おとな研究所は、ヤングケアラーや内密出産問題など、子ども子育て政策に力を入れている国民民主党の伊藤孝恵参議院議員にお話しを伺った。
今回はその後編となる。
前編はコチラ。
国民民主党代表選出馬について

伊藤議員は国民民主党の代表選に出られましたが、選挙をする上で自民党総裁選のような駆け引きはありましたか。
国民民主党の駆け引きの代表戦の裏話で言うと、みなさんお気づきかと思いますけども、私なんぞが出る予定はありませんでした。
私は役員室長で玉木代表を一番近くで支える人間です。9月15日に国民民主党が立ち上がった時に、私たちが何をみなさんにお約束したかと言うと、今は国民民主党の代表を玉木代表で続投しますけれども、必ず年内にフルスペックの代表選をするということです。
どこかの党みたいに代表選をやらないとか、どこかの党みたいに党員・サポーターは除いて代表選をやるとかではなくて、フルスペックの代表選をやるので、今回の結党に当たり代表は続投します。なので、みなさんどうか党員・サポータ―になってくださいと広報していたのが私です。
それなのに、代表選になったらみんな出ませんでした。誰か対立候補がいないと選挙は成立しないんです。民主主義は選挙がないとその正当性が担保されないのです。
そのため、いろいろな人に「出てください」とお願いに行きましたがだめでした。だけどやっぱり、玉木さんに負けてもいいというプライドのない者や、抱えている組織とかがない者を探したときに、出馬できるのは私しかいないなと思いました。
もちろん誰か手を挙げてくれる人がいればすぐに手を下す準備はしていましたが、国民民主党という政党の正当なる代表を選ぶためにこの身を使ったというのが全てです。
国民民主党と他党の子育て政策の違いについて
選挙を見据えた子ども政策の議論の仕方っていうところでいうと、国民民主党と他党、あるいは政治家と国民民主党の違いみたいなのは選挙で打ち出されていく部分なのかなと思うのですが、そのあたりはどう思いますか。
正直、全党の子ども子育て政策を取り寄せて1個1個線を引いていって気づいたことは、みんな政策の方向性は変わらないということです。
先ほど私が言った、政策哲学の線引きは必要ないというところをもってすると、所得制限とか外国人排除とか、ほとんど変わりがない中で、殊更に違いを花火のように上げてコンフリクト材料を持ち込むというのは、私の中にイメージありませんでした。
だとしたら、ここをグッと我慢してでも、これは通してという交渉の仕方があります。企画が通らない時は2つしか理由がなくて、企画の筋が悪いか、企画の通し方の筋が悪いかの2つしかありません。選挙の話はほとんどしないけど、政策の話ばかりして、叩いて叩いてブラッシュアップした政策した政策を通す通し方の筋を開通しようとしたときに、23人しかいない野党というのが、どういうふうに政策を実現していくのかというのは少し工夫がいるんです。
先ほど、ヤングケアラー支援法を必ず成立の道筋をつけて任期を全うするという話をしたと思うんですけど、それだって3党が並ぶことについて、「ほえないのは番犬じゃない」、「反対しない野党は野党ではない」という罵詈雑言や嫌がらせ、脅迫もあります。
でも、これでヤングケアラー支援ができたら何人の子どもが幸せにできるのかと心の底から思うんです。だから、私たちはしんどいけれどもそれを選んだし、そういう新しい野党像と代表が言うたびに、何が新しいんだよとか、昔から言う是々非々と言うやつだろというものかと思うかもしれません。
でも、私たちは株式会社日本の国民民主党グループに働いていて、この日本という国をよくするために、私たちのアイディアを通すんだという、ここに徹しているこの野党っていうのを選んでほしいと思っています。
参院選というのは残念ながら政権選択選挙ではなくて、248人の半分しか入れ替わらない選挙です。だとしたら与党が嫌だとか、今の与党じゃだめだと思うのなら、どういう野党ならオルタナティブになり得ますかという選挙というのをもうちょっと理解をしてもらって、そこで私たちのような政策オタクかつ、その政策を必ず通すんだという歯を食いしばって歯茎から血が出るが出るほど、トリガーだって、ヤングケアラーだって、こだわっている私たちを選んでほしいです。
ちょっと説明に時間がかかるから厳しいかもしれませんが、そこは伝えるのを諦めて、花火を挙げて、これに飛びついてくださいっていう戦い方は私たちはきっと誰もできないんです。受かりたかったら、みんな大きい政党を選んでいます。そうじゃないという覚悟を決めた人しかいないから。
見てくださいよ。みんな落選しそうなのに、なんてすがすがしい笑顔をしているのを。まあ一人も落とさないけどね。
