連携が功を奏し、参院選で中道保守の枠組みを作ることができれば、有権者も、政治へのワクワク感や期待感を取り戻すことができるかもしれない。

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