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【結局民主党!?】政党名略称の同一問題、その弊害とは

先日、このようなニュースがインターネット上を中心に話題となった。

分党と結党を経て新たに誕生した立憲民主党と国民民主党はそれぞれ、公職選挙法に基づく衆院選比例代表での略称を「民主党」として届け出た。総務省が発表した。公選法では複数の政党が同じ略称を使うことを認めている。次期衆院選で投票用紙に「民主党」と書かれた場合は、それぞれの得票割合に応じて票を割り振る「案分」になる。

https://mainichi.jp/articles/20200922/ddm/005/010/078000c

立憲民主党と国民民主党が合流し新たに「立憲民主党」が結党され、その不参加組が「国民民主党」を設立しただけでも訳わからない話である。また先日の首班指名選挙では両党が共に立憲民主党の枝野代表に投票、さらに政党名の略称をどちらも「民主党」になることから、2党の違いがますます判別できなくなる。皮肉にも、もう一度合流協議をやるべきだと言いたくなる。

私の主観は横に置き、本題に入っていく。今回のテーマは「政党の同一略称」について。冒頭で引用した記事通りに政党名の略称は公職選挙法上では同一でも認可される。しかし、これでは国政選挙などにおいての弊害が生じてまう。本日はそのことについて順に解説していく。

まずはそもそも政党名やその略称のルールはどのような取り決めがあるのかについて見ていきたいと思う。

政党名略称のルールは

「政党」格を付与する法律は4種類(公職選挙法、政党助成法、政治資金規正法、政党法人格付与法)あり、その中でも名称略称等の規定について詳細に明記されていることで有名なのは公職選挙法である。

公職選挙法及び政府解釈では以下の通りとなる

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・すでに国政政党が使用している政党名・略称は新たに「政治団体」が届け出ることはできない。

・ただし政党要件を満たすならば(直近の国政選挙において得票率2%以上もしくは国会議員が5人以上在籍)は既に存在する同一略称の届け出は禁止されていない。

禁止されていない=認可されるという解釈により、今回のような「民主党」同一略称問題が生じたのだ。

実はこの同一略称については2010年にも立ち上がれ日本と新党日本の間(略称:日本)でも生じ当時問題となっていた。

(略称使用については、中央選管が受理する必要があるが、政治活動の自由などの観点において特別の法令に規定される場合を除き原則受理せざるを得ない事になっている)

同一略称による弊害は

公職選挙法に基づき届け出を行う「略称」については、国政選挙の比例代表選挙において主に用いられる。中でも最大の弊害はこの選挙時においてであろう。

例えば次の衆院選においてこのようなケースが考えられる。

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・立憲民主党(略・民主党) 九百万票

・国民民主党(略・民主党) 百万票

・「民主党」百万票

となった場合、「民主党」票は案分(得票比率により分配)されることになる。このケースでは、立憲得票数:国民得票数=9:1となるために、「民主党票」の9割(90万票)が立憲へ、1割(10万票)が国民へ分配されることになるのだ。

有権者に混乱や誤解を生みかねない行為であるが、現行法では認可されている為に明らかに法整備の不備と言わざるを得ない。

公職選挙法にはこの問題だけではなく、時代遅れかつ意味の分からない規定が多々存在する為、抜本的な改正が求められるだろう。政治不信・無党派層の増加、選挙への無関心等。面倒かつ分かりずらい現行の規定も少なからず影響しているのだろうか。

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