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大阪の成長を止めたのは誰か

大阪ダブル選挙、大阪維新圧勝! | 株式会社YSホーム

大阪は、戦前「大大阪」や、「東洋のマンチェスター」などと呼ばれ、日本一の経済力、人口、そして文化的影響力を持つ都市であった。北摂地域に開発されたベッドタウンや、私鉄の沿線開発など現代日本の都市で「当たり前」な事の多くは大阪で初めて実践された物が多い。大阪の繁栄は、周辺都市である神戸や京都などとのシナジー効果もあって、政治の関東、経済文化の関西と、真の意味で多極化された国に欠かせない物であった

しかし、日中戦争、太平洋戦争前後に、国家権力、そして戦後にはGHQの主導で行われた産業や経済中枢機能の東京移転は大阪の地位を大きく揺るがした。この逆風に対して、なんとか持ち超えていた大阪・関西は工場法など、万博前後の政府規制によって大きな打撃を与えられ、20%近くを所有していたGDPのシェアは2000年代までには15%までに低下した。

企業の東京移転は経済の低迷を招き、結果として失業率を上昇させ、これらにより府税収入が低迷し、公的サービスの低下や、官僚目線のハコモノ経済対策の乱発を招き、大阪の競争力の更なる低下、財政の更なる崩壊を招いた。競争力の低下や財政基盤の弱体化は更なる企業の撤退を招き、負のスパイラルは加速する一方であった。

この負のスパイラルは、2000年代初頭には全国ワースト2の失業率、29年連続の企業転出超過、学力のワースト3常連、犯罪発生率ワースト、ホームレス数ワーストそして生活保護受給世帯ワーストとあらゆる分野に影響をもたらす事となり、「大阪問題」と呼ばれるまでになった。

これらの問題の根幹は政府の東京一極集中体制にあるのだが、大阪府市にも責任の一途はある。一極集中化でも明確な成長戦略を実行、課題に対して対応していればこのような惨状にはなり得ないのだ。

しかし、大阪府市は、戦略的ビジョンに基づいた投資では無く、自治会に対するバラマキや、選挙目的の赤字鉄道延伸、手柄目的の採算性ゼロ巨大プロジェクトを次々と実行し、大阪の根本的な企業転出問題や教育問題には取り掛からなかった。

無駄な分野に投資をするどころか、大阪府市は長らく府と政令市である事から由来する広域行政、成長戦略に関する所管の「被り」から、府市間の争いが絶える事無く続き、施設やシステムが二重に作られる「二重行政」が多発する事態となる。大阪オリンピック誘致構想では市主体だった故に府はノータッチであった事や、WTCとりんくうタワービルの高さ争いなどは読者の皆様もよく存じ上げている事かと思う。

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*注釈:図書館など、確かに多くあって、ユーザーも多い物に関して、『府市別々に作られるのは良いのだ!二重行政は悪くない』と言う識者は、二重行政の根本的な問題、指揮系統、即ちマネージメント二重化の問題を無視していることをここに記しておく。図書館が二つあるのは結構なのだが、使用するシステムや責任者が全く別々、備品の購入も別々、そして互恵関係の構築などは、対立する府市間では不可能であった訳である。

この状況に終止符を打ったのが、2008年に大阪府知事に当選した橋下徹氏であったのである。

続く