【検証・新聞記事】辻元清美氏(立憲)の参院選出馬を「有権者軽視」と批判した産経新聞記事は、適切か

産経新聞による辻元清美氏に対する批判の内容

 立憲民主党の辻元清美元国対委員長が、参院選に比例代表で出馬することが発表された。今年1月31日に突然発表したことで、政界では大きな話題となった。六曜で「仏滅」に当たる日にあえて発表したことに疑問は残るものの、1月中に出馬発表したい理由があったのだろう。

参考:立憲民主党・辻元清美元議員 まさかの「仏滅」に参院選比例で出馬表明

 さて、辻元氏は、昨年10月の衆院選で小選挙区で惜敗し、比例代表でも復活できず完全に落選したため、産経新聞は、以下の通り、辻元氏を批判している。産経新聞の主張を、一部引用したい。

 辻元氏は大阪10区で敗れたのみならず、重複立候補した比例代表の近畿ブロックでも復活できなかった。多数の有権者が示した判断は、辻元氏の国政参画に「ノー」を突き付けたに等しい。それからわずか3カ月しかたっていない。今回の参院選出馬表明は有権者の意思を踏みにじるものではないか。

立民・辻元氏、参院選比例出馬に透ける有権者軽視

 産経新聞のロジックはこうだ。すなわち、①辻元氏は大阪10区で敗れ、比例復活もできなかった。②つまり、有権者は辻元氏の国政参画にノーを突きつけた。③だから、衆院選から3ヶ月後の立候補表明は、有権者の意思を踏みにじるものだ、というものである。

立憲民主党以外の政党も、衆院選・首長選挙の落選者を参院選に出馬させている

 以下では、上記の産経の主張のうち、②、③の点が妥当であるものかについて、検証を行っていく。なお、①については、公正に行われた選挙の結果であるから、この点について疑義は生じないだろう。

選挙制度が違えば、結果は変わり得る(②の点について)

 確かに、辻元清美氏が衆議院議員として、一度有権者に「ノー」を突き付けられたことは、否定できないだろう。それは、ただし、衆院選で辻元氏に投票するかしないかの判断をすることができたのは、大阪10区の有権者だけである。すなわち、辻元氏にノーを突きつけたのは、大阪10区の有権者だけである。日本全国の有権者の1%にも満たない有権者だけの判断で、選挙制度が全く異なる参院選での再チャレンジが閉ざされるべきではない。

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 辻元氏が出馬予定の全国比例では、全国のすべての有権者から、もう一度判断を得ることができる。選挙制度が異なるので、昨年の落選にもかかわらず、辻元氏が当選することも十分にありうるだろう。このように考えると、「有権者が国政参画にノーを突きつけた」という言説が当てはまるのは、あくまで大阪10区に過ぎず、「全国の有権者」を対象として考えれば、産経の②の主張については、ミスリードであろう。

他党にもたくさんいる「参院選での再チャレンジ」(③の点について)

 確かに、立候補の理由やその判断がもたらした影響について、批判されることはありうるだろう。実際に、産経新聞は、辻元氏が立候補を決断する際に、衆院選で立憲が議席を減らした理由を反省したのか、厳しく指摘している。しかし、辻元氏が立候補したこと自体が全否定されるべきではない。立候補の自由は誰にでも保障されるべきだからだ。したがって、辻元氏の立候補が、直ちに有権者軽視になるとは言い難い。もし仮に、辻元氏が有権者を軽視しているのであれば、全国の有権者が、参院選で辻元氏を落選させれば良い話である。

 また、衆院選やその他の選挙で落選した候補であっても、擁立している政党は多い。2月10日現在でも、以下の表の通りの候補者が、衆院選や市長選で落選したにもかかわらず、参院選の候補として公認されている。立憲民主党だけではないし、むしろ他の政党の方が「再チャレンジ組」が多い。特に、日本維新の会に再チャレンジ組が多いが、産経新聞がこれまでに維新を批判した記事は全くない。

主な2021年衆院選等落選後の立候補者

 維新を批判しろといっているのではない。辻元氏に対し批判することと、それ以外の政党の再チャレンジ候補を批判しないことは、二重基準であり、筋が通らないということだ。

 産経新聞は、保守的な論調の新聞社である。辻元氏と同様、衆院選の捲土重来を期す参院選候補予定者が立憲以外にもいるのに、辻元氏と同等に批判しないのであれば、左派系政治家である辻元氏を「批判するための批判」だと、世間から評価されかねない。産経新聞は、なぜ辻元氏を有権者軽視だと批判したのか、また、他の「再チャレンジ」候補についてどのように考えるのか、読者に説明すべきである。

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