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経歴差別?川勝静岡県知事の資質が問われる

経歴差別?川勝静岡県知事の資質が問われる

耳を疑うような川勝知事発言

 前回の記事で、菅首相が日本学術会議の一部会員候補に対し、任命を拒否したことについて書いた。その記事を投稿した7日、耳を疑うような発言が、川勝平太静岡県知事から飛び出した。

質問:政府与党が6人任命を恣意的にはずされたと言われている問題について、長年学問の世界にもおられた知事のご見解如何?

(以下知事発言の下記起こし)
川勝知事:菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見したということではないかと思います。菅義偉さんは秋田に生まれて、小学校中学校高校を出られて、そして東京に行ってですね、働いたけれども、勉強せんといかんということで大学に通われて学位を取られたということですね。その後、政治の道に入って行かれて、しかも時間を無駄にしないようなるべく有権者の人たちとお目にかかっておられる。言い換えますと、学問をされたという人ではないですね、単位を取るために大学を出られたんじゃないかと思います。

 ところで、じゃあ彼の教養はどこで作られたのでしょうか。小学校で学び、中学校で学び、高校で学び、大学でも学ばれた。大学でですね、どの学部にいらしたか知りませんけれども、大学にも教科書はありますが、しかし全国一律の教科書はありません。なぜかというと、大学の学者はですね、教科書を作るんですよ自分で。つまり学問で立つと言うことは、自らの学問を立てるということなんですね。それが日本のたくさんの学者がいらして、その中で共通の認識になっていること。学問は国境を超えますから、世界的にも共通の認識であると言うものをですね、日本では日本で書いているんですよ。それをですね、高校の教科書にし、中学の教科書にし、小学校の教科書にして、それぞれの子どもの発達段階に応じた教科書になっているわけですね。だから、彼の教養を作っているのは、そういう学者の作ったものなんですよ。それをですね、どういう意味か知らないけどやめたということなんです。
(引用終わり)

 筆者自身、最初悪意のあるメディアに切り取られたのではないかと疑い、一時情報に当たってみた。静岡県知事の定例会見は、youtubeを通じて公開されているので、皆さんもぜひご覧になってほしい(約1時間9分後から当該発言が始まる)。

 ところが、実際のところは、切り取りを一切せず文字おこししてみると、一層発言のひどさが際立つ。さらに、メディアが取り上げなかった問題点も浮かび上がってくる。

川勝発言の問題点① 経歴差別

 川勝知事の発言の問題点としては、経歴差別になりうる発言であるという点である。まず、下記起こし1段落目を自然に読めば、「一度社会に出てから大学に入学し卒業した菅首相の教養レベルが露見した」と要約できる。まさに一度社会に出た後に、大学に入ることに問題があるかのような発言である。これは、多様性が尊重されるべき現代において、従来一般的とされてきた「高校卒業後1浪程度までに大学に入学する」というレールから外れた者に対する差別的発言にあたり、許されない発言である。

 川勝知事は言いすぎたけど、そこまで問題にしなくてもと言う人もいるかもしれない。しかし、川勝知事の失言を機会として、国の制度にも問題提起することが必要であると考える。国の就学支援制度にも、3浪以上の人を例外なく対象外としており、「一度社会に出た後に大学に入学する人」に対してあまりにも冷酷であるという問題がある。川勝知事の発言と、今の就学支援制度が重なり合うように見えるのは私だけだろうか。川勝知事の発言を社会全体の問題として考え、川勝知事のような見解が、教育制度に反映されていないか、再検討すべきである。

川勝発言の問題点② 選民意識

 メディアは1点目のみを問題としている論調であるが、こちらの方もより問題である。「彼の教養を作っているのは、そういう学者の作ったものなんですよ」という部分である。菅首相の教養は、いや、それだけでなく世の中のあらゆる人の教養は、自分たち学者が作ったのだと言わんばかりの発言である。これは、自らが知識人・インテリ層として、「たたき上げ」の菅首相に対してすら優位に立っているという、選民意識に他ならない。

 川勝知事は、学者出身の知事である。学者の意見を代弁して、「我々が総理大臣の教養をも形成しているのだ」という自負を述べたのだろう。しかしながら、インテリ層が一般人に対して日々啓蒙しているのだと受け取られず、国民からの反発を招くおそれがある。

川勝知事の過去の失言

 川勝知事が、定例会見をオープンにして、県民や国民に開かれた政治を行おうとしている点は、素直に評価したい。しかし、その割には、以下の通り失言や物議を呼ぶ発言を繰り返している。自ら進んで記録に残す以上は、もう少し言葉遣いに慎重になるべきである。

 令和元年(2019年)12月19日には、予算面で対立していた自民党系の最大会派「自民改革会議」に対し、「ごろつき」「ヤクザの集団」などと暴言を吐いて非難した。https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1912/27/news033.html

 同年11月には、リニアの駅構想に関し三重県知事と批判の応酬となった際に、三重県知事に対し、「うそつきは泥棒の始まり」と非難している。
https://www.sanspo.com/geino/news/20191119/sot19111921010025-n1.html

 このように、失言を繰り返すのであれば、知事としての資質が問われる可能性がある。また、今回のように、川勝知事のようなインテリ層の代表格にある人々が、「たたき上げ」の菅首相を蔑視していると取られる発言を繰り返すと、国民からの反発を招くことは必至である。そうなった場合に、仮に日本学術会議が行政改革の対象に含められたとしても、世論が菅首相を後押しするだろう。こうなった場合に困るのは、日本学術会議で予算配分に強力な影響力を行使している主要な学者である。「口は災いのもと」とならないように、気を付けていただきたいものだ。

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