初の大学入試共通テストは難化傾向 何のための制度変更か?

 16日から17日にかけて、大学入試共通テストが行われた。もともと、旧センター試験が1点刻みの合否判定を助長しているという主張や、センター試験では思考力を測れないという主張を背景として、大学入試改革を進めるために導入されたのが、共通テストであったはずだ。しかし、内実をみると、1点刻みの入試はそのままで、センター試験からの大きな傾向の変化は見られなかった。何のためにセンター試験を廃止して共通テストを導入したのか、文科省や政府は説明すべきである。

全般的に大きく難化傾向・傾向は概ねセンターを踏襲

 ここからは、共通テスト1日目科目に関して、科目別の出題傾向や難易度の変化をお伝えしたい。なお、難易度の変化は、筆者の評価に加え、東進ハイスクールと駿台予備校の評価も共にお伝えしたい。

1 難易度にばらつきのあった地歴公民

 まず、地歴公民は、科目により難易度の変化が分かれた。

 世界史Bは、資料の読み取りを求める問題が登場するなど、細かい知識がなくとも解ける設問が増加したと言える。その一方、今までにない形式の問題に対してゃ、苦戦した受験生もいるだろう。しかし、文章の正誤判定が減り、その分資料の読解問題・空所補充問題が増加した以外は、大きく形式の変更があったとは言い難い。従来よりも細かい知識が問われなくなったことを重視して、私は「やや易化」と判定したが、東進・駿台はいずれも「難化」と判定した。

 地理Bは、資料の読み取りが増え、出される資料もより多様で、複雑なものになった。他方、必要な知識量が減ったとは言い難く、受験生の負担は大きく増加したと言える。私は東進と同様に「難化」と判断、駿台は「やや難化」と判定した。

 日本史Bは、歴史資料の読み取り問題が増えたため、より読解力を重視する問題が増加した。しかし、試行調査と比べればセンター試験日本史Bと同様の設問が増加したため、傾向に大きな変更があったとまでは言えない。私は東進と同様に「昨年並み」と判断、駿台は「やや難化」と判定した。

<スポンサー>

 倫理・政治経済は、リード文が示され、読解力が問われるというセンター試験の形式を一部踏襲した。また、倫理の設問はやや易化した。しかし、政治経済分野は難易度の高い知識が問われ、戸惑う受験生も多かったと思われる。また、全体的に資料の量が増えたこともあり、受験生の負担は例年よりも増加したと言える。以上より、「やや難化」という判定で一致した。

 このように、科目ごとに形式の変化は多種多様であったし、難易度も難化傾向とは言え科目間にばらつきがあった。しかし、資料の読解力も問われるようになったという点は、各科目ともに一致しているだろう。

2 意外にもセンター試験を踏襲した国語

 国語は、従来の対策が通用しないのではないかと、もっとも心配されていた科目であった。試行調査で、センター試験からのあまりの傾向の変化に、面食らった受験生も多かっただろう。しかし蓋を開けてみると、現代文は傍線部の理解を問う問題が7問も出題し、古典も例年の傾向を逸脱するほどの変化はなかったと言える。

 他方、センター試験で受験生が苦戦したこともある漢詩が、第4問で出題されることとなった。したがって、漢詩の出題ゆえに難化したと考えるべきであろう。

3 大きく難化した英語

 英語リーディングは、試行調査の通り、センター試験から文法・発音アクセント問題が消え、オール長文問題となった。試行調査では平易な長文ばかりが出題され、「満点続出」が予想されていた。しかし、ふたを開けてみると、試行調査よりマーク数が大幅増加し、長文のレベルも大きく上昇した。あまりにも急すぎる難化に、対応できなかった受験生もかなり多かっただろう。

<スポンサー>

4 一日目概観

 センター試験の形式が予想よりも踏襲されたものの、全体的に難易度がかなり上昇したと言える。慣れない新試験に、コロナ緊急事態という状況もあいまって、受験生の負担はとても重いものであったと考えられる。

共通テストの本来の目的が実現される出題だったか?

 上記の通り、共通テストの本来の目的は、1点刻みの入試を変えることや、思考力を問う入試を実現することであったはずだ。しかし、蓋を開けると、共通テストは、センター試験をただ難しくしようとしただけのように見受けられる。

 1点刻みの入試に一切メスを入れることなく、問題の難易度を上げるだけでは、受験競争がより苛烈になり、受験生の負担を増やすだけだ。すなわち、問題を難しくすれば、学校の授業だけでは試験への対応が困難となってくる。こうして、共通テストが塾通いしなければ突破できない試験と化すと、塾に通えない受験生が一層不利な立場に立たされることとなる。

 また、思考力を問うことは、大学ごとの個別試験形式が向いており、1次試験(センター・共通)で問われるべきは基礎的な知識である。このことは、昨日のおとな研究所の記事でも取り上げられたことである。

 共通テスト移行によって何を変えたかったのか。今回の出題からは何一つ明らかにならない。貴重な税金を投入して、試験の難易度が上がっただけである。従来目指した方向と逆行している大学入試改革は、失敗が露呈してきているのではないか。

 

<スポンサー>
おとな研SNSをフォローして、最新情報をいち早くゲット!

投稿者プロフィール

ライターページ
大学院生2年目です。法律や経済など幅広く投稿します。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

あなたへのおすすめ



ピックアップ記事

  1. 2022-5-1

    立憲民主党と国民民主党の略称問題も大詰め!重複したら○○が不利になる!

    未解決の、立憲民主党と国民民主党の略称重複問題 2022年4月19日、このような記事が出た。…
  2. 2022-4-30

    投票率と共に沈む日本 -それでも「政局」が大好きなあなたへ

    2022年度がはじまってから1ヶ月、いよいよ夏に参議院通常選挙を控えたこの時期。 揺れ動く永…
  3. 2022-4-30

    アイドルと歌詞とセクシズム

    目に飛び込んできたニュースに驚いた。 おニャン子クラブ、AKB48などアイドルグループのプロ…
  4. 2022-3-3

    「若い人が政治に興味持ってくれて嬉しい」だけで終わらせるな!「若者党」の活動を直撃【編集部企画】

    Twitterを眺めていると、日々色んな情報がタイムラインに流れてくる。 2020年からはコ…

スポンサー







Twitter・FaceBook

公式チャンネル

有料コンテンツサイト

プレスリリース

登録されているプレスリリースはございません。

スポンサー




スマホでもおとな研

スポンサー




ページ上部へ戻る