伊藤孝恵議員の目指す社会像

今後議員生活ないしは政治家として政治について発信する、そして目指したい社会像なり政策なりがあればお聞かせください。
よく(議員)バッジがなければただの人とか、落選したらみじめだとか、どこかみんな思っています。私はあれを変えたいなと思っていて、何か社会をよく変えたいと思う人たちは、何をどの立場であってもそれに邁進している人だと思います。( バッジが付いていないとできないという人は、たぶんバッジがついていてもできません。
だから、私はどんな立場になろうとも、この中の愛知の人たちに見せてもらって、法律ってこうできているのかとか、統治機構ってこういうトラップがあるのねっているのがよくよくわかって、かつ超党派の仲間が異様に多く、携帯電話に710人いる国会議員のうちの沢山の方の電話番号を得ているので、何か真実を伝える仕事にも就けるだろうし、何か提言をする仕事にも就けるだろうと思っています。
やっぱり回転ドアのように働く場所と政治家というのが、何かみんな違う者と思っていませんか。全然違うんです。すごくシームレスで行き来をしてよくて、行き来をしたほうが社会は良くなるはずでというのを発信してきた私からすると、じゃあもし落選しましたとか、もし政治家でなくなりましたと言っても、みんながそのみじめとかただの人になったというようなものをはるかに超える素敵な生き方をして見せるわと思っています。そして、どの仕事しても2人の子どもは立派に育ててみせます。
ですが、玉木雄一郎という政治家とか、国民民主党という良い政党をなくしてしまってはいけないので、ちゃんと勝ち上がれるように頑張っていきます。
これからの若者にひとこと
最後に一つ、学生や若者たちに何かメッセージがあればお伺いしたいです。
子どもたちにメッセージをと言われると、いつもお願いしているのが、今はいっぱい失敗して、いっぱい恋をして、いっぱい心を揺さぶられる体験をしてほしいと思っています。
大人になってからコミュニケーション能力が大事だとみんな言いますが、コミュニケーション能力ってものすごく簡単な数式で、感じる心・震える心×伝える技術なんです。
後者はいつでも身に着けることができるけど、震える心というのは身に着けることはできないから、今はそれを養ってほしいと思うし、それはどうやったら養えるかと言えば、いろんな人に会って、いろんな経験を得るしかありません。豊かな人生と言うのは出会いと、経験でしかないと究極思っているので、そういう時間を得てほしいなと思います。
そして、日本の若者は自分が声を出したら社会を変えられると思う割合が著しく低いです。それは何故だろうと思ったときに、例えば日本版タイトルナインという法律を山尾さんの置き土産で今書いている最中なのですが、それは何かというと、例えばブラック校則や恋愛禁止、下着の色は白など、理由がわからないものがいっぱいあるのに、声を上げることもなく、変えることもなく、大人から押し付けられたものを守って、守らないと処されるという、そんな思春期を過ごして、なぜ大人になったら声を上げたら変えられる、社会を変えられると思うんだと。変えられるわけがありません。
そういった成功体験を積んでいないというのが問題だと思っています。最高の主権者教育と言うのは、実際に自分で声を出して、仲間を得て、じわじわ変える。その結果変えられたという成功体験だと思うんです。
政治家ってリーダーシップを語ってくださいとよく言われるのですが、凄く伝えたいのがみんなはよくリーダーシップというのをキャプテンシーと勘違いしているということです。キャプテンシーというのは、いわゆる船長さんというのを語源としています。つまり、「私が一番よ」と。「私についてきて」という、ああいう力のことをリーダーシップと言うんです。
一方でリーダーシップというのは、語源はリード(導く力)で、別に一番じゃなくても、別に強くなくてもいい。自分の中になにか課題があったら、ちゃんと言葉にして、それを周りの人に伝えて、周りの人を巻き込んで、半径3メートル以内の人を巻き込んで、自分が正しいと思う方向に導いていく力だから。
そういうリーダーシップを備えたあなたたちになってほしいので、それを備えてもらうための法律を最後に作っていこうと思っています。
伊藤孝恵議員は出馬時の志を政策に換え、実現する力があり、「有言実行」という言葉が最もふさわしい方だと取材を通して感じました。
インタビューにご協力してくださった伊藤孝恵参議院議員、ありがとうございました。
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